---80--- ルル組 修行
少しルル寄りに時を少しだけ遡る。
高次元生命体の襲撃が終了し、シアキが眠りにつきルルが仲間全員に指示を出した時まで遡る。
「・・・・・・。
さぁ~各々夜までに行動開始~」
そのルルの掛け声をきっかけに、各々席を立ち、修行を開始する班と、待機する班に分かれ行動を開始する。
修行はルル班とレレ班に素早く分かれ話し合いをする。
「では、私が直々に修行して差し上げますわ、早く集まりなさい」
「レレちゃん、皆の修行ちゃんと見てあげてよ。 あと怪我は直ぐ治してあげてね。 傷が残ったらシアキ怒るよきっと良い?分かった?」
「分かっていますわ、この者達はお義兄様の大切な玩具ですもの、私がそんな事許しませんわ、強くしますが傷等は、すぐに治しますわ。
ご安心くださいまし、さぁ~転移して私が用意する修行場所に行きますわよ。
これからトカゲ娘、貴女は、その子達を纏める役をしなさい、私が行くと言えば全員集めて輪を作りなさい良いわね。
あと貴方達の事を、目玉、腕、黒髪と呼称しますからね」
変なあだ名を付けられるが全員文句は言わないで頷いて手を繋ぎ輪を作る。
「・・では行って参りますわね、お姉様」
輪になってる四名を連れ転移で何処かへ行ってしまった。
それを見届けたルルが一言漏らす。
「レレちゃん、変わったな~あれ程、生者達と喋ったり触れたりするなんて思わなかったよ~。
流石、シアキが少しでも仲間にしようとしたら皆変わっちゃうね~。 でも、あのあだ名は無いわ~あの子なりの抵抗だろうけど、まぁ~いいか。
さて、ラフェルちゃん、エラルちゃん少し修行時は真面目な口調で話すね。
修行はシアキのとは少し違うけど基本は体に負荷を掛けた状態で行うのは変わらないからね。
今から加重を掛ける術を掛けるね、これは拘束術の応用だから無理に最初は動かないでね。
さぁ~二人共、私に利き手を出して手の甲を向けてくれる」
言われるまま利き手を両者は差し出す。
両手の人差し指で両者の手の甲に軽く触れ、口の中で素早く詠唱を唱える。
すると手の甲に合わせて、小さな魔法陣が形成される。
「どうしても体への負荷に耐えれないって時は、手の甲のその魔法陣に意識を集中して「カイ」って唱えて、そうすれば全て普通に戻るから。
寝る時以外は負荷を掛けた状態で、修行が終わるまで生活してもらうからね。
その術は私からも無詠唱で自由に負荷が掛けるからね。
じゃ~基準となるのを私が決めるね~始めは、これ位かな・・」
無詠唱で躊躇なくエラルに二倍、ラフェルに四倍の負荷を与える。
一気に体に負荷が圧し掛かってくる。
「お、重いです、ルルお姉さん」
重さに耐えかねて、エラルは、まるで魚の開きのように一人床に寝そべっている。
その横でラフェルは普段通り動いている。
「エラルちゃん、私との修行時ソレずっと続くからね~。
それ位なら数分で普通になる位にしてあげるから、ちょっとそのまま待っててね~。
さてラフェルちゃんは、まだ平気そうだね。流石魔族ってとこだね。じゃ~もうちょっとかな~」
さらに負荷を掛け、六倍にする。
その負荷が掛かった瞬間、両手を両膝に当て中腰で耐えて少し息が浅くなる。
「あれ?ラフェルちゃん頑張るね~まだイケそうだね」
そしてさらに負荷を掛け、八倍にする。
この時点で耐えきれなくなたようで、エラルと同じく床に魚の開きのように寝そべってしまう。
「はい、ラフェルちゃんは約八倍から開始だね。
今日はその負荷に耐える体にするのが私の修行の目的ね。
そして今から、回復術を掛け続けてあげるから立って、この室内を三周程歩いて回る事が今日の課題ね」
両者に手を翳すと、淡い緑色の光が二人の体から溢れてくる。
「さぁ~今、敵にシアキが捕まったよ~。
仲間はもう誰一人動ける者が居ない程負傷中だよ~。
無論、私も、レレちゃんも全く身動き取れない程に敵の攻撃を受けてるからね~。
唯一、シアキを助けにいけるのは、二人だけだよ~。
さぁ~そこから立ってシアキの下に行って助けてあげて~。
たかだか室内三周分の距離に、シアキが居るから~さぁ~立って立って~」
言われるまま立ち上がろうとするが、起き上がれない。
もう岩の中に埋められているのではないかと思う位、体はピクリとも動かないのだ。
「どうしたの~早くしないと、またシアキが敵の手に落ちちゃうよ」
「そ・・ん・・な・事・・さ・せ・ない・・ハァハァハァ」
もう何も出来ない自分はイヤだっと、ラフェルは心で叫び気合を入れ、必死に起き上がろうとするがやはりピクリとも動かない。
それならばっと少し自分に秘められている能力を解放する事を選択する。
瞼を閉じ、呼吸を整え集中し力を解放する。 すると耳の一部と手の甲にある鱗がある範囲が少しだけ拡大する。
これはラフェルの素体になっているのが竜人なので、その能力も一部引き継がれているんだ。
竜人の武装形態の能力と同じ効果を得て力の底上げに成功する。
少しだけ腕が動く様になった。
その変化を見逃さなかったルルは指摘する。
