---7--- 森家屋内 滞在権獲得?そして・・・
当初一匹の予定が結局はジャイアントラビットを五十二体程も討伐してしまっていた。
取敢えず最後に討伐したジャイアントラビット含め全ての討伐済みのジャイアントラビットをその場に一旦放置しておく事を決め、シアキはラフェルの下へ移動する。
玄関前で寝かせている気を失ったラフェルの下へ駆け戻るや玄関扉を先に開け、力加減を間違って傷付けない様にと細心の注意を払いながらラフェルを優しくお姫様抱っこで抱え上げ室内へ入り器用に扉を足で引っ掻けて閉める。
バタンとかなり大きな音が鳴ったがラフェルは覚醒する事はなかった。
ベッドがある寝室部屋を探し回りラフェルの寝室を発見し部屋に入る。
このまま気絶中のラフェルをベッドに寝かせても良いものかとシアキは少し悩む。
「さて、どうしたものか?寝かすにしても防具は外してだろうし何より一番の問題は失禁してるから確実に下着を脱がして履き替えさせないいけないって所だよな!。
流石に濡れたまま寝かしたら不衛生だし何より起きた時に気持ち悪いよな。
やっぱり起こして自力で着替えてもらう方が誤解は生まれないか、よし起こそう」
そっと片手で頬を優しく叩き刺激を与えて何度かラフェルに呼び掛けてはみるが今回の気絶は相当意識の深い所まで落ちているみたいでピクリとも反応を示さないので起こす事を諦め、実際問題このままだっこし続ける訳にもいかないので自らの手で脱がすしかないとシアキは腹に決め行動を開始する。
ベッドを背凭れにした状態でラフェルを床に座らせる。
正直防具の外し方などシアキは知らないので細かく繋目を近くで観察し頭の中で脱がし方を思い描く。
一応脱がす前に再度優しく頬を叩き刺激を与えて何度か呼び掛け反応をみたがやはり覚醒はおろか身動ぎすらなかった。
「やっぱり起きないか仕方ない、ラフェル~今から防具と服を脱がしていくからな~。
一応なるべく見ないように脱がしていくからな~...よし脱がすか!・・・防具って結構脱がすの苦労するな、ココを緩めてっと・・・」
数分間悪戦苦闘しながら着用している装備している防具をゆっくり慎重に一つ一つ外してあげる。
外装全て外し終えてモコモコの可愛い服の下に楔帷子を着ている事に気付く。
「えっと、この下の楔帷子みたいなのは・・・。
流石に脱がすのはまずいんじゃないか・・・。
いやでもこのまま寝たらやっぱり痛いだろうし脱がすしかないよな。
これは決して女の子の裸を見たいからとかじゃなくてあくまでも救護処置!そう!これは救護処置の一貫でやってる事だよな、うんうん、そうそう」
救護処置であり決して疚しい行為ではないのだと自己暗示を掛けるシアキであった。
モコモコの可愛い服を脱がし下に着用していた楔帷子をも脱がしてあげる。
そして可愛い下着を着けた存在感をきっちり自己主張する双胸が露わになる。
「あとは下半身か、ゴクリ...ラフェルさんこれは濡れた状態で放置すると不衛生になるから救護行為の一貫でスカートを脱がせるよ。
なるべく見ないようにして脱がすね...ごめん」
失禁により股間部分が濡れいるスカートを優しく脱がし、うっすら失禁により透けている状態のパンツ姿が露わになる。
完全に下着姿となる。そのあまりに可愛い下着姿を無防備に晒す美少女の姿を目にしたシアキも健全な男である為、思わず生唾をゴクリと飲み、数秒間、釘付けになる。
だがシアキは寝込みを襲うような卑劣で卑怯な行為に及ぶ男ではない。
流石にこれ以上は見てはいけないと邪念を追いやり紳士的に目を逸らす。
そっとラフェルに布団を掛けてあげ手探りだけで濡れたパンツを脱がしてあげた。
そのまま布団で包み優しく抱き抱え上げベッドに寝かせてあげる。
シアキは男の各欲求を理性で撥ね退け勝利したのだ。
「ふぅ~、あとは目覚めるまでに新しい服とかを用意してあげたいけど、流石にタンスを開けるのはマナー違反だろうし止めておくか。
目覚めてから指示を貰いながらって事でいいよな。
