---4--- 森家屋内 美少女との出会い 滞在提案
ログハウス風で煙突のある家の前までシアキは歩み寄る。
近くで見るとデカく結構立派な作りだ。玄関は階段を三段上がった個所にある。扉は観音開き風だ。
そして何より目を引くのは階段、手すり、転落防止の柵、家の柱等の各所に実に繊細で、且つ、精巧な彫り物が施されている。
何故こんな誰も寄り付かなそうな森の中にポツンとこんな立派な一軒家があるのだろうとシアキは疑問に思いながら勝手な想像を膨らませ、家主は相当な変わり者で、且つ、凄く気難しい性格で、且つ、屈強な筋骨隆々ゴツゴツゴリゴリなおっさん、又は、偏屈な老人ではないかと決め付け納得する。
そして、今からこの世の情報を得る為とはいえ一癖二癖もあり相手をするだけで精神的疲労を増幅させるかも知れない住人と対峙しなければならないのかと思うと少し憂鬱になる。
しかしこの世で生きる為にも些細な情報だとしても早めに得ておく事は必要不可欠で重要であると理解しているシアキはこれから対峙する相手がどんなに変わり者でも、どんなに偏屈でも、この世界で最初に会った知的生命体であるシャボちゃん(サボテンモンスター)よりも正確なこの世の情報が少しでも手に入る事に少しだけ期待値はあがっている。
今シアキは相手が友好的にではなく好戦的である可能性を一切考慮せず行動していると言っていい。
勿論その原因は空腹により冷静な思考が出来ていないがためである。
寧ろ今はどんな結果であれ、望み薄でも何としても食糧支援を受ける、又は、食欲を満たす為と言う一心で突き動き玄関の階段を上がっている。
冷静な判断力は低くなっているが一応冷静な部分は働いているので住人が友好的ではなく、いきなり攻撃される場合を想定し最低限の対策として、いつでも離脱する態勢を取りつつ玄関扉へ近づく。
まさに、ピンポンダッシュを今からしようとする悪ガキの気分だ。
いつでも階段を飛び降り、最速で駆けだし離脱出来る態勢を維持したまま、警戒しつつも数回扉をノックする。
ゴクリと生唾を飲み、家の中の住人の反応を待つ。
少し恐怖を覚えながらも、いつでも階段を飛び降りて最速で駆けだし離脱出来る態勢を維持したまま玄関扉前で佇む。
ノック後室内からトタトタトタと玄関付近へ走ってくる住人の足音が聞こえる。
そして何やら金属制の何かを明らかに抜いたであろう音も聞こえてくる。
音を聞いたシアキはこのあと屈強な筋骨隆々ゴツゴツゴリゴリなおっさんが抜刀した状態で玄関扉を勢いよく開け放つなり問答無用で斬りかかってくるかもしれないと思い、慌てて玄関から離れ向きを変える為に動こうとしたまさにその時玄関扉の向こう側から、明るい鈴の音を鳴らしたような澄んだ女性の声での返答が返ってきた。
「ど、どちら様ですか?。
な、何か、ご、ご、ようですか?」
想像していた様な野太い声の持ち主ではない反応が返ってきた事でシアキは少しだけプチパニックを起こしそうになったが、すぐさま住人に向けて友好的に、自身が怪しいものではなく事、森で道に迷い偶然この家を見つけた事、少しばかり助けて欲しいとの旨を伝えた。
「......そ、それは大変でしたね、ところで、あなたは?本当に?人を騙す悪いモンスターとかではないですよね?」
家の中から応対してくれている女性の問掛けにシアキは即答する。
「もちろん、ただの人だよ、武器も何も持ってない」
自身が怪しい者ではない事を家の中から応対してくれている女性に再度伝える。
「わ、解りました。
武器を持たないのは、ちょっと変ですが。
い、今、開けますが、安全かどうか確認したいので念のため、少し玄関を降り三歩程度下がった位置まで行き、両手を挙げて、う、動かないで、お待ち頂けますか?。
下がったら声をかけてください」
「わかった、そうする」
凄く警戒しているようだが、自分は無害である事を応対してくれている女性に示し信用を得なければとシアキは提案を受け入れ指示通り玄関を降り三歩下がった位置で両手を挙げて待機する。
「下がったよ~」
玄関扉が少し開かれ、数センチの隙間から住人の女性はシアキの様子を確かめ終える。
