---69--- 拠点 真実を知ってもそれはそれ! 2
自分の魔族に対する起源、由来、原点を聞く意志がどれ程あるかを魔族である三名に訪ねる。
「じゃ~ラフェル、聞く覚悟はあるのか?」
「はい、あります。
魔族の起源、由来、原点が何なのか知識欲を満たしたいので、聞いた事で私が私でなくなる訳ではありせんし、是非聞けるなら聞きたいです」
「よし、じゃ~アイ、聞く覚悟はあるか?」
「はい、私もそれは聞いてみたいので、是非聞きたいです。
魔族の起源、由来、原点等が分かれば私の種族が何故こんな容姿でこの能力なのかも分かり、より自分の力を使いこなせると思いますので、是非聞きたいです」
「じゃ~ビデアはどうする?お前中身は人だが、一応その種族的な事聞きたいか?」
「私はどちらでもいいです。知ってどうなる訳でもありませんし。
このまま仲間で居られるなら、聞いて種族的弱点とかを把握するのも良いかも知れませんので、聞いて損は無いかと思いますし、聞かせてください」
「よし魔族である三人全員聞くという事だ。レレ話してくれ」
話すように促され話そうとしようとするが、それより先に言葉を遮られる。
「ま!待ってください」
唯一仲間でない、フジイデ王国の加護者の「セ」の一族である神族のセ・セガミル・ララドが今までの話しを邪魔しないように聞いていたが、恐らく自分が聞くような話しでないと判断し、話される前に止めに入たのだ。
何故このタイミングで止めたのかと全員の目線を集める。
「すみません、レレ様お話を止めてしまい、ですが、私の様な者がこれは聞くべきではないと思いまして退出を・・ヒィ~」
その行動に対して苛立ち、レレは、虫けらを見るような目をしながら睨みつける。
発言途中ではあったが、睨まれた事で恐怖を覚えて席を立ち、綺麗な一礼をして見せる。
「す・すみません・すみません今すぐこの場から消えます」
自分と関わった以上、ちゃんと聞いていけと言う気持ちが生まれ、シアキは慌てて魔聖素でララドを囲い込み術を使えない状態にする。ここで逃げるなど許さない。
「待て待て、ララ、取敢えずお前も神族なんだし聞いていけって。
俺と関わりを持ったんだ、ちゃんと聞いていけ。 まぁ~神族の事話すんだ折角この場に三神族が揃ってるんだし牽制にもなるだろ。
さぁ~座れ、座れ、たぶんお前も聞いて損は無いはずだって」
今すぐ逃げるべく転移の術を発動させようとするが発動しない。
またこの男に術を使えない様にされたと認識し、こんな男と関わり合いになった自分を呪うのであった。
しかも「ア」の一族と「ラ」の一族が顔を連ねているのに平気で食事をし、口に物を入れながら話しているその態度に恐怖を感じる。
実際神族間でも「セ」の一族は両一族から軽視されている。
その事を踏まえても、恐らく今から話される内容は「セ」の一族である自分如きが聞いてはいけない、いや知るべきではない無いはずの話しをされるに違いないのだ。
きっと「ア」の一族であるルルの妹が、直ぐに立ち去れと言ってくるのを期待し、言われたらこの場から走って立ち去ろうと考え、次来る言葉を待つ。
「ふん、お義兄様が聞いて良いと言っているのですわ、さっさと座りなさい。
たかだか「セ」の一族風情が、この私の発言を止め、苛立たせないでくださいまし。
・・・お義兄様の許可が出なかったらこの場で屠って差し上げましたのに残念ですわ。
さぁ~何時までそうやって立っているのですの?早く座りなさい、本当に目障りですわよ」
その考えられない返答を聞き眼をシバシバさせながら呆然と立ち尽くす。
そして、二度目の座れとの要求を受け、慌てて席に着く。
「では、お義兄様、まず神族の敵が神族と言う事から話しましょうか?。
それとも魔族が、私の玩具である事からお話ししましょうか?」
大体の思考はシアキの中では既に完了しているので、後は答え合わせ的な感覚で聞くだけだ。
どちらから聞こうが大して差は無い、目新しい情報が出ない限りこのまま食事をしながら、「ながら聞き」をしようとレレと目線を合わせる事なく食事に夢中になっている。
この態度を見て、レレが怒るようなら、それを利用しようと考え、無礼極まりない態度で相手の話を上の空程度で受け流そうとする。
「ん?。そうだな~もう大体お前達の反応とか言葉の節々で、大体は予想出来ているから、俺はどちらからでもいいぞ。
そうなだ~・・・俺はこのまま食事をしながら聞くから、簡単に短く聞かせてくれ、あまり長いのは駄目だぞ。
