File8: 大きな罰
106号室へ入った拓は戦慄した。この部屋は自分が最初にいた部屋と同じ造りになっているのだが、ベッドの上に、人が倒れているのだ。いや、普通だったらただ寝ているだけだ、と思うかもしれない。が、その人は自分と全く同じ服装をしているのだ。もちろんスイッチも…。
急いでベッドに駆け寄ると、すぐ側に小さい紙切れが置いてあることに気付いた。
[ゲームオーバーになったら…死ぬんじゃないかな?]
……………!
これまでの遊び感覚はどこかへ消え去ってしまった。これは本当の"サバイバル"なのだ。自分一人を守るために、他人を蹴落とす…。
この紙切れの文のフレンドリーさも、逆に恐怖を感じさせた。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い………
拓の心は既に恐怖心に支配されていた。
やらなきゃ、やられる------。
拓に、野性本能が、芽生えた。
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「……そういえばこのゲームさ、制限時間とかあんのかな。一人になんない限りここから抜け出せないとか?」
健は、蓮や仁と出会ってから、このゲームについていろいろ話し合っていた。
「ん〜、どうだろ〜ね」
「もし無制限のデスマッチだとしたら、誰かを代表にして、それ以外の四人が自らスイッチを押す、てのもいいかもね」
そう、まだこの三人はこのゲームの恐ろしさに気付いていないのだ?
「でも俺らをこんなわけなわかんないとこに連れてきて"ゲームオーバー"がそんな簡単なものじゃない気がするんだ」
「何それ?」
「つまり……ゲームオーバーになったら、ただじゃ帰れないと思う」
その時、廊下の時計は8:10をさしていた。