「そこでゆっくり回って後ろに武器が無いか目視で確認させてください」
指示通りにその場でシアキはゆっくりと一回転んして見せる。
武器は何も持っておらず、麻のボロボロの上下服を着て、両手を挙げた、ただの人がそこに居るだけだと言う事実を確認した住人の女性は安堵し、一気に扉を開けて数歩玄関先へ出て周囲をキョロキョロ見渡しホッとした様子を見せる。
そして開け放たれ玄関先に出て来た女性は、耳に少し丸みのある尖りがあり。
両眉間辺りたりから角らしき物が天に向かい頭の形状に沿って湾曲し生え。
髪は銀髪で肩まで伸ばし。
肌の色はシアキと同じ肌色。
耳の一部と手の甲に少し鱗のようなものが見られる。
顔立ちは、幼いの中にもしっかり女性を醸し出している。
瞳の色が淡い緋色。
胸はその存在感をきっちり双胸とも盛られ主張している。
服はフード付きのかわいいモコモコした動物の毛で作られたと思われる服を着用。
身長は恐らく百四十~百五十センチと小柄。
その様な可愛い顔立ちの少し異質な美少女が、開かれた玄関扉の前に立っている。
そしてシアキはその美少女を見て少しだけ興奮し小声で感想も述べる。
「お!スゲ~角あるな、もしかして悪魔とかってやつか!。
この世界やっぱりスゲー普通に会えるんだな、しかもあんな美少女と最初に会えるとか運が良いな俺」
その美少女と呼ばれた少女は、周囲にモンスターが居ないか再度見渡し警戒する。
周囲にモンスターの気配がなく安全ではある事は確認出来たが無防備な姿で玄関扉前に立ち続けるのは危険なので、シアキに向け挨拶は後と言わんばかりに早く室内に入るよう促す。
「とりあえず、早く室内へ入ってください。 こちらから故意に攻撃したり襲ったりはしませんので!さ!早く中へ」
「え!いいの?そんなにすぐ俺の事を信用して室内へ招き入れてもいいのか?。
俺が悪党でキミを人質にする為に魔法行使や攻撃し襲いかかるかもって思わないのか?」
「人族のあなたが魔族の私を襲う?その逆ならあり得ますが?おかしな事を言いますね。
良いですかこの辺はモンスターが居るので、このまま玄関を開けたまま玄関前で話をすると私の身が危険に晒されてしまいますので、挨拶や他のお話し等は全部室内でお聞きしますから取り敢えず中へ入ってください。
それにあなたが仮に攻撃を仕掛けて来てらちゃんと応戦させてもらいますし、人族一人殲滅する位の事は簡単ですが 事モンスターとなると話が変わって来るんですよ。
兎に角モンスターが多数攻めて来て襲われたら厄介なので中に入ってください、お願いですから」
モンスターが居るこの森では、これが普通の反応なのだろうとシアキは理解し指示に従い入室を果たす。
室内に招き入れた男 (シアキ)が入った事を確認するや住人の女性はすぐさま扉を閉め鍵を掛けて「ふぅ~」っと一息漏らす。
そしてシアキの方へ向き直る。
「私を見ても驚かないし怯えもしないんですね?あなた人族なのに変わっていますね。
あと本当にこちらから故意に襲ったりしませんので安心してくださいね、それとこの様な狭い玄関先ではなく奥の部屋でお話を聞かせてくださいね」
美少女はそれだけを言い、シアキの前を歩き奥の部屋へと案内する。
応接室に通されるかとシアキは思ったが、通された場所はリビングと思しき場所であった。
リビング中央に置かれている木で出来た丸い机とそれに付随する椅子が一脚置かれ、その他は何もない殺風景な部屋だ。
その机の上に、各種木の器に、肉の丸焼きのような物、スープ、サラダ、パンと約一人前分の食事が盛られ置かれていた。
これが、あの森で嗅いだであろう、美味しそうな匂い根源だとすぐシアキは理解するなり、究極の空腹状態だった為、腹の虫が大きな音を立てて「グゥ~」っと鳴った。
腹の音を他人に、しかもこんな美少女に聞かれてしまった事に少し恥ずかしくなり、シアキは顔を赤くする。
その姿を確認した美少女は微笑む。
「フフフ、あなたお腹が空いているんですね。お話を聞くのは後にしましょう。
取り敢えずそこの席に座って少し待っていてください。
作り置きもありますしあなたの分も用意してあげますので食事をしながらお話を聞かせてください」