あと、皆も食事をしながら聞けよ、レレも皆食事しながら聞くからお前も食事しながら話していいぞ。
特に目新しい情報ない限り俺は食付かないから、気にせず話してくれ」
その態度を見た「セ」の一族のララドは、目を見開き次に起きる「ア」の一族がキレて戦場となる光景を思い描き震え固唾を飲み、今すぐこの場から立ち去りたいと切に願うのであった。
一方シアキの態度を見て自分が強者なのを知っていてもこの振る舞いが出来る肝の据わった者であると感心し、既に思考済みである事を尊敬の眼差しで見つめる。
「ふふふ、その様な無礼な態度は本来許せませんが、お義兄様がそう仰るなら良いですわ。劣等種達、食事をしながら聞きなさい。
しかも、既に大方の思考が済んでらっしゃるとは、流石、私が惚れたお義兄様ですわ。
では、お義兄様が予想出来なかった情報を、お聞かせ出来るように、少し考えて話さないとですわね。
ふふふ、きっと予想は大幅に外れますわよ。
・・お義兄様の年月を換算しないとですわね、となると・・一年は百年単位であるので、今から約八億年前となりますわね。
その頃、神族と雑多の劣等種達がこの世界に居りました。
まだ、この頃は、まだ魔族と言う者は一人も居りませんでしたの、居たのは、お姉様のような光属性の神族、後の「ラ」の一族と、私のような闇属性に目覚めた神族、後の「ア」の一族の二つの神族しか居りませんでしたの。
軽く神族についてですが、基本光属性の神族のみしかこの世には誕生しませんの。
闇属性の神族は、光属性神族が生後百年で闇属性に目覚めた覚醒するかどうかで決まりますわ。
あら?これも驚きませんのね。
その頃の神族は二族しか居らず、この当時「セ」の一族は影も形は居ませんの、ふふふ、これはある理由で生まれた、闇属性に一切覚醒しない劣等神族種なのです。
そして今から五億年程前一度、光属性の神族である「ラ」の一族と、闇属性の神族である「ア」の一族との間で大きな戦争が起きました。
今もそれは続いておりますが、表面上冷戦状態ですの。
それはそれは二つの一族の血で洗う血を洗う激戦を約千年間繰り広げていたそうです。
その時の事は私は知りませんので、ココは軽く流しましょう。
まぁ~言うなれば神族同士の互いの一族の数の減らし合いを永遠と千年行っていたそんなつまらない話ですわ。
そして今から四億年程前、休戦状態に入り、互いの一族数を増やす事と、戦力補強に専念していたそうです。
ただこの頃になるとお互い一族の数が激減しておりましたので、代理戦争を劣等種にさせていたそうです。
その時「ラ」の一族は、戦力補強の為、一つ生命を創造したのです。
自身の肉片を元に、闇属性に一切覚醒する事の無い、あらゆる生物に恵みと恩恵を与える事に喜びを感じる様にさせて、「セ」の一族を作り、この代理戦争に投入したのです。
ですが、これが見事に失敗、戦闘中、闇属性ではない生者であればどんな劣等種であれ、助けを求めれば助け恩恵を与える始末、ついに「ラ」の一族を裏切り、事もあろうに、劣等種を守り始めたのです。
その時「ア」の一族も「ラ」の一族の劣等神族の失敗経験をすぐさま取り入れ、ありとあらゆる劣等種を集め、自身の肉片を混ぜ、神族の劣化版を生命創造し戦力補強をしましたの。
これが初期型の高位魔族の起源ですわ、私に言わせれば劣等魔族種ですわね。
これも見事に失敗作で、同種以外に嫌悪感を持ち、神族の劣化版だけあって、最初は「セ」の一族の数を順調に減らしていたのですが、「セ」の一族の一部が魔族に加護を与えたせいで、「ア」の一族に多数犠牲を出したそうですわ。
そしてお姉様が生まれ五百年目に、劣等魔族種達が力を得て「セ」の一族をその手で倒せた事で調子に乗り出したのですが、お姉様一人で二日と掛からず全て屠り全滅させ、ついでに、「ア」の一族を半数以上屠ったそうですわ。
ですから、お姉様は「ア」の一族の最大の天敵と言うわけですの今でも。
そして、私が生まれ、闇属性に目覚め覚醒したのですが、私は少し変わっておりまして、同族、他種族に一切興味はなく、唯一生者のお姉様にしか興味を示しませんでしたのですわ。