「ラフェルちゃん、ソレは基礎状態で立たないと全然意味が無いから、修行中は力の底上げの種族的状態変化は一切禁止ね」
「そんな~・・」
状態変化を解除すると。また床にへばり付く。
そうこうしているとエラルは何とか片膝をついて自力で立ち上がろうとするまでになった。
「はい、エラルちゃんあと少しだよさ~さ~頑張って。
立てたら部屋を三周してね。
あと少し力を抜ける所を自分で探して、会話出来るようになろうね」
負けじとラフェルは上体を起こそうとする。
先程よりは体が動くようになった。
体を何とかくねらせ、うつ伏せ状態にする事が出来た。そのまま四つん這い状態に成る。
その間エラルは、実にゆっくりだが室内を一周し終わり凄い荒い息に遣いになっている。
二周目をエラルが歩き終える頃、ラフェルは、ようやく膝立ち出来るまでになる。
たったこれだけの動作をするだけで、肩で息をし、額から止めどなく汗が流れ落ちてくる。
更に数分後、自力で立ち上がるが両手を両膝に当て中腰状態で踏ん張り、肩で激しく息をし全身からは、もうバケツをひっくり返しったかのように汗が流れ落ちて、ラフェルの周りは水浸しになっている。
「ハフゥ~も、もうダメです、ハァハァハァ・・・」
三周目を歩き終えたエラルが床に大の字になって激しく息を切らしている。
「エラルちゃん、じゃ~そのまま休憩しててね~」
目線を合わせ頷き、瞼を閉じ必死に息を整えようとしている。
「ラフェルちゃんさぁ~急いでエラルちゃんはシアキの下に辿り着いたよ。
敵の露払いはラフェルちゃんがしないとエラルちゃん迄、敵の手に落ちちゃうよ。
ほら想像してみて~凄い窮地に陥ってるよ」
想像すると、途轍もなく悍ましい光景であると頭の中で映像として展開された。
「い、いま・・・行きま・・・す・・」
気合を入れ背筋を伸ばし一歩足を出そうとするが、足が上がらない。
仕方なく床から足を離さない方法で動ける摺足で、室内をゆっくりと歩きだす。
もうまるで岩の中を進んでいるのではないかと思える位摺足の一歩が重い。
一周するだけで、尋常じゃない疲労感が襲ってくる。
まだ、あと二週も移動しなければ行けないのかと思うだけで、心が折れそうになる。
二周目を終える頃には、室内ラフェルの通った汗で濡れた道が出来ている。
三周目の半分辺りで、約束の夜ご飯時になったので、レレ組が転移で戻って来た。
全員疲れ切った表情をし、その場で座り込んでしまう。
「おかえり~・・・皆無事だけど、凄い疲れてるね」
「はぁ~終わった~もうダメ~ハァハァハァ・・・」
周回を終えたラフェルは、床に大の字になり荒い息をしながら苦しそうにしている。
部屋の光景とラフェルとエラルの様子を見た、レレ組の者達は、まだこっちじゃなくて良かったかもしれないと思うのであった。
「ラフェルちゃん、お疲れ~、さぁ~ご飯・・・その状態だと駄目ね~。
う~ん、今日から私はシアキが目を覚ますまで~ご飯要らな~い。
リムちゃん、ご飯食べる子達の分を用意してくれるかな?・・・ってリムちゃん?」
虚ろな目をしながらシアキを膝枕し、一心不乱に頭を優しく撫でている。
話しは聞いているが、憔悴しきっている感じで、動こうとしない。
「・・・食事・・もういいわ、そのままシアキを見てて私達で作るから」
「ルル殿、お主が食事をせぬのなら、我も要らぬのじゃ」
「なら、私も死霊族ですので、食べなくても平気ですので、食事要りません」
「わ、私も魔眼族ですし、そう頻度良く栄養を摂取する必要はあまりませんのでお付き合いします」
「私も・・・・・・」
話の途中で、サジュラのお腹が鳴った。
「駄目じゃぞ、お主は人族であるのじゃ。
毎日頻度良く食事をする必要がある、サジュラ殿とリム殿、あと獣人のエラル殿だけは、食せねばならぬぞ。
我は竜人族であるが故、そう頻度良く食さずとも平気なのじゃ、合わせる必要はないのじゃ」
床で息を切らしているラフェルが口を開く。
「サジュラちゃん、ビデアちゃん、リムちゃん、ゴメンさない私当分動けそうに・・・ないの、皆の食事作ってもらえますか?。
あと食事は全員毎食・・・必ず摂ってくださ・・シアキさん・・そんな・・・の・・望みま・・Zzz・・」
話の途中で眠りについてしまう。
「あら、ラフェルちゃん寝ちゃったか!今日の修行は相当疲れるから仕方ないね。
・・・今日はラフェルちゃんはこのまま寝かせてあげるとして、その汗だらけの体じゃ流石にあれだね・・・」
負荷を解除し、宙にラフェルを浮かせる。
手を翳し、新たな術を発動させると魔法陣が頭の先の空間に形成される。
そのまま魔法陣が頭の先からから足の先へと通過していく。通過後、身体と着ていた服の汚れや汗等が消滅し綺麗になる。
次にクイクイっとラフェルの部屋の方角に指を向けて数回曲げると部屋の扉が開く音がし、一枚の布団が飛んでリビングに敷かれた。
その上にそっと下すと、全員の方を向きルルは指示を出す。
「ラフェルちゃんの言う通りにしよう~、台所にいつでも摘まめる食事を作り置きして~、毎食各々修行の合間をみて必ず食べる事~。