ホントラフェルさん今回は怖い思いさせてごめん。
・
・・
・・・ってか眠い何だこの眠気は?」
眠いのは当り前である。 何しろシアキはレベル一で再割り振りと言う一時的に実力以上の強化状態と成れるチート行為を短時間に何度も繰返し体に負担を掛け戦っていたのだから、その反動で疲労感が一気に襲ってくるのは至極当然の結果なのである。
本来なら戦闘が終わり安堵感が生まれた時点で倒れていてもおかしくなかったのだ。
そして今、気を失っている美少女の服を脱がし終えて寝かし安全な室内に身を置いている現状で色々な緊張から解放された事により疲労感が強い眠気として襲っているのだ。
もう睡魔には勝てず、シアキは防具として体にお鍋を纏わる為に結び付けている蔦で作ったロープを無造作に引き千切り身軽になる。
そしてゆっくりと床に寝そべり眼を閉じるや即効で眠りに落ちしてしまった。
数時間後、先に目を覚ましたのはラフェルであった。
何故ベッドに寝ているのか理解できずあれは夢だったのではと思いながら室内を見渡す。
ベッド横の床の上でシアキが寝息をたてながら寝ている姿を発見する。
その光景に驚き上半身を起こし布団がガバっと捲り自身がブラジャーのみしか着用せずに下半身丸出しの姿である事を目視確認しこれでもかと目を見開き赤面する。
すぐさまラフェルは布団を胸元まで引き上げ隠しながらピンク寄りの思考内容を口にする。
「え!なんで、私ブラしか着けてないの何で下は何も履いてないの?・・・。
え!・まさか・・・私シアキさんと・・え!えぇ~~~~」
そのラフェルの叫び声で、シアキも目を覚まし上半身がまだ重いが上体を起こす。
ベッドの上で上半身を起こし布団を胸元まで引き上げ赤面中のラフェルに向け声を掛ける。
「おはよう目が覚めたようでよかった。
さっきはごめんね。
怖い思いさせてしまったようでな、本当にごめん」
何に対してシアキが謝罪しているのか?怖い思いをさせたとは何か?これは寝込みを奪われたのを言っているのか?ラフェルの中で色々な何やら善からぬピンク的思考で解釈されていき益々赤面する。
そんな状態ではあるが両者の目は合う。
何か自分からシアキに迫り間違いがあった可能性もあるとラフェルは思いながら少し動揺を隠し切れない状態で何があったのかをシアキに尋ねる。
「し、し、し、シアキしゃん!」
―― 噛んだ。 ラフェルって本当に可愛いな~。 しかしちゃんと他者を結構興味を持って見れてるみたいだな~本当に凄いな俺が他者に興味持つだなんて。
「な、な、な、な、なんで私は、そのブラジャーしか着けてない姿なんですか?・・・・。
ま、まさか、その私と・・過ちが、その、その・・・。
いえ!違いますなんで、あなたが何故この部屋に居るんですか?」
ピンク的な善からぬ質問をしようとしていた事にラフェルは耐えきれなくなり、当たり障りのない何故シアキがこの部屋に居るのかと言う質問へと話の軌道修正をし精神を安定させた。 いやこれはただ単位事実を聞き出すと言う事から逃げただけである。
「なんでここに居るかを説明すると。
ラフェルさんが戦闘中、気を失い気絶してしまっていたから、此処まで運んできて。
取敢えず、防具と硬い楔帷子とかを着けたまま寝たら痛いだろと思って慎重にゆっくり外させてもらって。
それから、流石にその濡れた下着を履いたままだと風邪引いたり色々不衛生だろうし、何より起きた時にそんな状態だと気持ち悪いだろうからさ脱がし」
「え!ちょっと待って、ぬ、脱がせたんですか?シアキさんが!」
そうこの家に他にラフェルを脱がせる同性の人物は誰一人いない。
いや異性に裸を、いや上半身は辛うじて下着を着けた状態で下は丸裸の姿をじっくり見られていたと知りラフェルは今まで以上に顔を赤面させプルプル体を震わせる。
「うん、そうだよ脱がせたよ。
この家、他に誰もいないし、起こしたんだけど起きなかったしね。
仕方なく俺が脱がせた。