お姉様が見せる表情と力、術の全てを私は収取すべく、お姉様がその力を存分に発揮しているお姿を見たく、覚醒後約四百五十年程度魔族の研究に明け暮れておりまして、ようやく一つの答えに辿りつき、私の血液と、各種劣等種三種を組み合わせ魔族の生成したのですわ。 容姿等や年齢等はそのままで別の記憶を植え付けて色々実験した末に創り生み出したのが貴方達、他種族から嫌悪感を持たれ、己の欲を追求し生甲斐を見出す完璧な、私の玩具である新生魔族と言う訳ですわ。
そして私がお姉様に対抗させるべく創った玩具達がある程度の量に達したので、当時のお姉様に次々ぶつけたのですわ。
それはそれは楽しかったですわ、ぶつけては殲滅され、#私__わたくし__#とお姉様との争いは百年程続けましたが、結局お姉様は、私が創った魔族達への対抗術を完成させてしまい飽きられ、そのまま争いは終結しました。
これが今から約千百年位前の話しですわ。
私も、それに合わせてお姉様の対抗術全て手に入れてしまい飽きてしまいましたので、それ以降は魔族を創らず放置していましたの、ふふふ。
あとは私が創った玩具の魔族の仕組みがですね~面白いの・・」
ただ掻い摘まんで、話していると思われるが、これは不味い内容が含まれている。
「ア」の一族の加護を受けている、ラフェルの国に、「ラ」の一族の加護を受けている、俺の国が攻め込むという事は、その代理戦争になりかねない事案だ。
内容はルルが居る限り恐らくはそう簡単に相手が襲ってくるとは思えないし、正直一族間の争いなどどの世界でもあって当然で、どうでもいい話しだ。
これで、宣戦布告して、ジルベル魔人国の連中が攻めてきた事も、勘違いではない可能性が出てきた。
もしかすると、「ア」の神族の誰かがレフェア・ラミューラ・ジルベルに力を与えている可能性がある。
仲間達が居る以上、確認しておかなければならない事案が出来たので、食事を止め、レレの話しを途中で遮り質問をする。
「あ~レレもういい。
どの魔族がどれとどれの掛け合わせとかの誕生秘話は良い。
詳細内容を聞きたい奴は、個別にレレに聞きに行け、この話はこれで終わりだ。
それより、レレ、お前達、「ア」の一族で変り者とかは居るか?。
例えば魔族に、惜しげもなく恩恵を与え強くしたり、物品を与えたり、影から攻撃をしろと唆したりとかする奴とか居るか?」
「今この世界に居る魔族全て、私以外の者が、どんな小さな術であっても、魔族に神族が恩恵を与える事は基本出来ませんわ。
ふふふ、そうですわね、私の玩具に勝手に恩恵を与えたりする者が居たとしましょう。
その相手が幾ら対抗策を生み出したとしても、私の玩具に施した血の呪縛対抗条件を満たさない限り、神族が恩恵を与えた時点で、呪縛が発動しその者の命を終わらせ、幾らその者が蘇ろうとも、永遠に死に続けますわ♪。
たとえ直接ではなく物に恩恵を与えそれを与えても恩恵として世界から認識されるでしょうからそれもあり得ませんわ。
これは全神族が知る魔族の取扱に対しての周知事項ですわよきっと。
ただ、お義兄様の心配される事は、何となく分かりますわ。
そうですわね・・可能性は低いですが、言葉巧みに誘導をして動かすという事なら出来ると思いますわ。
術で支配も出来ない以上、将来起こるであろう「ラ」の一族との戦争に向け、言葉だけで動ける人材を育成していると言うのはあり得ますわね。
あと恩恵を与えられるのは国の加護者として国境結界を構築し部外者を入れない様にし、戦力を守るくらいですわね。
この結界とされる拘束術は、恩恵としては世界から切り離されているので、魔族に神族が唯一与えられる術はこれ位ですわね」
全神族は魔族に対して恩恵を直接間接共に与えられないという情報が手に入った。
だが、それだと一つ疑問点が生まれる。
仲間の神族であるルルは、魔族に対して術で色々やってくれているが、呪縛を受けていない。
いや受けて我慢している可能性があると考え慌ててルルに身の安全な状態であるのかを確認する。
「おい、ルルお前、呪縛を受けて死にかけているとか無いよな?」
興味ない事は徹底的に興味を示さないルルは、話を聞きながら、黙々と料理の肉ばかりを口一杯に頬張っている。
「ふぁいふぉうぶふぁふぉ~、大丈夫だよ~私~レレちゃんの全ての術に対して対抗術を保有してるから~そんなに気にしなくて良いよ~それに危ない事しないし~」
心配したのが馬鹿らしくなる程、いつも通り軽いゆるい口調で喋りながら、黙々とラフェルの眼を盗み、料理から野菜をこっそり除けて、肉ばかりを口一杯に頬張っている。
「ふふふ、お義兄様、私が創った玩具に、お姉様が術を掛けられなければ、壊す為の術を試せないではありませんか!。