サジュラっち、ビデアっちと協力して~、ちょっと今日と明日の分を作ってくれるかな~」
「分かりました、では少し作ってきます」
台所にサジュラとビデアが入っていく。
「ルル殿、寝るのは全員ココで寝るのはどうじゃろう?。
シアキ殿が目を覚ますまで、我等が、ここで陣取り、敵の襲来に備えようなのじゃ」
「そうだね。その方が良いかもね」
「でしたら、お姉様、この机と椅子は邪魔ですわ。外にでも放り出しまいますわね」
机と椅子全てを重ね合わせ、レレは転移で外に運び出し戻って来る。
「ん?レレちゃんも此処で寝るの?戻っても良いよ?」
当然此処で寝るっと言った表情を向ける。
「私は戻りませんわ。
折角お義兄様が、こんな貴重な状態になっておられるのに、観察しないなんて勿体ないですわ」
「そう、やっぱり、レレちゃん変わったね~。
じゃ~料理出来るまで少し私は、壊した廊下側の壁とか色々修復してくるね~、皆は布団をこの部屋に運び入れてくれるかな~」
部屋がある方向が一緒なので、全員廊下に向かう。
廊下、壁等が無残な事になっている。勿論彼方此方にシアキの血が付着している。
それを眼の前にして、全員立ち止まり、先程起きた惨劇を思い出し憂鬱な表情になる。
左手で右腕を持ち少しルルは震えている。その後姿を見たフェンラが声を掛ける。
「ルル殿、先程はお主ばかりに、辛い思いをさせてしまい申し訳ないのじゃ。
今レレ殿に我を鍛えてもらっておるで、次は我も参戦し少しは役に立って見せるのじゃ」
「・・・フェンラちゃん、その話は、もうするの止めよ。
・・私達が何も出来なかったのを、その眼で見たでしょ。
・再度あんな状況が起きたら参戦なんか考えないでお願い。
シアキの仲間を誰一人として失う事は、今の私はしたくないの」
「そうですわ、トカゲっ娘。
私が幾ら貴女を強くして差し上げても、あのような事が再度起きれば、何の役にも立ちませんわよ。
同じ状況になれば貴女は、その仲間達を逃がすため行動する事が最良な事ですわ」
呆然と廊下を眺めていたルルが一つ大きく息を吸い込み、一拍置いて声を上げる。
「・・・・あぁ~~~~~~~~~~」
その大声が部屋中に響き渡り全員動ける者は何事か集まって来る。
「ハァハァハァ・・・ゴメンね。大声出して、もう大丈夫だから・・」
そう言い手を廊下に翳す。破壊された壁がみるみる元に戻っていく。
そして廊下には多量の血痕だけが残る。
そこにフラフラのラフェルがやって来る。
その目に映る廊下の血痕を目撃し何も言わず廊下丸々腐食の炎で包み込む。
「・・・・ゴメンね。ラフェルちゃん起こしちゃったね・・」
燃え上がっている炎が消え去ると血痕のみがパラパラと燃えカスのように消えていった。
その場でラフェルは気を失い倒れこむ。素早くレレが移動し首根っこを掴みリビングに戻っていく。
何故このような事になったかだが、ラフェルは修行でルルの術で体力は常に回復させ続けられていたが、精神力迄は流石に回復はされていないかったのだ。
あの修行で精神力も半分以上削られていたので、腐食の炎を一回使用しただけで、精神力切れを起こし気絶してしまったのだ。
綺麗になった廊下にルルは座り込み床を撫でる。
「ほら~皆、布団布団持って行ってね~。
私ちょっと壁直すのに力を使って、数分は動けないから、このまま此処で座って休憩してからリビングに戻るからあと宜しくね~・・」
こんな事で動けなくなる程ルルは軟じゃない。座り込んだその後姿は少し一人になりたいと物語っている。
「そうじゃな、ルル殿は少しそこで休憩しててくれなのじゃ。
さぁ~皆布団を運び出すのじゃ。
サジュラ殿とビデア殿は食事の準備を頼むのじゃ」
布団を運び出し、まるで御通夜のように全員会話なく食事前を済ませ、ルルが術で全員の汚れた体を綺麗にしたあと、リムを強制的にシアキの下から離し睡眠導入術を施し就寝させ一日目が終了した。
二日目、たった数時間寝た程度で、早朝まだ朝日等顔を出していない、夜が全く明けきらない深夜とも言える中、全員目を覚ましてしまった。
いや正確には、シアキの小さな呻き声で全員、目を覚ましたのだ。
再度リムは二度寝する気にはなれないのか、何かに憑りつかれたかの様に、素早くシアキの頭を抱え自分の膝の上に置き膝枕をした状態で座り、半透明の向日葵色の物質に手を差し入れ優しく頭を撫で始める。
もう既に回復したラフェルは見かねて声を掛ける。
「リムちゃん駄目ですよ。
ほらまだ朝じゃないでし、シアキさんなら大丈夫ですから、もう一度寝ましょう。
そんな事をしてたら人族であるリムちゃんは体を壊しますから」
その問い掛けに虚ろな目をしながら首を横に振ってみせ、小声ではあるが、力ずよく返答を返す。
「こうしておかないとご主人様が・・・・兎に角、駄目なんです。
昨日レレ様にも言われましたこうしておかないと、また奴隷に戻して頂けないと。
ご主人様が目を覚まされるまで私はこうしてお詫びをし続けます・・・」
その行動は間違っている。シアキが望んでいる事ではないので諦めさせる為諭す。
「リムちゃん、レレちゃんなんかの言う事は忘れなさい!。