そんな硬い楔帷子着たままでと、濡れた下着を着けたまま寝るのは嫌でしょ?」
「そ、そ、そんなの頼んでません!。
・・・いえそれよりも、み、見たんですか?そ、その、私の裸を、み、見たんですか?」
赤面しながらも涙目でギロっとシアキを睨むラフェル。
いや確かに見た、裸ではないが、下着姿は確かに見た、短い時間だが美少女の無防備に晒す下着姿を上から下まで数秒間釘付けになったのは事実だ。
これは見たかと言われれば「見た」が事実で間違いない。
シアキも健全な男だ、それは目の前に異性の下着姿があれば目が行く、いや寧ろ、いかない方が不健全であり、これは救護処置を行った際の役得ではないかとシアキは思ってしまうが、無断で見た事実は正当化するのは後々蟠りを生むだけだと悟りありのまま起きたことを説明する。
「だ、大丈夫、大丈夫、
布団を掛けて手探りで下は見ないようにして脱がしたから一切見てないので安心してよ。
ホント俺は気絶して無防備な女の子の寝込みを襲うとかしてないし信じてくれ絶対に故意に揉んだり、擦ったり、臭いを嗅いだりとか、変な事は一切せずにすぐ布団掛けたからさ。
その可愛い下着姿は一瞬、本当に一瞬しか目にしてないだから安心してよ、な、な」
「な、な、な!、も、揉んだり、さ、さ触ったり、に、に臭いを嗅いだりしてなくても、み、み、み、見たんじゃないですか~私の下着姿を~。 シアキさんのエッチ、スケベ、変態。
き、気絶した女子を脱がして舐めるように、私の下着姿や裸を見るなんて最低です」
「いや裸は見てないって、下着姿は一瞬見た事は素直に謝るけどさ、本当に他は決して何もしてないから信じてくれ。
ただ脱がしたのは救護の為、そう救護行為だよ。
俺は決して、そんな寝込みを襲うような卑怯な事はしないから。
もしその、そういう関係になれるなら同意の上でちゃんと段階踏んでだな・・・。
って何言ってだ俺は。
兎に角何もしてないからま安心してくれ。
あ、あと、それにさすぐに俺も討伐の疲れが出たみたいで睡魔に襲われてこの床で寝ちゃったんだよ。
ね、ね、俺に寝込みを襲うとかできないだろ、な、な、信じてくれお願いだ」
このあと数分間ラフェルに向けて変な汗を掻きながらシアキはテンパりつつも真剣に紳士な態度で救護のだけに脱がしたにだと弁明する。
真剣にシアキが弁明する姿を冷ややかな目でラフェルは見ているが「ね、ね」と言う時のシアキは真実を言っている言っていないに拘わらず頑固で話を曲げないと、この短い時間の付き合いでラフェルは把握済みなので、このこの男はきっと真実を話しているのだろうと取り敢えず納得する事にする。
でも、勝手なものでラフェルの乙女心は「少しは欲情に負けて襲っててくれてても良いんじゃない?」っと思いもしそうなっって居たときはどうなっていたのだろうと少しだけピンク的な乙女妄想を膨らませ、また赤面してしまうのだった。
そして未だアタフタし弁明を続けるシアキが可哀想に、いやシアキが愛おしくなるラフェルであった。
「はぁ~その態度を見ていたら、怒る気も起きません。
解りました、今回だけはシアキさんはそう言う事しない方だと信じます。
ところで私が気を失った際、凄い光景を・・・見た様な気がしますが。
えっと最後の記憶が確か・・・。
シアキさんに抱きつかれて回避して襲ってきたジャイアントラビットをシアキさんが殴り飛ばし・・・。
・・・無数のジャイアントラビットの討伐されていた光景が一瞬・・え・・あれって・・・・」
ラフェルは赤面の顔から、段々鮮明に記憶が蘇り、考えが纏まってきたのだろう青ざめていく。
記憶は蘇るものの断片的である為、考えが纏まりきらず、また気絶するのではないかというくらい混乱している様子をみせる。
「えっと討伐の件は魔法の解除方法を聞いてから二体倒したから合計で五十二体程倒したってところかな多分?。
そのままあそこに放置してあるからあとで討伐数確認してよ。
これでお肉調達は出来たし、あと滞在権獲得って事で良いだよね、ラフェルさん?