そう言い残し美少女は台所へ向かって行った。なんていい子なんだ。
この美少女の中では自分はお腹を空かせた可哀想な迷子扱いとして認識されているのだとシアキは考えながら席に着く。
美少女がシアキの前に、既に置かれている同じものよりも若干多目で盛られた木の器を置いてくれる。
再度美少女は台所へ行き椅子を片手に戻りシアキの向かい側に椅子を置き席に着く。
「どうぞ、お口に合うかは分かりませんが、一緒に食べましょう」
美少女の提案にシアキは生唾を飲み、頷きで答えた。
そして先程、挨拶や自己紹介をするタイミングを逃した事を思い出し、挨拶と感謝と自己紹介をする。
「えっと、今回は迷っていた所を助けてもらい、食事まで分けて頂き、ありがとうございます。
俺は、マムラ・シアキって言います。シアキと呼んでください」
挨拶が終わると同時にシアキは相手の敵意の有無に関わらず一応相手の情報を知っておこうと取得能力の[他者のステータス閲覧&割り振り操作]を発動させ内容を確認。ステータス内容に目を通す。
まるで新聞を読んでいるお父さんの様にシアキは相手の話を上の空で聞いている。
--------------------------------------------------------
ラフェル・ラミューラ・ジルベル
[15歳(×50)][女性][魔族_魔人族_魔人]「闇属性」
-----------------[上書き][削除][書き換え][接続][切断]---
[主職] 迷いの森の住人(打撃魔導士 Lv2)
[副職]
-[副職予備選択]-----------------------------------------
射撃魔導士 Lv1 魔撃魔導士 Lv2 王女Lv10
-[装備]----------------------------[▼開く][△閉じる]---
----[装備済み]
フード付きかわいいモコモコの部屋着
かわいい下着 靴 力の指輪(10)
-[保有アイテム]-----------------------------------------
-[能力]----------------------------[▼開く][△閉じる]---
[総体力値] 100/100(+-)(0)
[総精神力値] 90/90(+-)(0)
[回避値] 10(+-)(0)
[技量値] 30(+-)(0)
[打撃力値] 90(+-)(0)
[射撃力値] 15(+-)(0)
[魔撃力値] 80(+-)(0)
[総攻撃力] [185]
[打撃防御値] 40(+-)(0)
[射撃防御値] 30(+-)(0)
[魔撃防御値] 40(+-)(0)
[総防御力] [110]
[能力値割振り] [180] 0(+-)(180)
[時限付き(1日)能力値割振り] 0(+-)(180)
-[取得能力]---------------------------------------------
生活魔法 打撃魔法 射撃魔法 魔撃魔法
物質腐食 探知探索魔法 拘束魔法 魅了魔法
物質抽出魔法 低級治癒魔法 モンスター誘き寄せ魔法
料理全般調理
-[備考]-------------------------------------------------
この国での名前の読み方規則「 個人名+家族名+領地名or王族名」
ジルベル魔人国の王族、王位継承順第1王女
押しに弱い 面倒見が良い 少し動揺しやすい
知識欲旺盛 卑猥系全般耐性無し
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感謝と挨拶と自己紹介を一通り黙って頷き聞き終えた美少女は次自分の番だと話し出す。
「はい、シアキさんですね。
では、次は私ですね。
私はこの家に一人で住んでいる。
ラフェル・ラミューラと申します。私の事はラフェルとお呼びください。
それと先程玄関で軽く言いましたが、私は魔族の魔人族の魔人なのですが、決して故意に人種族・・いえ、シアキさんを襲ったりする事はありませんのでご安心くださいね。
あと私がなぜ此処に一人で暮らしているか等の、その・・・訳とか理由とかは詮索しないで頂けると助かります」