そんな事をしても、シアキは二度とリムちゃんを奴隷に戻す事はしないと思うから、諦めて寝ようね」
その問い掛けに虚ろな目をしながら首を横に激しく振って見せる。
「戻ります。絶対ご主人様なら分かってくれます。だから、だから、・・・私はこうやってご主人様にお詫びし続けないといけないんです」
このやり取りをして、ルルは何か違和感を感じる。
もしかすると今のシアキの状態時は、リムが触れ続けていないといけないのではないかと言う感覚が身を支配する。
どうしてかは分からないが、この場合、リムにこうさせておくべきだと心がざわついて教えてくる。
そしてある提案をする。
「う~ん仕方ない、それやるのは良いけど、これだけ約束してくれるかな~。
ちゃんと毎日食事は摂取する事、昨日みたいに、一口食べて終わり~ってのは無しね~。
リムちゃんが餓死したらシアキが怒っちゃうからね~約束出来る~?」
虚ろな目で、頭を縦に振り頷いて見せ、約束をすると伝えてくる。
「じゃ~今すぐ台所から今日の食事をお皿に取って来て、食事をしてる所を私に見せてくれるかな~」
頷き頭を撫でている手を、半透明の向日葵色の物質から引き抜くと先程までの虚ろな目に輝きが戻った。
そして慌てて台所に置いている食事の下へ向かい、燭台に置かれているパンと肉を皿に盛った後リビングに戻り、先程座っていた位置座り直し、半透明の向日葵色の物質に手を差し入れ優しく頭を撫で始める。
撫で始めると、先程までの目の輝きが嘘のように目が虚ろな状態に成る。
持ってきた、食事を空いている手で取り口に運び食している姿をルルに見せる。
「・・・何でまた目の輝きが?・・・・あれ、何だっけ?まぁ~いいか。
リムちゃん絶対食事と睡眠はちゃんととってね。
さぁ~皆も休める・・・あれ?皆は?もしかしてもう行ったの?・・・全く~」
見渡すと竜人族のフェンラ、死霊族のビデア、魔眼族のアイ、人族のサジュラ、冥神人族のレレの姿が部屋から消えていた。 念話をレレに繋ぐ。
『レレちゃん、もしかしてだけど~もう皆連れて行ったの~』
『はい、お姉様、私達は、先に今日の修行を始めますわ。
私の修行は、少し特殊なので、今日は少し修行場に泊まりますわ。ふふ』
『何々~少し楽しそうね~。 因みにだけど、どんな修行してるのかな~?』
『ソレは・・・教えられませんわ。ただ戦闘を交えてますとだけ、お伝えしておきますわ』
『まぁ~あまり無理をさせて怪我だけはさせないでよ~その子達は、実験動物じゃないんだかね~食事もちゃんとさせなさいね~』
『分かってますわ、怪我等させませんわ。
ふふふ、私の方は、あと二日位も有れば、トカゲっ娘を高位魔族程度、魔族達は上位魔族程度、黒髪を下位魔族程度なら単独で、それぞれ応戦出来るようになると思いますわ』
『そっか~レレちゃんは、フェンラちゃんが、お気に入りか~。
私は、ラフェルちゃんを凄く強くしちゃう予定だよ~。
じゃ~修行、頑張ってね~。念話終了するね~ -念話終了-』
念話終了後、台所でレレの気配がするがすぐに消え去る。
「さぁ~ラフェルちゃん、エラルちゃん、レレちゃん組に負けてられないよ~。
しっかり今は休んで昨日の疲れを癒す事~。
朝に成ったら各々食事済ませておいてね~、今日は夜まで通しでするからね~お休み~」
言い残すと瞼を閉じ寝たしまった。
これは昨日より過酷な修行内容になりそうだと感じとり両者は少しでも回復させておこうと布団に戻り瞼を閉じる。
朝日の光がリビング内に台所側から差し込み朝である事を知らせてくれる。
朝日が昇ると同時に獣人のエラルは目を覚まし、リムに小声で挨拶を済ませた後、素早く台所に入り朝食を皿に盛りその場で食し、食事を済ませる。
「さぁ~起きて、起きて~。ラフェルちゃん、朝だよ~楽しい楽しい修行の時間だよ~。
エラルちゃんは、もう食事終えてるよ~」
安心した状態で二度寝をしたせいで、少しラフェルは寝過ごしてしまった。
眠気眼を擦りながら上体を起こし朝の挨拶をする。
「ん~・・ルルちゃん・・おふぁようごふぁいまふぅ~」
既に食事をし終えたエラルが準備体操をして待っていた。
「おはようございます。ラフェルお姉さん、ルルお姉さん」
「おはようございます、エラルちゃん、リムちゃん、シャボちゃん。
あ~!ごめんなさい、私寝過ごしちゃいましたね。 今すぐ食事をしてきますね」
慌てて起き上がり台所に向かい食事をしに行く。
数分後口一杯に物を放り込んでモグモグ咀嚼をしながら戻ってきた。
「ふぉふぁふぁふぇふぃふぁふぃふぁ」
「ふふ、ラフェルちゃんらしくない行動だね~じゃ~それ呑み込んだら修行開始ね~。今日は外に行きま~す」
食べ物を飲み込んだラフェルが声を掛ける。
「・・モグモグゴックン・・ルルちゃんごめんなさいもう食べ終わりました」
その合図を聞きルルは一気に両者の体に昨日と同じ負荷を掛ける。
不意に体に負荷が掛かるが昨日程ではない、きちんと立って耐えられてる。
「どう?昨日と同じ負荷だけど軽く感じるでしょ?体の変化を少し聞かせてくれる?」