またあの美味しい肉料理を夕食で食べさせてもらえるかな?。
それともダメかなまだ体調とか万全じゃないだろうし流石に料理は無理かな?」
「え!今、ご、ご、五十二体って?う、嘘でしょ?あんな短時間で?なんでそんな事が出来るんですか?。
いや滞在?そんな事が出来たなら勿論滞在する約束ですし滞在には問題ありませんよ。
って違う!なんで?なんで?人族のシアキさんが?。
えっとえっと強者で種族を偽ってるから?え!でも今は人族なんですよね・・・」
過呼吸気味で、もうパニックになり思いつく言葉や単語が口からただ零れ出ているといった状態に陥っている。
このままでは、また思考範囲を超えて気を失い気絶してしまいそうだと判断し、適当な袋を探しラフェルの過呼吸対処をしてあげる。
「ほら兎に角、ラフェル!ラフェル!こっち、こっち見て~。
はい、落ち着いて~ほらこの袋に深呼吸、深呼吸しようか~。
俺の強さとか一旦忘れよ~。ほらこの袋に深呼吸、深呼吸。
ほらラフェル!ほら落ち着いて~吸って~吐いて~吸って~吐いて~」
徐々に落着きを取り戻し、ラフェルはシアキが何を隠し他種族として姿を偽っているのかは分からないが取敢えず自身の安全確保優先でベッドの脇にあったランプを持ちシアキに向ける。
「シアキさん本当の事を教えてください。貴方は何者ですか?。
人族ではないはずですよね。 正体は何なんですか?。
私の訳とか詮索しないでと言った手前、シアキさんの事情等を詮索するのはご法度なのは十分に分かっています。
でも種族を偽っているなら、正直に正体を証してください。
滞在は許可しますが、種族が分からないと不安ですので、絶対誰にも言わないし、正体が何であれシアキさんを信じますので、も、もし、よければ・・しょ・うたい・・を。
・・・ご、ごめんなさい、都合の良い事を言ってしまいました、わ、忘れてください」
徐々に冷静な判断が出来る状態になり、やはり自身の事も詮索されていないのに自らの都合だけで他人の事情を詮索した事になんと恥ずべき行為をしたのかと後悔が押し寄せる。
武器として突き出したランプを下げ、うなだれる。
「取り乱して、申し訳ありませんでした。
滞在の件は先程パニックを起こした際に認めましたのでそれは有効ですので安心してください。
では改めて、五十二体討伐されましたので滞在の条件は異議を挟めない程条件達成です、おめでとうございます。
この家に、心置きなく滞在してください。
あと、ほ、ほら、お肉も沢山ある事ですし今日は焼肉にしちゃいましょう。
はははは、今はこんな格好なのですぐはちょっと無理ですが着替えたら準備しますね」
慌てて発言を取り消し、話題を変え、自身の行動と今の姿を想像し苦笑いし取り繕う。
そのラフェルの行動と焦りと後悔の入り混じった表情を確認しシアキは一つの思いに至る。
自身の事や経緯等をラフェルには教えても良いと思うのだった、そして笑顔で話し出す。
「滞在許可を出してくれてありがとう。しばらく此処でお世話になるね。
あぁ~もぉ~変な空気にしちゃったね、本当にごめん。
俺もう腹を決めたよ、気持ちよく滞在したいし、今の俺の置かれている現状正直に話すよ。
でも、話す内容は到底信じられないかもだけどさ、それでもいいなら話しを聞いてくれ。
もし話す内容聞いて、此処からすぐ出てけって言うなら素直に出てく事にする。
ただその際、少しだけ食料かパンとかを分けてくれるとありがたいんだがこれは流石に厚かましいよね・・・」
「え!いいんですか聞いても?」
「勿論、俺はラフェルさんの事はこの家に招き入れてくれた時から信用してたるからね。
それにさっき俺の事が少し信用出来なくなって不安だって言ってたでしょ。
