File12: 時間差と消失
「じ…じゃあ…なんで拓をころ…倒したんだ?」
なんで殺した、と言おうとしたが、土下座をやめて床に座ってうなだれている純にはきついだろうと思った。
「それは…嫌だったから…。狂った拓が狂気に全てを任せて友達を殺しているのが、耐えられなかったから…。」
キョウキニ、スベテヲマカセテ----
「俺はもうこれ以上友達が死ぬのを見るのが嫌なんだ!……仁だって…狂った奴の犠牲になんかなりたくなかったんだ……」
「仁…?」
「知らない…のか?三階で仁が204号室のベッドに倒れてたよ…仰向けで顔が青かった……」
「な……仁が!?……!ちょっと待てそれ何時くらいかわかるか?「え…た、確か9:20くらいだったかな…三階にも二階と同じところに時計があってさ…それでわかったんだけど…」
一階にもある。今は…10:00だ。
「さっき仁一階に来たけど…確か9:30くらいだったぞ」
「え…嘘だろ…じゃあ三階へ行ってみようよ」
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「だ…誰だ?」
三階へ上がるために階段で二階を通る時、床に俯せで倒れている誰かを発見した。
赤いカーペットが敷かれている明るい廊下。それが迷彩服を目立たせている。
「な………蓮!」
俯せになっている蓮を抱いて息を確認する。……やはり、死んでしまっていた。
「くそ!」
「純……」
「もう三人も……あとは俺達だけか…」
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三階に着いた。健は204号室のドアを開けた。が……
「…いないじゃんか」
「え…おい、嘘だろ?」
純は部屋の中に入った。…いない…。
「部屋の番号間違えたか…?」
そのあと、201、202、203、205号室を全て調べたが、仁の姿は見えなかった。
「いない…よ?」
「そんなはずは…?ひ、仁が消えた…」