どれだけ、お姉様が、私の玩具を、その華麗な術で壊した事か、見せて差し上げたいくらいですわ」
「ははは、要らないってもう十分ルルが強いのは分かってるしな。
よし俺は少し今後の事を考えるから、皆は取敢えず食事を続けておいてくれ・・」
右手人差し指と親指を顎に当てながら、シアキは小さいが考えを声に出し整理する。
神族は派閥争いが有ると言う事実と、魔族には恩恵を与えられないと言う事実。
現「ア」の一族で「ア・メセクト・メセ」の加護国の、ジルベル魔人国からの刺客が放たれた事実。
最も遇ったら危険と聞いた「ア」の神族である「ア・エルレシュ・ガルア」と間接直接問わず近い将来遭遇する可能性が高まった事。
王位継承順第二位の者が女王にならず、三位であったレフェア・ラミューラ・ジルベルが女王になった事。
神族「ア」の一族が言葉だけで動かせる戦闘要員として魔族を手懐けている可能性があるという事。
それらを踏まえ少し考えただけで気になる点が出てきた。
「う~ん、ラフェル、ちょっと聞きたいんだが。
現女王の「レフェア・ラミューラ・ジルベル」って、すぐ自分の考えを変えて、他人の言葉を鵜呑みにするような性格か?」
「いえ、少し気は弱いところはあったと思います。
私を見ると脅えて柱の陰に隠れるような子でしたが、他人の意見は聞く子じゃないです、目的を決めたら、それこそ邁進し失敗しようが結果を追い求めるような子です」
実に厄介な性格だ、目的と結果を優先し過程はどうでも良いとう猪突猛進タイプだと推測される。
言葉だけで洗脳するには、丁度良いタイプだ、過程が幾ら間違っていても、結果が全てと言う腐った奴を利用するのは、人材的には打って付けだ。
恐らく「ア・メセクト・メセ」により言葉だけで洗脳されている可能性が高いと感じた。
「じゃ~あともう一つ聞きたいんだが、王位継承第二位の奴って、もしかしてだが、目的を決めて結果を得ようとする前に、十分すぎる程、過程を考える程に慎重に事をなそうとするような奴じゃないか?」
「はいそうです。何で分かったんですか?。
現女王がレフェアって聞いた時、私、驚きました、恐らく王位継承第二位の「フェフィア・ラミューラ・ジルベル」って私と血は繋がっていませんが、その妹が女王になっていると思っていました」
この発言で確信する。 確実に陰で糸を引いている人物が「ア」の一族である神族の「ア・メセクト・メセ」で間違いないと!。
恐らく自分の加護する国に、「ラ」の一族の加護を受けた国の者が攻めて来た、これを代理戦争だと思い込んでいるので、レフェアを言葉巧みに焚き付け刺客を送り込ませたに違いない。
もう確実に「ア」の神族に自分達、いや己の命が狙われる事になると確信する。
仲間を守る為には、相手の怒る情報、性格だけでも知っておけば有利に事を運べると考え、レレに質問する。
「ラフェル、教えてくれてありがとう、少し分かった気がする、何でレフェアって奴が王位に就いたかが。
な~レレ、「ア・メセクト・メセ」って奴と「ア・エルレシュ・ガルア」って奴を知ってるか?。
恐らく当面そいつらと鉢合わせする可能性が高くなったんだ。
今遭遇したら確実に俺は、そいつらに殺されるし、何より俺の大切な仲間が屠られかねないんだ。
そいつらの情報、いや特に何をしたら怒るのかと、性格的な情報を知っていたら教えてくれないか?」
投げかけられた質問内容に、ある神族名が含まれていた。その名を聞き眉間に皺を寄せ口元と目元をピクピクさせながら、内容を聞き返す。
「お義兄様の命を・・・!。いえそれより、お義兄様!今「ア・エルレシュ・ガルア」って聞こえてきましたが?何かの聞き間違えですよね?」
もう笑っているのか怒っているんか分からない表情で首を傾げこちらを見据えてくる。
その表情を見る限り、その相手に相当の恨みみたいなものが有るのは明白だ。
利用しない手はないが状況によっては最悪の事態になる可能性があるので、ココは利用しない方向で、突然転移されない様に魔聖素でレレの周りを覆い、何食わぬ顔で再度質問をする。
「ん?聞き間違えじゃないぞ、「ア・エルレシュ・ガルア」って奴と、「ア・メセクト・メセ」って奴の情報を少し俺は知りたいんだ。
何でも良い趣味みたいな事でも、何かに固執しているとかでも、些細な情報で良い、何か知っていたら教えてくれないか?。
それともやっぱり同族だから教えられないか?」