自分が魔族で人を襲ったりしない、危険はない存在で、あと色々詮索はしないでくれとシアキにアピールする。
「ん~あ~大丈夫。詮索は一切しないから」
相手の話を上の空で聞いいたのでそっけなく手を少し振ってシアキは対応をする。
―― この世界やっぱり魔族とか居るんだ・・すごいなマジか~他どんな種族居るのか会ってみて~。
しかし王女様が何故こんな森に一人で?まぁ~これは首を突っ込むと厄介事に巻き込まれるな。
でもこの子から質の良い情報は手に入るのは間違いないな。
ラフェルのステータスを確認し他にどんな種族がいるのかこの世のどんな情報が手に入るのかを考えシアキのワクワクが止まらない。
少しシアキの態度にムっとしたが、一応詮索はしないという言葉が聞けラフェルは安堵しつつ言葉を続ける。
「ところで、シアキさん、人族のあなたはどうしてこの森に入りどうやってここへたどり着いんですか?」
そのラフェルの問いに、どう答えたものかと考える。
今置かれている自身の状況を素直に話すと恐らく誤解を招くだけなので誤解が生まれそうな事柄を伏せ、掻い摘んで返答する。
「その記憶が少しなくて、気づいたら森手前の草原で、この格好で目を覚めたんだわ。
で!取敢えず小高い丘に登って、周りに人工物がないかと見渡しって見たんだがなにも発見できず唯一森から微かに上がる煙を発見して。
森に入れば誰か居ると思い入ってはみたんがここにたどり着く途中でモンスターとも少し戦闘をしたり逃げ回ったりしてたら道に迷って空腹になりそれでも進んでたら、この美味しそうな匂いに誘われて、ここに辿り着いたんだ。 ほんと無計画に森に入ってはしまいお恥ずかしい限りです、ははは」
一応嘘はついていない。
流石に自ら自称を付ける神様にチャンスをもらい、この世界に、ほぼ全裸で転生してもらったとは言えない。
ましてや、あの玄関でのやり取りから察するにモンスターは全て敵と判断するだろうからモンスターを仲間にしてここまで案内させたい事は口が裂けても言えるわけがない。
「匂いでここまでですか?それはこの森の悪戯?それとも実力?まぁ~どちらにせよ無事ここまでたどり着いたのは事実ですしどうでもいいことですね (確実にこの人族はこの森を抜け出せる実力の持ち主と言うのは間違いないですね、これは私の目的達成には好都合ですね)。
あと記憶も無くされたのですね。
恐らく、その恰好からすると盗賊等に襲われ身包み剥がされ記憶操作でもされった状態で草原に放置されたってところでしょう。
確か記憶操作系の魔法は、そんなに効果が続きませんし記憶喪失は一時的だと思いますよ。効果が切れれば記憶が戻るはずですよ。
でも、夜になる前で良かったですよ、夜はモンスターが凶暴化しますしね。
あと明日人族の国家の村や町へ通じる河原辺りまで行けるように、私が一緒に付いて森を抜けるのをお手伝いしますので、今晩はこのまま此処に泊ってゆっくり体を休めてくださいね・・」
会話の途中ではあるが、シアキとラフェルの腹の虫が同時に「「グゥ~」」っと鳴る。
腹が鳴った事で少しラフェルは赤面しながら目を見開く。
「・・お、お話し等は、しょ、食事が終わってからにしましょう。
さ、さぁ~食事が冷めないうちに食べちゃいましょう。い、いただきます」
「いただきます」
まずシアキはスープに手を付る。
「っん!うんっま!うまいよこれ!!」
大声のうまいと言う声を聞き、ラフェルはビクリ体躯を少し跳ねあげる。
そして口に物が入っているのでモゴモゴしながら照れて赤くなる。
そして程なくして口の中のものを飲み込む。
「そうですか?それはよかったです。
本当にお口に合ってよかったです。
さぁ~遠慮はいりませんので、どんどん食べてくださいね」
そう言い残し、また美味しそうに、お肉を食べ、次に野菜を食べ、パン時々スープ、そしてまたお肉という綺麗な三角食べだ。
そのあまりの美しい食べ姿に、シアキは見入っていた事に、気づき自分も食事に手を伸ばし食事を再開する。
両者は食事を終え、食後の麦茶らしき色の物、これがまたお茶ではなく、そうビールの様なそんな感覚で飲める旨さだ。