そんな武器になりそうな物を突き出してまで俺の事を信用したいから教えてって言ってくれたんだし、俺もラフェルさんには信用して欲しいからさ。
だから話しを聞く聞かないはラフェルさんに任せるよ」
笑顔で話し、あとはラフェルにゆだねる。
自分が凶器としてシアキに向けたランプに目をやり、なんて馬鹿な事をしたのかと後悔する。 こちらも自身の事情をシアキに話すべきと決意をし真直ぐ見つめる。
「じゃ~対等にしたいので私の事情とか現状・・・話せる内容は全てお話します。
ですので、どんな驚く内容でも全て聞かせてください」
自身の事情を話す覚悟をしシアキの話を聞く事を決めゆっくりと頭を下げる。
「別にラフェルさんは無理に自分の事情とか話す必要ないよ。
でもその決意の表情を見せられたら断れないね。
じゃ~ラフェルさんの話しも後で聞かせてもらうね」
今まであった出来事と別世界から転生してきた事を全てラフェルに伝えた。
しばらく黙ってシアキの言葉を最後まで聞き理解しようと努め、理解出来ない内容でもそうであると理解していく。
「少し理解出来ない事もありますが兎に角、全てを信じます。
ジャイアントラビットをあんな短時間で討伐出来たのもそれなら納得出来ますし。
そのお話に出てきた神様というのは、恐らくはこの世界に居る神人族みたいな方ではないかと思います。
あの種族の方々は、気まぐれで助けたり、かと思えば破壊したりもしますので。
そんな方々ですし、シアキさんが別世界から転生して強者であると言われてもなんら不思議ではないかと思います。
それにもうシアキの言葉に嘘は無いと確信出来ていますので疑う事はしません。
私が内容を理解出来ないだけで、そうであると理解し全てを信じます」
「ははは、疑ってくれてもいいんだけどね。
普通こんな話しされたら「頭おかしいんじゃないの」って思われるだろうしね。
本当に信用してくれて嬉しいよ、ありがとうね。
でも正直わかんない事だらけでさ、この世界がどんな世界なのか?。
この世界の強さの平均はどれくらいなんか?。
どんな種族が居るのか?。
会話が出来るから今の所は問題ないみたいだし良いんだけど、字が読めるのか?書けるのか?ってのも分からないし。
魔法の事や使い方とかも全然わからないし。 一応火は出せるけど火力がそもそも無いしね。
ただ現状、唯一解ってる事だけはあるんだよ。
自分と他人のステータスを見たり、割り振ったりして少しだけ強くなれるって事ぐらいね」
「そのステータスってなんですか?もしかして個人情報クリスタルのこれの事ですか?」
ラフェルはシアキのステータスと言うの分からないと言う表情をし、左手を出し手の平を上に向け小声で叫ぶ。
「個人情報クリスタルオープン」
ラフェルの手の平に、縦幅五センチ程度の八角形のクリスタルが現れた。
そのクリスタルに右手で触れると、縦十センチ横十五センチ程度の半透明の画面状に姿を変えた。
その画面上には、ラフェルの個人情報が映し出されていた。
そして自身の情報を躊躇なくシアキに見せた。
--------------------------------------------------------
ラフェル・ラミューラ
[750歳][女性][魔人族_魔人]
[主職] 迷いの森の住人
-[出身国]-----------------------------------------------
ジルベル魔人国家(加護者:ア・メセクト・メセ)
-[各国交通行許可有無]-----------------------------------
ジルベル魔人国通行許可
ラ・アスファラ国入国通行許可(再通行日まで失効)
ル・サルランティア人獣国入国通行許可