両者はうんうんっと頭を縦にゆっくり動かし頷いて見せる。
「はい、ルルお姉さんコレ昨日より凄く楽です。少し重い程度ですがゆっくりなら動けます」
「私も一応昨日よりは動かせそうですが・・・まだ普段通りには無理そうです。足も少ししか上がりません・・」
「う~ん、ラフェルちゃんは、その状態で動けてるだけで~相当なもんなんだよ~。
エラルちゃん今日は回復術を掛け続けるのは、型の練習が終わってからね~その状態で先に外で型の練習して来てくれるかな~。
終わっても私達が到着してなかったら、戻ってきてくれていいからね~」
「分かりました」
体中に枷を付けているような動きをしながらゆっくりゆっくりと外に向かっていく。
一緒にラフェルも外に向かおうとするが、その速度は物凄く遅い。
「ラフェルちゃん、ちょっと待って、今日はあともう一つ話があるの・・」
眼前に立たれて、行く手を阻まれたので立ち止まる。
すかさずルルは手を翳し何やら術を発動させる。
体が輝き出すが回復している感じでは一切無いと実感する。
肩で息をしながら、ルルを見据える。
「・・私やシアキを殺せる力が得られるとしたら、ラフェルちゃんはソレを欲する?」
唐突に変な質問をされ驚くが、内容をからすると、確実にその言われた力を自分に付与しようと考えている事は間違いないと悟る。
これは緊急時、二人のどちらかを躊躇い無く殺せと、言われるのは目に見えている。
どんな形であれそうなるのは嫌なので即座に返答する。
「私、そんな力は求めませんし、要りません。 これは変わらないでしょう何度聞かれても」
真剣な表情で心底要らないと伝えると、体が白く光り出す。
その光の色を見てルルはニッコリと微笑む。
「う~ん、白ね。そっか~心底要らないって拒否されちゃったか~。
まぁ~それでこそ、ラフェルちゃんだよね~。
あははは、そっかそっか、そんな力は要らないか~残念、残念だな~。
よし、じゃ~ちょっと今の術を少し調整するから動かず立っててくれるかな~」
再度手を翳される。その直後体にドクンドクンっと心臓が鼓動するのに合わせて耐えがたい激痛が体を流れ貫いていく。
あまりの激痛に目を見開き手を開いた状態で硬直する。
更にその激痛の鼓動が早くなり最後強烈な痛みが脳天を突き抜ける様になり上体をのけ反らせた体勢で硬直してしまった。
「はい、終わりだよ~よく声を上げずに耐えたね~」
未だ、少し激痛の余韻が体に残っているのではないかと言う程の違和感をその身に感じながら上体を戻しルルと目線を合わせ何をしたのかを尋ねる。
「何をしたんですか?」
「う~ん簡単い言うと~、私やシアキを殺せる程の力を得る為の封印されてた能力を全解放状態にしたって感じかな~。
これで、ラフェルちゃんは、修行次第で上位の上の高位魔族になれるよ~。
私は、レレちゃんと違って魔族の子に施された封印を解放する程度しか出来ないからゴメンね~」
言っている内容が全く理解出来ない。
高位魔族は一握りの限られた直系魔族しか成れない特権みたいな物なのだ。
「え!私が高位魔族になれるんですか、修行次第で?・・・」
少しの間思考が停止していたが、今はそれ所ではない、何故そのようなものを与えないのかをきっちり問い質し、元に戻すように言わなければならない。
「・・・高位魔族とか、どうでも良いです。
ルルちゃん何で?私にシアキさんを殺せる力を与えたんですか?。
私、要らないって言いましたよね、元に戻してください」
「うん、そだね~。 確かに心底要らないって言ったよね~。
でも解放条件はソレで満たしたんだよね~。
あとね~コレに関しては、前々からシアキと二人で決めてた事だったからね~。
コレに関しては諦めて、因みに戻す事も出来るけど私は一切戻す気はないから諦めて♪。
まぁ~今すぐ高位魔族の力を得られる訳じゃないし~ただ器を手に入れたってだけで、修行をしたらって話だからね~。
一応、レレちゃんに頼めば力はすぐに手に入るけどね~そこは修行する楽しみもいるでしょ~。
ほら、私とシアキが争った時、止めに入ってくれる相手は、他の誰でもなく、やっぱりラフェルちゃんじゃないと駄目でしょ~」
「狡いですよ、今、シアキさんに確認出来ないじゃないですか・・・はぁ~そんな・・シアキさんが望んで・・」
チラリとシアキを見る。今すぐ本当なのかを、問い質したい。
「良いじゃない、ね、ね、ね、こんな好機を逃したら高位魔族に成れないんだよ」
真剣に説得する際の口癖を聞き、諦める。
「はぁ~その口癖・・分かりました。
後で、シアキさんが目覚めたら、ちゃんと確認を取りますからね。
もし違ったら、ちゃんと元に戻してくださいね」
少し怒った表情をして見せながら腰に手を当て胸を張って見せる。
「あ~因みに戻すなら、修行は出来ないよ~少しでも鍛えちゃうと、戻した際、その分が負荷になって体が耐えられなくなちゃうからね~」
「・・・ず、狡いです。それじゃ~最初から受入れるしかないじゃないですか~」
「ふふふ、私を誰だと?気まぐれで有名な「ラ」の一族である神族だよ~。