それを一気に飲む。
飲み終え、シアキは「ぷはぁ~」っとつい声をあげる。
「アルコール物でも無いただの果樹水なのに、ぷはぁ~とか初めて聴きました。いい飲みっぷりですね」
その問い掛けに少し疑問を覚え質問を返す。
「えっとラフェルさんこれってアルコール飲料じゃないの?まるでそれに近い旨さだよ?」
そのシアキの問い掛けに、少し疑問符が付くように小首を傾げるラフェル。
少し考え・・・・何かをやらかしてしまったかの様に目を見開きテーブルを離れる。
スタスタスタとラフェルはシアキの下へ駆け寄ってくる。
「ご、ごめんなさい、魔人族の私には、ただの果樹水なんですが。
もしかすると人族の方には毒になり味覚異常を起こしたのかもしれません、本当にごめんなさい今すぐ治癒魔法を掛けて治しますね。恐らく間に合うはずですので・・・」
そう言い、触ればぷにぷにして絹の触り心地のしそうな手をシアキに翳し呪文を唱えようとする。
その姿を確認したシアキは静止を求める仕草を見せてラフェルを静止させる。
自身の身体のどこかに違和感がないか、手を握ったり開いたりしてみたり、痺れがないか、等々確かめてみるが、身体に違和感は一切覚えない。寧ろ満腹で元気になったとさえ思えている。
自己紹介時のラフェルの言動や態度を思い返す限り故意に毒を盛る様な人物であるとは到底思えない。
また自分の様に他者を全く信用しないのなら分かるが、ラフェルからは同種の匂いは全くしない。
故意ではないと言う可能性も高く、且つ、毒を負っていないと思われるが万が一の事も考え、シアキは自身のステータス画面を出して確認をしてみるが、体力は減っていない。
ましてや毒等のバットステータス的なものは、一切付与されていない。
むしろ食事で回復している位だった。
得た情報から結論付ける。
これは、この世界のそういう飲み物だと。
そしてどう誤魔化せば良いかを悩んみ、ふと先程のラフェルの会話に出た、ある事を思い出す。
そう「盗賊等に襲われ記憶操作され記憶が一時的な記憶喪失である」とラフェルは思い込んでいる。
その思い込みを利用すれば容易誤魔化せ、後の情報引き出しにも使えるではないかと刹那の時間で導き出すのだった。
「大丈夫みたいだ身体のどこも異常はなさそうだし、恐らく飲み物の記憶もほら一時的にでも記憶が奪われてるから味覚も一時的に忘れててあんな発言になったんだよ、きっとそうだよ。
それにさラフェルさんのあんな美味しい料理を食べたから力が沸き上がって今すごく調子いい気がするよ」
その言葉を聞き、ラフェルは記憶喪失で味覚もそうなのだと理解したようだ。
―― 何とか信じてくれたみたいだな。 でもこの子と別れるまで一時的記憶喪失キャラ確定か...まぁ~現に、こちらの世界の常識や味覚の記憶はないのだから、あながち記憶喪失キャラは嘘じゃないかもな。
っとシアキは心の中で呟くのだった。
「確かにそれも低いですが可能性としてはありますが、故意に体調を隠すとか止めてくださいね。
もし体調が悪かったらすぐ教えてください、早い段階なら治療魔法で治療できますので。
でも、その様な記憶が曖昧な状態で、明日お送りする予定の河原から一人で人族の町まで行けますか?」
確かに明日言うようにラフェルの案内を受け森を抜け人が生活する村や町にたどり着いたとしても、この世界の情報を手に入れる当初の目的はラフェルから得た方が楽であり敢えて森をでる必要性はない。
仮に明日森を抜けたとしても、この世界の事を何も知らない状態で人が生活する村や町に入っても一応ラフェルと会話が成立してるが、言葉が通じない、字がそもそも読めるかが不明であり、且つ、この世界の金銭を一切持っていない状況では生活基盤構築が苦行となり得るのは必然なのでシアキは楽な選択肢を確実にものにす為の策を刹那の時間で思考する。
「その村や町の中とかまで同行して案内とかって、ラフェルさんに頼む事はできませんか?」
その問いに対しラフェルは困った様子を見せる。予想通りの反応にシアキは心でニヤリと微笑む。
「大変申し訳ありません。
その人族国家の村や町の中に入る為の許可紋章を私は持っていませんので中までの同行案内はできません。