-[備考]-------------------------------------------------
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見せてもらった個人情報なる物には、名前、種族、歳、出身国、通行許可有無、備考という項目だけしかない。
まさに個人情報だ、シアキが観ているステータス画面ではない。
またシアキは少し困惑気味でラフェルの情報を見ている。
何故シアキが困惑しているのかが分からないが、ラフェルは話を続ける。
「確かに、この個人情報は、少し取得する時や紋章等各情報を書き足したり書き換えたりする事は出来ますが?。 強くなるのかとは、この備考欄に何か書いてみたりとかするのでしょうか?。 私では神人族の使う神技や業の事は分からないですし、なんとも言えませんが違いますか?。
またはシアキさんの個人情報クリスタルには、そのような項目があるのかもしれませんね。
差支えなければシアキさんのも出して見せてもらえませんか?」
提案に頷き、先程のラフェルの真似をする。
左手を出し手の平を上に向け小声で叫び、その個人情報クリスタルとやらを出してみる。
「個人情報クリスタルオープン」
だがそこにあったのは、ステータス画面ではなく、ラフェルと同じ内容の物であった。
--------------------------------------------------------
マムラ・シアキ
[18歳][男性][人族_人族_人]
[主職] 冒険者
-[出身国]-----------------------------------------------
-[各国交通行許可有無]-----------------------------------
-[備考]-------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
出されたシアキの情報を覗き込む。
「・・・名前と年齢性別種族以外、何もないですね。
・・・?そのステータスとかと言う情報項目は見当たりませんね?。
あ!えっと、け、決して疑っているわけじゃないですよ。
ただ、その、そんな事が本当なら見てみたかっただけで・・・。
・・・。
そ、そだ、シアキさん。
私が個人的に納得したいだけなので、シアキさんに私の事で今まで話した内容以外で、この私の個人情報にも載っていない事とか分かったりしますか?。
それをが分かるなら聞かせてもらえれば、それは真実であり、信じる理由になると思うのですが?。 いや寧ろ出来るならお願い出来ませんか?シアキさん」
もう既にシアキの事を信じている。
より信用したいという欲求が生まれている。
ジャイアントラビットを短時間で五十二体も討伐する強者で自らを介抱する為に紳士的に行動してくれた、シアキに対してはラフェルは淡い恋愛感情に似た恋心さえ覚え始めている。
好きな人の言葉をどうしても信じたいそんな感覚で次にシアキから発せられる言葉を待つ。
「わかった。
えっと今までのラフェルさんとの会話で聞いた内容以外で、ステータスで見知った内容と、その個人情報の内容と違う箇所を教えれば良いんだね」
ラフェルは頷く、そしてゴクリと生唾を飲み込む。
内容次第では自身が抱えている問題、目的の為利用しようとしていた事をに対して、より友好的に自身よりも強者のシアキに助けを求められるかもしれないとラフェルは思うのだった。
「まず、名前が「ラフェル・ラミューラ」じゃなくて「ラフェル・ラミューラ・ジルベル」だって事。
年齢が[七百五十歳]じゃなくて[十五歳カケル?それともバツ?五十]だって事。
あとは、なんだろう?