「お、お義兄様の口から、はっきり聞きましたわ、あのお姉様を侮辱した憎っき、その名を、エルレシュ、今すぐ屠りに行きますわ。
もう許せませんわ、私のお義兄様の命まで狙うとは、いえお義兄様の障害になる全「ア」の一族を屠りましょう。
そして全員、私の私物化にすれば、お義兄様の命の安全は守られますわね。
ふふ、ふふふ、待っていてくださいね。
お義兄様の邪魔をされる者は許しませんわ・・あれ?またですの!」
転移しようとしたのに転移出来ず少し不満そうに口を尖らせこちらを見てくる。
「ははは、すまんが転移出来なくしたぞ。
そんなつまらない事はしなくていい、もしそんな事したら今度は「ア」の一族から狙われ、その次「セ」の一族から狙われ、そしてその次に魔族に狙われってどんどん狙ってくる奴が変わるだけだ。
こう言う場合は、出てくる奴らを片っ端から、手も足も出ないように、心を縛って生かしている方が利益としては大きいんだぞ」
「分かりましたわ、お義兄様がそう仰るなら仕方ありませんわね」
「よしじゃ~取敢えずこの件は後回しな。
一旦忘れろ、あとでレレに個別に聞くからその時に色々教えてもらうからな。
今は食事だ食事、う~ん美味い~今日の飯は最高だ」
一応相手には伝えないで、無効化の為に行っていた、ララドとレレの魔聖素で覆っていたものを解除する。
取敢えず終わりだと言いつつも、そんな事は微塵も考えていない、そんな眼をしながら、シアキは食事を摂っている。
もう食べながら幾つも策を思考しているのだと分かる程表情が硬い。
「ふふふ、シアキって都合が悪くなったらすぐ話題替えるんだから~。
あんまり一人で考えないで仲間の私達を頼ったらいいのに~、ふふふそういう所、私そっくりだね~。
ははは、でも今レレちゃんから、私達神族の秘密と私が魔族全滅させた事とか聞いたのに、ホント皆、私の事を怖がらないよね~。
ホント~皆も、シアキも、普通じゃないね~ふふふ、これこそシアキの仲間達だね♪安心した~。
でもシアキ~ホント、どうしてそんなに考えられるのに、恋愛系だけは駄目なんだろうね~そこもちゃんと私達を縛って欲しいものだよ~」
最初食い入る様に聞いていたラフェルも途中から食事をしながらレレの話しを他人事かのように聞いていた。
「シアキさんと居ると、こんな凄い話聞いているのに、何とも思わなくなっている自分が本当に凄いと思います。
私達魔族が、レレちゃんに創造されたとか知れてよかったです。
それに、真実を知ったとしても、ルルちゃんはルルちゃんですしね。
私が生まれていない昔の魔族全滅とかを聞いても、今更って感じがしますしね」
「そうじゃぞ、幾ら真実を知ったとしても、それはそれじゃ!。あの戦争のキッカケがルル殿達じゃったとは驚きじゃがな・・我等仲間の中にルル殿を恐れるとか有り得んからの~。
それにじゃ!ルル殿が規格外の強さなのは、皆が知る所じゃしの~凄い話じゃろうが、我はシアキ殿の仲間である以上、驚かぬぞ。
それにシアキ殿、我のこの姿はいつ弄ってくれるのじゃ?我は結構弄られるのを待っておるのじゃぞ!」
フォークをシアキに突きつける形でさも不満だと言う感じで頬を膨らませながら訴えている。
「ん!あ~そうだな、フェンラ本当に良かったな。
その姿が第一形態なんだろ?力制御出来るようになったって事だな、なんか仲間が成長したって実感出来て俺は嬉しいぞ。
どうだ!アイ、フェンラが邪眼の制御に成功しているぞ。
お前の希望っ通りの現象をこんな早い段階で目の当たりに出来て、どうだ!、今、凄い充実しているんじゃないか?」
正直与えた邪眼を使いこなし、力を完璧に制御しているその姿を見られた事は嬉しい。
だが、もうそんな事はどうでもよくなっている、自分が居る。
寧ろ邪眼付与による力の暴走等が起き大切な仲間のフェンラが怪我をしないかが心配なくらいだ。
それに何より、今まで生きてきてこれ程充実した事は無いと思っている程、このパーティーの仲間になって数日で、この者達と楽しく出来る限り長く仲間として冒険をし続けたいと考えが変わっているのだ。
あともう目的がアイの中で一つ決まっている。
それは、自分の能力を少しでも役立て、ラフェルを王位に戻し、ラフェルの自国民を愛する心の深さと、自国の平和と安定を望む姿を、領民達にも見せてやりたい。
そしてラフェルが王位に就いた事で、自国が平和な国になっていく様を領民達と共に見たいと言う欲求、いや目的が生まれているのだった。