でも村や町の外の国境線外まででなら同行はしてもいいですよ」
次の問いを投げ掛ける。
「そうですか~中までの同行は無理ですか。正直記憶がないので村や町に行っても知合いがいるか、そもそも覚えていないので悪党に騙される可能性もあり同行して貰えれば安心だったんですがこればかりは仕方ないですね。
あのこれはラフェルさんの、親切心に付け込む形になって申し訳ないんでけど。
出来れば、しばらく此処に滞在させてもらえないだろうか?」
「ダメです。」
即答でラフェルは返答した。これも予想通りの反応である。
「ははは、そうだよねやっぱりダメだよね。
でもダメな理由を聞いても良いかな?」
目を真剣に見て訴える。
ここで引けば恐らく機会はもう来ない。 ラフェルのステータスにあった「押しに弱い 面倒見が良い」を信じるしかないが恐らくラフェルは話すとシアキは確信している。
少し沈黙の時が続くが真剣に見続けるシアキにラフェルは根負けし諦めた様子をみせる。
そしてラフェルなりのダメな理由を語りだす。
「最初に私は別に悪いことをした訳でもありませんし犯罪者でもありませんが、少し訳あって自国の魔族国家を故意に抜けた身で、所謂お尋ね者なんです。
この迷わせの森中央付近に住居を構え、ひっそり暮して居るので、いつ自国の追手がここまで来るか分からないそんな状態です。
私一人なら、追手から容易に逃げたり応戦したり出来ますが。
脆弱な人族のシアキさんを守りながは正直無理です。
それに、もし滞在を許したとしても、ここは「ジャイアントラビット」や「トコトコ猪」と言うモンスターや、狂暴で強いモンスターや、人を惑わし絡め捕り養分にする植物系のモンスターとかが沢山生息しています。
それらが室内に侵入し、襲われ命を落とす危険性も十分考えられます。
なので追手の脅威やモンスターの脅威がある以上、脆弱な人族のシアキさんを一時的でも滞在させ身を危険に晒させる事は私は容認できませんし、一刻も早く安全な人の村や町に行く事をお勧めしたいんです」
「でも、俺は無一文だしさ村や町に行ってまず最初に当面の生活資金を得る為に「魔族ラフェル・ラミュラって娘が迷わせの森中央付近に住居を構え暮している」ってラフェルさんの情報を売るかもだよ。
そうなればラフェルさんの身の危険度は俺を滞在させるよりも高くなると思うよ?」
「確かにそうですが・・。
この迷わせの森は種族問わず迷わせられ、様々な討伐に苦労するモンスターが生息している事を知るこの付近に住む脆弱な人族が危険を冒してまで魔族一人を討伐しに来るとは思えませんので大丈夫ですよ。
恐らくシアキさんが此処に来れたのは様々な奇跡的な偶然が重なったに過ぎないと思いますよ」
ここまで来るのに、巨大なウサギ、小さい猪、巨大な蜂を討伐したがどれも弱く、モンスターを仲間にし案内してもらいながら来たので奇跡的ではないのだがと思いながら、ここまで予想通りの反応と返答を聞きシアキ心の中でもニヤリと微笑む。
そして滞在権を得る為に用意した提案内容を口にする。
「じゃ~さぁ~こうしない。俺はラフェルさんの事をお金の為に売りたくないしそんな金で生活とかして毎日罪悪感を懐きつつ暮らすには嫌だからさ。
ラフェルさんが倒すのに苦戦するモンスターを俺一人で討伐、又は、瀕死状態、或は、追払う事が出来たら、少しの間ここに滞在させてもらって記憶喪失分の世界についてとかを色々教えてもらうってのは出来ないかな?」
ラフェルのステータス値とシアキのステータス値の差を考えると、ずるいが確実に滞在権は得られる。
ラフェルの性格上この提案を無下に出来ずこの時点でもう半分以上策に嵌まったとシアキは確信する。
「私が倒すのに苦戦するモンスターを、脆弱な人族のシアキさんがですか?。
危険です、無理ですよ。脆弱な人族のあなたではモンスターに瞬殺されてしまいますよ。
そんな無謀な事をするくらいなら、大人しく人の国家の町に行くってください」
どうしてもシアキの提案が、ラフェルには、自殺行為としか思えなかった。
いくらここまでたどり着いたからといっても自分が苦戦するモンスターをなどと無理に決まっていると。