それ位、計算してシアキが眠っているこの短期間で大切な仲間を鍛えてるのだよ~ラフェル軍曹殿・・・。
それにね~レレちゃん今、フェンラちゃんを相当鍛え上げるつもりで修行しているみたいだしね。
正直これはシアキの安全の為でもあるんだよ~」
最後の文言を聞いて、少しラフェルの中で「フェンラちゃんだけには、力で負けたくない」と言う対抗心が芽生える。
自分は思考で、フェンラのように、シアキの役に立つ事が出来ないので、せめて自分は力だけでも役に立ちたいと密かに思いながら修行を開始した事を思い出す。
「フェンラちゃんに力が・・・それ駄目です。
それだと、私が全くシアキさんの役に立たない、ただの要らない子になっちゃいます。
それだけは嫌です。受入れますこの高位魔族の件すべて受け入れて修行します。
早速修行頑張りますので、先程解除された負荷を早く元に戻してください。
何なら、昨日よりもう少し負荷を増してください。
それ位しないと、フェンラちゃんに負けちゃいます」
決意した眼をしながら早く負荷を掛ける様に懇願してくる。
「ん?負荷?ふふふ、負荷は解除してないよ~。昨日の負荷はずっとさっきから掛かってる~。
昨日ズルして、中位魔族の基礎能力限界まで底上げしたからね~。
もう高位魔族に対応出来る体になってるから~昨日までの中位魔族の限界分は全然余裕なんだよ~。
今、高位魔族の体になってるから、そうだね~昨日の五倍位は負荷を掛けても平気で居られると思うよ~。
これでどの拘束術を掛けられても、動けると思うよ~」
「え!・・・」
「あははは、そんな驚かないの~
今日はラフェルちゃんには~、身に付けた力の制御を覚えてもらいま~す。
さぁ~エラルちゃん方の練習終ったみたいだし~、エラルちゃん聞こえてるよね~今から負荷を昨日の倍掛けるよ~」
ニコリと笑顔を向けながら、外に居るエラルの負荷を掛けると言い放つと同時に外で何かが勢いよく倒れる音が聞こえてくる。
「さぁ~エラルちゃん倒れちゃったし、急いで外に行くよ~」
外に出ると玄関先の地面にエラルが昨日同様に大の字になって床に寝そべっている。
「さぁ~エラルちゃん、立って~まだ少し体は動かせるでしょ~今日はどんどん負荷を増していくからね~最終目標は四倍だよ~今の倍だよ~」
昨日同様回復術を施されている。立ち上がろうとするが、全然体が思うように動かない。
だが、お昼になる頃には、エラルは三倍まで何とか耐えてゆっくりだが体を動かせるようになった。
そして、朝からラフェルは、丸太を立てて、その上に板を置いただけと実に不安定な造りの机の上に、大量に盛られた森から採取してきた木の実を一粒づつ指で摘み持ち上げ、後ろに設置された小さな直径十五センチ深さ四十センチ程の桶に実を潰さず入れると言う地味な訓練をしている。
その机の上にある実は、何か強力な力で潰されたようになったのが半分以上を占め、後ろに置かれた桶には潰れていない実が三割程入っている。
そして、その桶の周りにも何か強力な力で潰された実の残骸が散乱している。
「・・・あ!また!潰れた・・力加減ってこんなに難しいものなんですか」
桶に入る量と机に置かれている実の量なら、その桶で五杯分はあるのだが、ルルは机の上に置かれている量が既に半分以上使い物にならない状態に成っているのを確認し、森に行き追加で実を取りに行く事にする。
「ラフェルちゃん、その桶を一杯にするまで頑張ってね~。
私ちょっと追加の木の実を森から分けてもらってくるね~。
エラルちゃんは、ソレ続けててね~」
片手を振り森に入っていった。両者とも、ルルの声を聞いているようで全く耳に入ってきていない。
黙々とエラルは決められた道をゆっくりゆっくりと歩き、ラフェルは真剣に力を入れない様に感覚を研ぎ澄まし木の実を机の上から後ろの桶に運ぶ地味な動作を繰り返し真剣に両者共熟している。
森に入ったルルは、木の実を森に要求する。
大量の木の実がルルの前に集められた。その木の実を中に浮かせながら拠点から一番遠い森の方角へ歩いて進む。
直進しているので森にある木々はルルの歩く方向に木々を左右に避け道を自動で作っていく。
目的の場所に到着する。
そこには、ガレガレ荒野からシアキが民にすると言いその返答を夜には聞くと言いこの地に転移で連れて来させた、獣族に分類される昆虫族の昆虫人と言う種族達がいた。
森の木々が左右に分かれ、昆虫人達の眼前に、頭上に大量の木の実を浮かせた異様な状態で、金髪の身長百六十センチ前後の綺麗身形をした神族のルルと言う者が突如現れる。
全員その場でひれ伏し頭を地面に擦り付け、視界を塞がぬようにする。
「ゴメンね~昆虫人の皆~私の前でそれしないでくれるかな~イライラするから~。
今後ひれ伏さず、普通にしててくれるかな~じゃないと私、怒るよ~。
それと~昨日は少しゴタゴタしてて、此処に来れなかったんだ~。
少しシアキ・・この場合はマムラ国王って言った方が良いのよね。
えっと、マムラ国王は、私用が出来て此処に来る時間が少し取れないから~もうしばらく返事聞かせてもらうのを待ってもらえるかな~。