「シアキ様、もう私はその他者に付与した邪眼が、きちんと制御され魔素焼けを起こさないかどうかと言うのには、もうあまり興味はありません。
もう私は目的が変わっておりまして・・・この際です、皆様に私の新たな目的を聞いて欲しいので聞いてください。
私は私の領民達にも、ラフェル様の自国民を愛する心の深さと、自国の平和と安定を望まれる、その姿を見せてやりたいのです。
そしてラフェル様が女王と成り、王位に就いて頂く事で訪れる、自国が平和な国になっていく様を領民達と共に見て感動を分かち合いたいのです。
私はジルベル魔人国王にこれ程迄に相応しい方に出会え、そのお心に触れた事で考えが変わったのです。
その為に、私の力が少しでも、ラフェル様が女王に戻る為に、役立てて頂けたらと思って言います。
そして皆様とこれからも共に冒険者として長く冒険出来ればと思っています。
そこでこの際です、私の為と思って、フェンラさん!聞いてください。
貴女の邪眼の回収は、この場を持って、契約を全て破棄させて頂きたい。
もう私は仲間を契約で縛り、私自身を偽り、このパーティーの仲間でいる事が耐えられ無くなってしまいました。
私は、フェンラさんに邪眼回収という事で精神的に追い込んだ手前、それを許してもらえないのは十分、分かっています。
その責めを受け償えと仰るならどんな罰でもこの身で受けさせて頂きます。
契約廃棄をした後、仲間として迎えて頂ければ、私は皆様と真の仲間となれると思うのです」
魔族が契約した以上遂行しないとどうなるか目に見えている。
しかも領主であるアイがもしそんな事をすれば、領民と同族にどんな仕打ちを受けるか容易に想像が出来る。
その姿をシアキが見れば不快な気持ちにさせる事になり、惚れた殿方が己の我儘で得た事で不快な気持ちにさせる事だけはしたくないと思い慌ててアイの言葉を取り下げるよう訴える。
「アイ殿、アイ殿、そう早まるでないのじゃ。どうしたのじゃ!。
そんな事を我は望んでおらぬのじゃ、我との契約は、今まで通り続行で良いのじゃ。
アイ殿が、ラフェル殿を王の座に就かせたいと言う気持ちは分かったのじゃだが、それと我との契約の話しは別ではないかと思うのじゃ!。
もしここで契約を破棄してしまえば、アイ殿が領民や同族を裏切る事になってしまうではないか!。
そうなればアイ殿の命が逆に狙われる事になり、それこそ、ラフェル殿や、シアキ殿が悲しむではないか!。
それにアイ殿は、我との契約が有ろうと、もう真の仲間じゃろ、どうして偽りの仲間等と言うのじゃ!、そんな事を思っておったのなら我はそれに対して怒るのじゃぞ。
我が寿命迎える迄、このままの関係が最善なのじゃと我は思うのじゃ、いや絶対その方が良いのじゃよ。
シアキ殿からも言ってやって欲しいのじゃ!」
助けを求めるような目をしながら訴えてくる。
本当に鱗が無いだけで、こんなに人族そっくりになるんだなと感心しながら見惚れながら、アイの提案を実行した時の事を考える。
考えが変わって自国の為、ラフェルの王位の為と言ってくれている。この事は素直に喜ぶべきだ。これは領主としていい判断でもある。
先にラフェルに取り入っていれば、王が交代した際優位に事がなせ、領民の命を守る事にも繋がる事だ。
そこまでアイは裏読みして行動出来るようなタイプではないと短い付き合いだが分かっているので、恐らくこの発言は、素直にラフェルの平和主義な印象が刷り込まれ、本心から言っていると思われる。
契約をこの時点で破棄した場合、ラフェルが王位に就いて国が平和になるまでは、口外できないであろうし、何より契約解除をあんなに拒んでいた位だ。
絶対種族的な何かしらの罰則や掟等が有るに違いない。
それらを持ち出されたら厄介でもあり、下手な実例を残せば、安易に邪眼の付与を求める者が出てきて、回収を拒み生きながらえさせろと言われるのは容易に想像出来た。
そう言う奴は、どうしてフェンラだけが特別扱いなのだと難癖付け、将来的に女王になったラフェルに魔素焼けを何とかしろ、慰謝料を払え等、無理難題を突きつけ、回収を阻止して利益を得ようとする奴が出てくるだろう。
切羽詰まった奴は絶対善からぬ事を考える者だと思い至る。
「う~ん、アイがそうやって自分の口から考えを変えてくれる事は嬉しいが、お前のその軽率な行動は後々大きな災いになりそうだから却下だ。