そして何より彼女には、どうしてもやらなければいけない目的がある。
彼女の真の目的達成の為には、シアキを森の外へ案内すると言うのは必須なのだ。
それをこの男に悟られてはならない。
「でもそれはやってみないと分からないことでしょ。 例えばでどんなモンスターがいるか教えてよ」
どんなモンスター種類が居るかを尋ね事で冷静、且つ、着実に策に嵌める為に話を誘導していく。
これは諦めてもらうチャンスとラフェルは感じとり、この生活で培った強いであろうモンスターの知識を活用しシアキに伝える。
「そうですね~「ジャイアントラビット」や「トコトコ猪」「サボテンドール」とかが苦戦する物の中では代表です。
ジャイアントラビットは、耳が長く、見た目も凶悪で牙が鋭く、すごく狂暴です。
魔族の魔人族の今の私ですら、拘束魔法を使用しても1匹討伐するのに、半日はかかります。
それに強烈な飛び蹴り攻撃をしますので、人族の身で、攻撃をまともに食らったら、首と胴体とか平気で分かれ殺されるでしょう。
トコトコ猪というのは、見た目は可愛いのですが、すごく狂暴で、すぐ体当たり攻撃を仕掛けてきます。
魔族の魔人族の今の私ですら、体当たりされたら、数百メートル飛ばされ致命傷や場合によっては即死もありえます。
サボテンドールというのは、見た目はサボテンなのですが、すぐ麻痺性のある棘で刺し痺れさせたりする攻撃を仕掛けてきます。
魔族の魔人族の今の私ですら、麻痺性のある棘で刺し痺れさせたら、その隙に致命傷を負わされ即死もありえます。
あと動物を蔦や触手などで絡めたりする動物を捕食する植物系のモンスターとかもいます。
それに脆弱な人族が、一撃でも攻撃を受けると、どれも大けが所か致命傷や即死する程の攻撃力を持つモンスターばかりです。
この森にはそんなモンスターが沢山生息してます。
ですので、滞在は考えず大人しく人族の国家でる村や町に行く事をお勧めします」
教えてもらった辺りに類似した、モンスターの弱いのは恐らく知っている。
ここに来る間に倒したあのウサギと、イノシシの強いのだろう。
あと植物系は、シャボちゃんだろう。
でもあの子は優しい子だし、それ以外の狂暴な亜種的な種類であろうと考える。
「その「ジャイアントラビット」とかを人族の俺でも簡単に追払う方法とかはあるの?」
「もちろん森へ追い払う方法もありますよ」
「じゃ~その「ジャイアントラビット」を俺一人で追払う事や、或はそのまま討伐出来たらさ、少しの期間の滞在を許してもらえないかな?。
これは、ラフェルさんの判断で危険だと判断したら失敗でいいからさ。
試すだけ試させてくれないかな?やらずにってのは嫌なんだ。
失敗ならきっぱり諦めて村でも町でも明日に森を抜けて行くからさ、ね、ね、お願いこの通り一度だけ試させてくれないか」
目を真剣にみて頭を下げて訴える。 そしてシアキはこれで策に嵌めれたと確信する。
提案内容をを少し考えた後ラフェルは結論を口にする。
「口で説明してもダメみたいですね。
もう現物を見て諦めさせるほかないようですね、シアキさんは本当に頑固です。
でも必ず私の指示には従ってもらいますよ。
危険と判断した際「逃げろ」と言ったら、すぐ逃げてください。
その際は失敗と判断します、素直に町へ向かってもらいます。
討伐や瀕死状態にするのはありえませんが、森へ追い払う事が出来たら、滞在は認めます。
ですが、その際、私が知ってる事しか、お教え出来ませんが?それで良いのですか?」
「うん、うん、それで良い、むしろそれが良いよ、感謝するよ。
提案を受け入れてくれてありがと~」
「では、少し待っててください。何か防具で使えそうな物を見繕ってきますので。
でも本当にモンスター見て恐怖で腰を抜かしてもしりませんよ」
少し呆れた顔を見せ、ラフェルは席を立ち奥の部屋に消えた。
--- 4話目のみの後書き----------------------------------------
4話目最後まで読んでくださりありがとうございます。
どうでしたか?楽しんで頂けたならうれしいですが。
では、次5話目で、お会いしましょう。




