チュートリアル
チュートリアル長いです。
光が収まると一面に草原が広がっていた。
ちらほらと他のプレイヤーもいる。
「優ちゃん……?」
名前を呼ばれたので振り向くと菜々美のそっくりさんがいた。髪の色は茶色で腰の辺りまで伸びている。
「菜々美?」
「うん、キャラクターネームはnatsuだよー」
「私はyuduki」
見知った顔と自己紹介するというのもおかしな話である。
「じゃあ、ゆーちゃんだね!」
リアルとあまり変わらない……。
「私も、なっちゃんって呼ぼうか?」
ちょっとふざけて聞いてみる。
「え、ほんと?」
「うん」
「やったー」
すごく嬉しそうな顔をする。
「それでこれからどうする?」
「そうだねー、とりあえずチュートリアルを受けないとね、そこに座ってるおじさんに話しかけると受けられるみたいだよ」
ナツと同じところに視線を向けると大きな切り株に鉄の甲冑を身に纏っているおじいさんが腰を掛けていた。
「カッコいい……」
昔からおじいちゃんっ子だった私から見ると、それはもうたまらなかった。
他にも数人チュートリアル用のNPCが用意されているようで、若い騎士やローブをまとった人がいた。
ちなみにPCとNPCの見分け方はキャラクターの上に表示されるキャラクターネームの枠組みの色でわかる。PCは薄らと赤い枠の中にネームが表示され、NPCは灰色の枠になっている。キャラクターネームを見るためには相手の頭上を凝視すると見えるようになる。またはパーティーを組むとメンバーのものだけわかるようになるようだ。これはPCのHPがネームとリンクしており、HPが半分になると赤い枠も半分になり、残りは透明になる仕組みである。
「ゆーちゃんは、おじいちゃん好きだよねー。とりあえず話しかけよっか」
二人並んでおじいちゃんに近づくと、そちらから話しかけてきた。
「ほっほっほ、お二人さん、この世界で生きる術をワシから学ばんかの?」
あぁ……。こういうしゃべり方良い……。
「はい、ぜひお願いします」
「します……」
おじいちゃんは満足そうに頷いた。
「まず、自己紹介から始めようかの、ワシの名前はジョゼフじゃ」
おじいちゃん、もといジョゼフさんが簡単に自己紹介する。
「ナツです」
「……ユヅキ」
「ふむ、ナツにユヅキじゃな、ワシの教えには一人用のものとパーティー用のものがあるどちらを選ぶかね、ちなみに内容をさして変わらんよ」
なるほど……。おそらく友人なんかと複数人で参加している人たちのためにパーティー用が用意してあるのだろう。
「パーティー用でいいよね?」
「うん」
「パーティー用でお願いします」
「ふむ、了解した。ではまずパーティーを組まねばならん、組み方はわかるかね?」
「わかりませ……」
「わかる」
「あれ!? なんで分かるの!?」
事前に公式サイトで簡単な操作や動かし方は調べておいた。
「公式サイトのマニュアル見たから……」
「うー、ゆーちゃんずるい……」
ナツが涙目になる。VRの再現度すごいなー。
とりあえずおじ……ジョゼフさんに話しかける。
「ジョゼフさん続きお願い」
「では、まず最初にステータスウィンドウを開かねばならん、これはステータスと口に出すか、思うだけで出てくる」
「ステータス」
なつが口に出して言う。
「ステータス……」
私も続けて言うと、半透明なウィンドウが現れSTR、INT、VIT、AGL、LUC、と書いてあり全ての能力値に5ポイント入っている。
「ステータスウィンドウは出せたようじゃの、そうしたら上のほうにパーティーと書かれたタブがあるはずじゃから手でタッチしてみなさい」
ナツも私も言われた通りにタッチする。すると画面が切り替わり「パーティーに加える」や「パーティーを解散する」などの表示が現れた。
「出来たようじゃの、パーティーに加える、を選択すると近くにいるプレイヤーの一覧が出る、これは近い者から順に表示されるからの、パーティーに加えたい者を選択すると、相手に招待がいくはずじゃからやってみなさい」
「どっちがやる?」
「なっちゃんがリーダーでいい」
「ん、りょーかい」
ナツがウィンドウを操作すると私の前にパーティー加入のウィンドウが現れたため、「はい」を押す。
するとナツの頭上にキャラクターネームが表示され常時見れるようになった。
「パーティーを組めたようじゃの、次にステータスの説明に移るがいいかの?」
「大丈夫です」
「おっけー……」
「ステータスにはHP、MP、STR、INT、VIT、AGL、LUC、がある。HPはヒットポイントでこれがゼロになると一番最後に訪れた町か村に戻されてしまう。MPはマジックポイントで魔法や技を使うときに消費する。次に各種能力値だが、STRは物理攻撃力に影響する。INTは魔法攻撃力、VITは防御力とHP、AGLは敏捷、LUCはクリティカル率になる。これらのステータスは1レベル上がると全てのステータスが一ポイント上がり自分で振り分けられるの五ポイントもらえるのじゃ」
つまり自分のレベルが20なら一番低いステータスでも24は確実にいっているということかな……。
「次にスキルの熟練度じゃ、たとえば剣を使って戦うと剣の熟練度が上がる。弓ならば弓の熟練度じゃな。この熟練度が上がるごとに新たな技や魔法を覚えることができる。だが杖の熟練度だけは別でのう、魔術、法術、呪術にそれぞれ分かれておる」
杖の熟練度はなくて代わりに魔術と法術と呪術の熟練度があがるんだね。
「熟練度には限界値が設定されておっての、最大値は500になっておる。複数のスキルの熟練度をMAXにすると新たなスキルを覚えることがある。例えば物理スキルのものと魔術の熟練度を限界まで上げると、魔法剣などのスキルがでるんじゃ」
複数のスキル熟練度を限界まで上げて、他のスキルを覚えていけばいいらしい。
「だいたいこんなところかの……」
ジョゼフさんがやり遂げた顔をしている。
「では次は実際に戦ってもらおうかの」
長いチュートリアルが終わり、ついに実戦に入る。
武器がないんだけども、大丈夫……?
次、戦闘シーンです。上手くかけるか不安だ…。