まず同族達に示しがつかなくなるだろ。
それに下手な実例を残せば、安易に邪眼の付与を求める者が出てきて、魔素焼け起こした奴が回収を拒み生きながらえさせろと言うに決まっているだろ。
将来的に女王になったラフェルに直談判で、どうしてフェンラだけが特別扱いなんだと難癖付け魔素焼けを治せ、慰謝料を払え等、無理難題を突きつけ、回収を阻止して利益だけを得ようとする奴が絶対出てくる。
そんな奴らが沢山出てみろ、お前の種族は、ただの生体道具として扱われるだけの存在になりかねないだろ、分かってくれ。
まぁ~フェンラの寿命を迎える迄、その契約は続けてくれ、それこそ、偽りの契約で良いからさ。
その方がお互いの利益に繋がると思うから諦めてこの件は忘れて、同族には俺に脅されているって言っておけよ!。
それより、アイ!少し体の件で幾つか確認の為、質問したい事があるんだが良いか?」
契約の解除する事で将来起きるであろう内容を聞かされ、迷惑を掛ける行為に繋がると諭されて、納得する。
「え・・は、はい体の事ですか?何ですか質問とは?」
「ちょっとな!。
例えばなんだが、他種族の生体とアイが共生関係をしたとして、その者の元々持っていた能力は残し、意識や精神もそのままで、寿命を少し伸ばし、攻撃力、防御力もそれなりに上げるとか出来るか?」
この質問で自分の体を既に人族の病気で死にかけの誰かを用意し確保しているのだと確信する。
その病気を治しその者と一緒に生きてくれという事を言っているのだろうと考え、出来る事を伝える為、返答する。
「・・生体との共生ですか・・そうですね。 言われた内容は可能です。
意識や精神はそのまま表に出した状態は出来ます。
元々ある能力をそのまま存在させ続ける事も出来ますし、追加で覚える事も出来ると思います。
寿命は魔族に種族変更する事になりますので、その際、元の体の病気等は全部治癒され、寿命そのものも私と同じ位にはなると思います。
攻撃力と防御力も基礎値が魔族のそれに置換わります」
これで、獣人の短命である事は解決出来、エラル自身の精神も意識も、そのままに出来ると確信が持てた。
あとは、共生を解除した時のリスク的要因が何か有るかだけを聞くだけだ。
「よし分かったありがとう。
あともう一つだけ!その者が共生を解除して欲しいって願った場合、その者はどうなるか教えてくれるか?。
魔族から元の種族に戻れるとか?。
どちらかが死んでしまうような事があるとか?。
これは重要だから隠さず、解除したら起きうる不利な点、全部に教えてくれ頼む」
本来共生状態を望む者が態々共生を解除する申出をする事は略無い。
共生者である魔眼族が飽きて共生を解除する事はあるかもしてないが、まず共生元がそう言った要求はしない、何故なら確実に共生して共に行動している時より弱体化するのだから。
「共生元自ら解除ですか、また珍しい事を仰いますね。
そうですね、強いて上げるなら不利な点は二つです。
共生解除をすると、共生者の強さが減るので、確実に弱体化するという事ですね。
共生解除をしても、元の種族には戻れませんので、元の種族から罵声を浴びたりし精神的苦痛を味わう可能性があります。
あと、シアキ様が言うような、共生解除をしても、お互い死ぬ事はありません」
これは大きな誤算が一つあった。共生すると魔族のままで、二度と獣人には戻れなくなるという事だ。
同じ内容を聞いているエラルは黙々と食事を進めて気にも留めていない様子だ。
「そっか~分かった。
エラル、ちょっと修行後迄に、もう少しだけ考えさせてくれないか?。
一応種族が変わって戻れなくなるらしんだ。 これは流石に俺も誤算だったから、違う手を考えたいんだが、白紙に戻して良いか?」
「私はもうこれ以上何も考えません。
もうじっくりこの件については悩みましたし、アイ様が良いと言ってくだされば、種族に未練はありませんし構いません。
白紙にしないで良いですし、違う手は恐らくないですので、考えないでください、その間も私は成長し老いるので!、シアキお兄さんも腹を決めてください」
その両者のやり取りを見てアイは混乱する。
恐らく次に発せられる言葉が容易に予想出来る。
「やはりそう来るか!よし、俺も腹を括るか!。すまんが、アイ!エラルの修行がおわ・・」
その発言を最後まで言わせてはいけないと思い話を遮る。
「待ってください、本気なのですか?仲間ですよエラル様は!。