何だったら元の場所に戻してあげるけど~出来ればこの森で少し大人しく待ってもらえると嬉しいんだけど。・・どうかな~?」
拒否権は無いよと言う眼をしながら、そう言い放った。
内容を実行しないといけないと昆虫人達はひれ伏すのを止めて立ち上がる。 全員自分達の部族の長に目線を合わせる。
部族の長は、眼前に居るのは見た目人族である自称神族と言っている者の言う事に下手に逆らう事はしない方が賢明であると考え。
昨日全員で協議をした結果、全会一致で、あの荒野には二度と戻りたくないという事が決まった。
人族の国の民になるというのは、反対と言う意見が多く、出来れば此処でこの者達との関係を絶ち、この豊かな環境地で暮らせないかと提案しようと全員一致で答えを出している。
「それは、私達は待てと言われれば、いくらでもこの快適な地で待ちますとお伝えください。
もう我々は、アノ地に戻りたくはありません。
出来れば、このまま我々の事は、この森に放ち、忘れて頂けないかと、マムラ国王様に口添えをして頂けませんか?」
一度だけ目線が合ったが興味なさそうな表情をして頷いている。
「蜘蛛か~ふふ面白い事になるかも~うん、うん、そっか、そっか、待ってくれるんだね~分かった~。
因みに私、民でも無ければ、仲間でも無い今の貴方達に全く興味ないんだよね~これ以上話し合うつもりないからゴメンね~。
居住に関する事は、マムラ国王が来たら話してよ~。
じゃ~それまで大人しくココで待っててね~。
一応食料は自力採取してね~、でも採取は食べきれる量にしてよね~。
あと絶対、森の木々だけは傷つけない事、これだけは守ってね~。
いい、これだけは絶対守るんだよ~。
じゃ~また来るね~」
そう言い残すと今度は忽然と姿が掻き消えた。
転移でラフェル達の眼前に戻ってきたルルは頭上に浮かせた木の実を机の上に盛る。
ヘトヘトになったエラルを見て、すかさず手を翳し回復させる。
「エラルちゃん、もう一周いけそうね~さぁ~もう一周頑張ってみよ~」
その掛け声を聞きエラルは首を横に激しく振って拒否をする。
「む、無理です休ませて下さい。もう無理です」
「う~ん、ダ~メ四倍になった時に~その一周分がモノを言うからね~」
三倍にする前もそう言われたが本当なのかっと疑いたくなる程実感が無いのだ。
たかが一周でそんなに変わるとは思えないが、神族の修行をやってくれているのだと信じるしかないっと思い気合を入れ動く。
だが、もう疲労しすぎて、今、自分が足を上げているのかすらの感覚が無い状況で、ただ黙々と決められた道を歩き出す。
「そうそう、エラルちゃん、頑張って~、その一周がシアキをビックリさせる位に強くなる秘訣なのよ~」
軽い、この状況でその軽い口調での応援は正直心が折れそうになる。
だが、好きになった人に強くなった所をみせたい、ただその一心だけで、今、体を突き動かしていると言っても過言ではない。
一方ラフェルは相変わらず力加減をすぐ間違え木の実を破壊してはいるが、徐々にその破壊する数も減り桶の中の量が六割無事な木の実で埋まる。
「う~ん、やっと六割って所ね~。
うん、うん、これだけ移動出来るようになったし、そろそろいいかな~、一応コツを今から教えてあげるね~。
ラフェルちゃん、瞼を閉じて、体内に流れる魔素を感じてみて~」
手を止め、指示通り瞼を閉じ、自身の体内に流れる魔素に神経を集中させる。
すると今まで感じた事の無い魔素量が体内を駆け巡っているのを感じ取る。
目を見開き驚いた表情を見せながらルルを無言で見つめる。
「ふふふ、気付いた?それ今凄い量でしょ~多分今までのを一ってすると、今のラフェルちゃんの中に取り込める量は八って所まで上がってるはずだよ~。
でね、それの制御の仕方なんだけど~シアキの言葉を借りるなら~。
その魔素量を元々知っている量まで圧縮するってそんな思考をしてみて~まぁ~騙されたって思ってやってみて~」
瞼を閉じ、集中し体内に流れる魔素を圧縮する思考をする。
すると体が急に重くなり、身動き出来なくなる。
「え!お、重い・・・」
踏ん張る態勢になり必死に重さに耐えている姿を目にし、ルルはニコリと微笑んで見せる。
「ふふ成功だね~今動かないでね~。
その状態で動くと全ての筋組織が断裂するからね~激痛で悶絶することになるよ~。
まぁ~言っても、今、ピクリとも動けないよね~重すぎて・・・今負荷を解除してあげるね」
その言葉をきっかけに体への重みが消え去る。
「どう軽くなったでしょ~でも昨日の負荷は、その身に今、負荷として掛かってるからね~」
「どういう事ですか?」
力の制御をする際体内に流れる魔素を圧縮して体に流す事で一時的に柔らかい物を持つ際とかの力加減を思い通りに制御出来るようになる。
そして、副作用的に圧縮した魔素が細胞一つ一つに重さとなって負荷を掛けてくるのだ。
ただ、これで細胞一つ一つの防御硬度を一時的に飛躍的な上昇をさせられると言う嬉しい副産物も生まれる。
「う~ん説明は面倒だから省くね~。
柔らかい物を持つ際や、通常生活時の力加減を思い通りに制御するにはそうするしかないの~。
