File7: 家族か友達か
ベッドの上に置かれた一枚の写真と二枚の紙切れ。写真には暗い牢屋のようなところで一人の少女が手足を縛られているところが写されている。紙切れの方は"運命のサバイバルゲーム"云々と書いてあるものが一枚と…。
[このゲームで"鬼"は君だ。廊下に掛かっている時計が次に7:00をさした時、つまり12時間が制限時間だ。その時までに四人全員を"ゲームオーバー"にさせていたなら、君の勝ちだが、もしそれが出来なければ君の負けだ。君が勝てたら君を現実の世界…日常へと戻そう。勿論、君の妹も。だが、君が負けたら、君は"ゲームオーバー"だ。そして妹も残念ながら…ね。]
……これが二枚目。
そう、写真の少女とは純-渋木 純-の妹、咲である。
うそ……だろ?
信じられなかった。自分や妹の非常事態に。
紙を読んでから急いでドアを開け、時計を確かめた。7:45になっていたと、右の方からガチャ、という音が聞こえた。誰かがドアを開けて出てきたのだ。純は反射的にドアをさっと閉めたが、一瞬----見えた。自分と全く同じ服装の拓を-----。
閉めたドアに張り付いて、純は戦慄した。自分がゲームオーバーにしなければいけない"敵キャラ"が…自分の友達であることに。
まだ拓しか見ていないが、そんな偶然はありえない。絶対にあとの三人は健、仁、蓮だろう。
そして、"ゲームオーバー"----。
それは、最悪の場合、"死"だろう。妹の状況が、そう語っている。
取るべきものは、家族か、友達か----。
捨てるべきものは、家族か、友達か----。
純は、ベッドに腰掛けて苦悶した。




