大人になって失ったもの
これは『竜と少年』という本における私の感想文である。
『小学3年生の頃』
黄金の谷にいる悪い竜をやっつけるため、途中でくまや犬を仲間にして黄金の谷に行って、竜とたたかった。危なかったけど竜をたおしたら、後ろから小さな竜の子供が出てきたので、お母さんの竜をやっつけるのをやめて帰った。それから竜は村をおそわなくなった。
みんながいつまでも仲良くいれたらいいとおもう。
『中学3年生の頃』
勇者である主人公が行く先々で仲間を加えながら、村を頻繁に襲う竜を倒すというストーリーである。苦戦の末、最後には竜を倒すのだが、その竜に子供がいることから止めを刺さずに村に帰ってしまう。その部分に主人公の優しさを感じるとともに、主人公の気持ちを受け止め、村を襲うのをやめた母親竜の素直な心に感動した。
『高校3年生の頃』
主人公が母親竜にとどめを刺さないというところに疑問を感じた。この竜は今まで数々の人間の命を奪い、主人公もそのことを知った上で、人類の代表として戦いに挑んだわけだろう。この竜も今は静かにしているが、いつまた暴れだすかわからない。その時にはもっと多くの命が奪われるかもしれないではないか。かなり無責任な行動だ。ひと時の感情に流されて、大局を見失う。一見感動的に見えるこのストーリーには、大切な時に私情を挟まず『重大な決断』ができるかという重要なテーマが裏に隠されているのではないかと私は感じた。
『作家気取りの頃』
この竜はどこから来て、どういう理由でここにいるのか。その設定がないとこの竜がなぜ人間を襲うのかがまず理解できない。また人間側も村を襲うからといっていきなり少年に退治に行かせるであろうか。前提も無しにいきなり勇者が戦いを挑んで、子供がいるから帰って来ましたでは、まるでガキのお使いレベルではないか。最後の部分も、何の脈略もなく竜が改心したことになっているのが不自然過ぎる。竜が改心した理由についてもっと内面や背景を丁寧に描写しないと、この竜が『助けられたので、もう襲いません』の単純バカな生き物に映ってしまう。内容に厚みがないのだから、登場人物の内面や葛藤をもっと描き出す工夫がほしい。このままでは子供の作文と言われても仕方がないと思う。ストーリーの構成というものを一からやり直してください。
『竜と少年』の作者 あとがき
みなさん、さいごまで読んでくれてありがとう。
少年と竜の親子、そして村の人たちが、いつまでも仲良くいられたらいいですね。