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4 初めての指名依頼、まさか聖女様からっ!?

ブクマなどありがとうございます!


「うーん、冒険者って意外に大変なんだなぁ……」


 俺は荒れた草原で岩に腰掛けながら、一人大きな溜息を吐いていた。


 何を隠そう俺はちょうど今、依頼を一つ終えたところである。


 今回受けた依頼は討伐系の依頼で、俺の後ろには一匹の飛竜が息絶えている。


「……はぁ」


 飛竜の討伐依頼といえば依頼の中でも結構難しい方の部類だと思う。


 一人でこの依頼を受けると伝えた時も、受付の人が若干驚いていたようだし。


 それだけじゃなく普通に心配もされた。


 だが俺自身、自分の実力を理解しているし、その上で今回の依頼も余裕だと思ったわけだ。


「よし、じゃあ適当に片付けて帰ろうかな」


 俺は横たわる飛龍の亡骸に、もう一度だけ溜息を吐いた。




「は? 俺に指名の依頼?」


 ギルドに帰り依頼達成の報告を済ませ、早々に宿に帰ろうと思っていた矢先、俺は受付に捕まっていた。


 何でも俺に指名依頼がやって来ているらしい。


 だが俺がギルドに冒険者として登録してまだそんなに経っていない。


 それなのに指名依頼なんてものが来るものなのだろうか。


 もしかして…………聖女様!?


「はい、ギルドからの指名依頼です」


「ですよねー」


 まぁ聖女様からの指名依頼が来るなんて俺も本気で思っていたわけじゃないし、ギルドからの指名依頼と言われたらここ数日の自分の活躍を鑑みてみれば納得も出来る。


「緊急の依頼なんですが、受けてくださいますか?」


「あー……別に大丈夫ですよ。受けます」


 俺は特に何か考えることなく頷く。


 というのもここでギルドからの指名依頼を断ったりしたらギルドからの扱いが悪くなったりするかもしれないからだ。


 逆にここで素直に受けていればギルドからの評判も良くなるだろうし、色々な便宜を図ってくれるようになるかもしれない。


「それで依頼っていうのは?」


 どうせ指名依頼とは言っても俺にとっては難しい依頼では無いだろう。


 パッと済ませて早く帰ってくるに限る。


 俺は早速、今回の指名依頼の内容について受付に尋ねた。


「えっと今回ギルドからの指名依頼ですが――――聖女様の救出と護衛です」


「……はい?」


 俺は思わず聞き返す。


 今、この受付は何て言った?


 俺の聞き間違いで無ければ、指名依頼の内容に『聖女』と聞こえたような気がしたのだが……。


「聖女様の救出、そして護衛の依頼です」


「…………」


 しかしどうやらそれは俺の聞き間違いというわけでは無かったらしい。


 これは……夢だろうか。


 そう思わずにはいられない目の前の出来事に頬を抓る。


 そしてすぐやってくる痛みにこれが現実であるということを突きつけられる。


 こんな上手い話があっていいものだろうか。


「…………あ」


 そんなことを考えている時に、思い出した。


 確かに俺が好きになったのが聖女様であるということに間違いはない。


 だが、聖女が一人というわけでは決してないのだ。


 聖女とは光魔法を極めた者にのみ与えられる称号で、逆に言えば、光魔法を極めてしまえば誰だって聖女になれるということでもある。


 もちろん女性という縛りはあるが……。


 つまり今回の指名依頼、聖女様の救出と護衛とあるが、この聖女様というのが俺の想い人である可能性はかなり低いだろう。


 きっと依頼に従って聖女様のところへ向かえば、年老いた老婆の聖女様が出てくるに違いない。


「…………」


 そう思うとさっきまで溢れていたやる気が一瞬にして消え去ってしまう。


 だが一度依頼を受けるといった手前、そう簡単に引き下がるわけにはいかない。


 これからも冒険者として生計を立てていく予定なのに、ギルドから変な反感を買うわけにはいかないのだ。


「……じゃあ早速行ってきます」


 俺は依頼内容が詳しく書かれた紙を受け取り、ギルドを後にした。




「あー……一瞬でも期待した俺が馬鹿だったぁ」


 俺は強い風の吹く砂漠の上を翼を広げて飛んでいた。


 わざわざこんな飛ぶのに苦労するところへやって来たのは、もちろん依頼のためだ。


 依頼によるとどうやらこの辺りで聖女様の行方が分からなくなってしまったらしい。


 俺はゆっくり翼を閉じながら、砂漠に降り立つ。


 人探しには空からの方が便利であるには間違いないが、もし翼を広げているところを聖女様に見つかったりしたら不味い。


 手間がかかるのはこの際仕方ない、ちゃんと歩いて探そう。


 だが如何せん砂が舞っていて、目が痛い。


 どうにか出来ないものだろうか――そう考えていた時だった。


 少し離れたところに微かに人影が見える。


「あれって……聖女様、か?」


 恐らくこんなところに一人でいるということは件の聖女様なのだろう。


 もっと時間がかかると思っていただけにこれは幸運だった。


 後は聖女様を護衛しながら都まで戻ればいいだけの簡単なお仕事である。


「あのー!」


 俺はおそらく聖女様だろうその人影に声をかけながら、ゆっくり近づいていく。


 その人影は徐々に姿を現していき、次第に顔も見えてくるようになった。


「…………え」


 そして、その人の顔を見た時、俺は思わず絶句せずにはいられなかった。


 何故ならそこにいたのは、俺が好意を寄せる聖女様その人だったのだ。


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