ただ副作用的に体に重みとなって掛かって来るって覚えておいてね~。
あと、一時的にだけど、その状態に成ると防御硬度が飛躍的に上昇させる事が出来るから、それも覚えておいてね~。
さぁ~その状態で、木の実を目を瞑って雑に鷲掴みにしてみて~それで実は一つも潰さず持てるって実感出来るから~」
言われている事が全く理解出来なかったがそう言うものだと思い、目を瞑りながら木の実の山に手を差し入れ雑に鷲掴みにする。
普段通りの鷲掴みだ、たいして変わらないように感じるが、先程までの一粒一粒でアレだけすぐに破壊していたのを思えば凄い自然に掴めている。
「実感と言われましても普通に握ってるとしか?」
「あははは、そうだね~普通に持ててるよね~。じゃ~その状態で圧縮している力を解放してみて~」
体内に流れる魔素の圧縮を解放すると、鷲掴みにしていた木の実が何も力を入れていないはずなのにブチブチと実が破壊されていく。
「え!力込めてませんよ?何で?」
「う~ん、それが無意識に微妙に力が入ってるんだよね~。それを今まで制御してたから~さっきは普通に持てたんだよ~。 ね!実感出来たでしょ~、ソレ私も取り入れてる制御方法だよ~」
「お、お、終りました~ルルお姉さん休憩良いですよね~ハァハァハァハァ・・・・」
振り向くと肩で激しく息をしたエラルが立っていた。
「うん、良いよ~少し休憩したら四倍にするよ~」
休憩して良いと聞き四つん這いになり肩で息をしながら休憩している。
本当は大の字になって寝ころびたいが、寝転ぶと起き上がるのが大変だと無意識に思っているのでこの体勢になっているのだ。
回復術をルルは施し、同時にエラルの魔力が底を尽きかけている事を感知する。
数分程度の休憩をさせただけで休憩を終わらせる。
「は~い、休憩終わりね~じゃ~いっくよ~・・」
問答無用で体へ負荷が掛けられる、先程より更なる重さが圧し掛かって来る。
数秒四つん這いのまま踏ん張ったが、一気に視界が揺らぎエラルは気を失いその場で倒れてしまった。
「はい、気絶をしちゃったね~。
うんうん数秒でも、よく頑張ったね~ご苦労様~今日はこれで終わりだよ~ゆっくり休んでね~」
気絶を確認し術を解き、気絶中のエラルを宙に浮かせ体と服についた全て汚れを術で取り去る。
「ルルちゃん、今のはやり過ぎたんじゃない?エラルちゃんは、ただの獣人なんだよ」
「ん?ふふ、これには理由があるからいいんだよ~明日になれば分かるから~。
それより、ラフェルちゃんも今凄い眠気に襲われてきてるでしょ~」
「何で分かるんですか、さっき力を解放した辺りから少しだけ眠気を感じてます」
「まだその解放の習熟度が上がってないし、体が慣れてない分眠気が襲ってくるんだよ~。
私もほら、三人で生活してた頃、よく寝てたでしょ~。
本当に今日はこれで修行終りだからね~。どう自力で戻れそう?」
立ちながら必死に眠気と戦っている。何度か膝から崩れ落ちそうになるが必死に耐えている。
「・・・すみません、その話を聞いて分かったら・・・気合が~・・・抜けてもうダメです」
ガクっと膝から力が抜けたようになり、地面に倒れそうになるのをルルが素早く支える。
「そのまま寝てていいよ~。って!もう寝ちゃったか、うん、うん、よく耐えたね~ゆっくり休んでね~」
両名を連れて室内に転移しリビングに二名分の布団を敷きその上に寝かせ、二日目のルル達の修行は終わる。
丁度それと同時にリビングで寝ているシアキの足下に、ルルの父のダンが転移で現れた。
そのシアキの異様な姿を目撃し体覆っている半透明の向日葵色の物質に躊躇する事なく触れる。
触れた瞬間激痛が走ったので手を引っ込めて確認をする。
見るも無残にボロボロになった手を見て驚いている。
「シアキのそれ触れないでね~怪我するよ~って触れたから分かったでしょ~。
所で何しに来たの~?手短に話して、用が済んだらココから姿消してくれるかな~」
ギロリと冷たい目線を自分の父に目線を向けている。
その眼を見る限り、早く立ち去れさもないと消滅させると言いたそうな眼だと直感し要件を話し立ち去ろうと考える。
「あぁ~分かった分かった。
レレと小僧の仲間達が、先程迄国内で模擬演習をし暴れ回ってたと言うのに、本当に小僧は自由な奴だな全く・・・。
いかん、いかん、雑談している場合ではないな。
小僧が目覚めたら、国と城が完成したので、儂の領域結界術の波動を紋章術として渡すので、小僧に儂の結界内に何時でもいいから儂の下に転移して来いと、代わりに伝えておいてくれ」
そう言い残すと姿を掻き消した。
少し気になる発言はあったが、敢えてここはレレに任せたので忘れる事にする。
これでルル達の二日目は完全に終了した。
--- 80話目のみの後書き----------------------------------------
80話目最後まで読んでくださりありがとうございます。
どうでしたか?楽しんで頂けたならうれしいですが。
では、次81話目で、お会いしましょう。