シアキ様は仲間をどんな形であれ傷つける事を許さない方のはずではありませんか?。
なのに種族を変更させてしまうのですよ、私と共生してしまえば魔族になり二度とエラル様は、獣人に戻れなくなるのですよ?。
種族を冒涜したと同種の獣人達から、嫌悪され罵声を浴びせられ、エラル様が精神的に傷を負うかもしれないんですよ。
シアキ様は、それをすぐにでも思考し予見出来る方ですよね、それなのに、それを承知で言われるのですか?。
今ならまだ私は最後まで話しを聞いておりません、考え直すべきです」
そうだこれは種族の短命差を冒涜する事であり、アイの言う通り仲間を傷つける行為に繋がる事だ。
ただの自分の我儘で、魔族になれば、寿命が延び、その寿命期間ずっとエラルを精神的に傷付け続ける事になりかねない事だ。
それは十分理解している。
「あ~分かってる十分過ぎる程に、それらも思考し踏まえた上で頼むんだ。
これはただ単に俺の我儘である事は間違いない。
仲間が俺より早く死ぬのは絶対に許せないんだ、それが獣人の短命であろうとだ。
屁理屈を言わせてもらい正当化するなら、これは傷をつける行為じゃなく、共生だ、共生、共に生きるって奴だ。
欠点のある仲間が欠点を補える仲間と体を共有し助けあい、共に生きてくれたら、それは良い事だろ?、凄い綺麗事を言っているって十分過ぎる程分かっている。
今回俺も悩んだんだ、どうすれば仲間のエラルの短命を長くしてやれるかって。
他人から自己満足で偽善だって言われ、罵声を浴びせられたとしても、それを全て俺は受け止めて耐える覚悟だ」
このやり取りを見てレレは、本来の目的で創った魔族が、その能力を拒んでいる事に少し苛立ちを思える。
「私の玩具の癖に、お義兄様が良いと言っているのですわ、たかが眼球の分際なのに偉そうに意見するとかあり得ませんわ。
何故躊躇する必要があるのかしら?本来アナタは相手の眼球を引っこ抜きソコに替わりに納まり相手に同化し、その体の体質を変化させ魔族にした後、様々強化を施し体の共存利用をさせて共に戦う為に創ったのですわ。
単純に知識を付け、単体でも戦える力を与え、動けるようにしたのは、やはり失敗でしたわね。
創り直した方が良さそうですわね、黙って、私の下まで来なさい。
今すぐお義兄様の意見に逆らえないように存在を創り直してあげますわ」
その言葉聞いた途端体が勝手に動き出しレレの方へ動き出す。
今自分の身に何が起きたのか理解出来ないが、このまま行けば確実に存在自体を替えられるに違いないと確信する。
抗うように眼が泳いでいるが、触手が言う事を聞かない。助けを求める様に声を上げたいが声が出ない。
あまりの焦ったアイを見てこれは本気であるとシアキは思い、レレに対し少し声を荒げてキツイ口調で止めるよう伝える。
「おい、待て!、レレ!そう言う事は止めろ!。
もし仲間の今ある種族を悪戯に創り変えたら、金輪際、俺とルルに関する物、全て、髪の毛一本たりとも触れられないような魔法を作って気付かない間に施すからな!。
特に俺の仲間に対してそんな事したら、本当に許さないからな!」
そんな事をされたら自分の楽しみをすべて奪われることになる。
此処は態度と口の悪さが原因で、相手が自分の言葉を冗談だと受け取れなかったかのように誤魔化すことにする。
「もぉ~お義兄様、今のは、私なりに劣等種と和気藹々話したつもりの、冗談なのでわ。
本気でそんな事は致しませんわ、こう言う冗談はいけませんの?・・。
冗談の一つも、私は、言ったり、行動に移したり、するだけで怒られますのね。
はぁ~信用して頂けてないのですわね、悲しいですわ?」
ガックリ落ち込んだように肩を落とす仕草をしてみせる。
今の発言を聞き、レレなりに仲間達と打解けようとしてくれたのだと分かり、それを分かってやれなかった自分が情けなくなり悔いる。
実際あの行動が冗談であったかと、仲間全員考えるがどう見ても本気であったと思っている。
此処は罪滅ぼしをしなくてならないと考え、ゆっくりシアキは席を立ちレレの後ろに立つ。
そっと頭に手を乗せ優しく撫でるのであった。
--- 69話目のみの後書き----------------------------------------
69話目最後まで読んでくださりありがとうございます。
どうでしたか?楽しんで頂けたならうれしいですが。
では、次70話目で、お会いしましょう。