ラフェルさんがジルベル魔人国の王族で、王位継承順第一の王女様って事ぐらいかな?」
最後のシアキから発せられた発言内容に耳を疑う。
眼を見開きそこまで解るのかと驚愕の表情を浮かべながらラフェルはシアキに向け声を掛ける。
「歳は七百五十歳ですが、その十五歳カケルとかバツ五十というのは何なんでしょうか?。
でも、そ、そ、そ、それより、なんで私が王位継承順第一王女だって・・・。
その見えているんですか?本当に?。
そのシアキさん以外で、例えば私もそれを見れるようにって出来ますか?。
見られるだけじゃありませんでしたよね。
話によると確か強さも弄れるとかってどういう感じなのですか?。
それはどういう意味で何を弄れるんですか?教えてください」
「王位継承順第一王女だってのはちゃんとステータスの備考に載っているんだよ。
強さを弄れるってのは各種攻撃力や、各種防御力や、総体力や、総精神力とかが各数値化されているんだ。
職のレベルが上がった際に生まれる余剰分ってのを、好きに各所に強さとして割振れるって感じかな」
「その職レベルとはが何か分かりませんが、それをすれば今より強くなれるって考え方で良いのですか?。
あと職レベルとやらを上げる条件とかはどうなんですか?」
「今より強くなれるっていう理解でいいと思うよ。
あとレベルの上がる条件とか~何で上がるんだろう・・・。
総経験値項目とか無いし、何が経験値になるのかも不明なんだよ・・。
う~ん、実際この世界に来てまだ何も分かんない状態だからな~職レベルが何基準で上がるかと正直不明なんだわ!ごめんね。
ちなみに、俺は、主職が「冒険者レベル一」で副職が「魔撃魔術士レベル一」って奴で、ラフェルさんは、主職が「迷いの森の住人(打撃魔導士レベル二)」ってなってて、副職に何もセットされてないって状態になってる。
他にセット出来るものが「射撃魔導士レベル一、魔撃魔導士レベル二、王女レベル十」ってのがあるかな」
真剣に理解しようとシアキの説明等を聞き入るが、そもそも概念がないものを聞いているのでラフェルは半分も理解出来ていない。
「副職ってなんですか?やはりよく分かりません」
「無理に全部理解しなくてもいいと思うよ。
ただ、頭から否定せずに理解しようとしてくれる事はすごく嬉しいよ。
ありがとう、ラフェルさん信じてくれて、ホント惚れてしまいそうだよ」
シアキの言葉を今すぐに全てを理解するのは難しいので、徐々に理解していけばいいと一旦考えるのを諦める。
それよりシアキの最後の言葉に動揺を隠せない。
自身もすごく淡い恋愛感情をシアキに抱いていると感じている両想いで?かと恋愛ネタに弱いのでパニックになる。
「な!惚れ・・・え、あ、私は魔族なんですよ、いいんですか?って何言っているんだろう。
あのえっとその違います、違います、えっと、そうじゃなくて。
そう!私のその強さの数値って、今いくらなんですか?」
そういった話は苦手なので、誤魔化す為、自分の今の強さの各数値とやら訳の分からない事を聞いてしまった事に少し後悔する。
だがシアキが話そうとした瞬間、突如として邪魔が入った。
今ラフェルが上半身をベッドの頭部分の縁に預け下着姿を隠す目的で布団を胸元まで被せて座っている。
その足元に突如、激しく眩しく光る光源が現れる。
そのあまりの眩しさに、両者は手を翳し光を遮るがそれでも強い光源の為目の閉じてしまった。
そして光源のあった辺りに何者かの気配を感じるのだった。
--- 7話目のみの後書き----------------------------------------
7話目最後まで読んでくださりありがとうございます。
どうでしたか?楽しんで頂けたならうれしいですが。
謎の光源が・・・何でしょうね?
「・・・・・・・・・・・」何でしょうね?。
もう鋭い読者の皆様ならもうお気づきの方もいるでしょうね
では、次8話目で、お会いしましょう。