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第3話「変身解除には密着が必要らしいです」

「ねえ、ちょっと……お願いがあるんだけど」


 夜、月城さんが俺の部屋に来た。

 顔が真っ赤で、目を合わせようとしない。


「どうしたんですか?」

「その……変身解除のこと、なんだけど」

「はい」

「普段は一人で解除できるんだけど……今日、魔力を使いすぎちゃって」

「使いすぎた?」

「うん。一人で解除しようとすると……その……服が消えちゃうの」


 ……服が消える?


「だから……人に密着してると、服が消えないらしくて……」


 月城さんは蚊の鳴くような声で言った。


「密着……ですか」

「……うん」


 つまり——


「俺に、抱きついてほしいってことですか?」

「……うん」


 月城さんは真っ赤になって頷いた。


「でも、なんで俺なんですか? 他の人じゃダメなんですか?」

「……それが」


 月城さんは恥ずかしそうに目を逸らした。


「密着する相手は、魔法少女が『信頼している人』じゃないとダメなの。知らない人だと、逆に魔力が暴走しちゃう」

「信頼……」

「うん。私が信頼してるのは……あなただけだから」


 月城さんの耳が真っ赤になった。

 ……なるほど。つまり、俺以外に選択肢がないってことか。


 それは嬉しいような、複雑なような。


---


「じゃ、じゃあ……お願い」


 月城さんは魔法少女の姿で、俺の前に立っていた。

 金色の髪。ピンクのフリル。輝くような美しさ。

 胸元が大きく開いた衣装。白い肌が見える。

 スカートは短く、太ももがまぶしい。


 普段のだらしない姿とは別人のようだ。


「えっと……どうすれば」

「後ろから……抱きしめて」


 俺は言われるまま、月城さんの後ろに回った。

 そして、彼女の体を抱きしめた。


 細い腰。柔らかい体。甘い香り。

 魔法少女の衣装越しに、彼女の体温が伝わってくる。

 胸の膨らみが、俺の腕に押し付けられる。

 衣装の布は薄く、彼女の体の柔らかさが直に伝わってくる。


 ……やばい。

 これは、やばい。


「じゃあ……解除するね」


 月城さんが呟いた瞬間、彼女の体が光に包まれた。


 そして——


 光が収まると、俺の腕の中には下着姿の月城さんがいた。


「っ……!」

「きゃっ!」


 俺たちは同時に声を上げた。


 月城さんの体が、ほとんど裸に近い状態で俺に密着している。

 水色のブラジャー。お揃いのショーツ。白い肌。

 子どもっぽいデザイン。二十五歳のOLの下着とは思えない。

 ……なんか、かわいい。

 細い腰のくびれ。すべすべの背中。柔らかいお尻。

 全てが、俺の体に触れている。


「み、見ないで……!」

「見てません! 目、瞑ってます!」


 俺は必死に目を閉じた。

 でも、体の感触は消えない。


 柔らかい胸が、俺の腕に押し付けられている。

 すべすべの肌が、俺の体に触れている。

 彼女の体温が、直に伝わってくる。

 温かい。柔らかい。甘い香りがする。


 心臓が、破裂しそうなほど速く打つ。


「ご、ごめんね……もう少しだけ、このままで……」

「は、はい……」


 月城さんの声が震えている。

 彼女の心臓の音が、俺の胸に伝わってくる。


 ドクン、ドクン、ドクン。


 速い。すごく速い。


 ……俺の心臓も、同じくらい速く打っていた。


---


 それから、変身解除の度に俺が呼ばれるようになった。


「また……お願い」

「はい」


 最初は恥ずかしがっていた月城さんも、少しずつ慣れてきた。

 でも、俺は慣れなかった。


 毎回、彼女の柔らかい体を抱きしめる。

 毎回、彼女の甘い香りを嗅ぐ。

 毎回、彼女の心臓の音を聞く。

 毎回、彼女の肌の温もりを感じる。


 下着姿の彼女を抱きしめる度に、俺の理性は限界に近づく。

 柔らかい胸の感触。細い腰のくびれ。すべすべの肌。

 全てが、俺の頭をおかしくさせる。


---


 ある日のこと。


「今日は……魔力を使いすぎちゃって」


 月城さんが、申し訳なさそうに言った。


 彼女の説明によると、変身解除に必要な密着度は、消耗した魔力の量に比例するらしい。

 普段なら数秒の密着で済むが、魔力を使いすぎると、時間も密着度も増える。


「いつもより、長く密着してないとダメみたい」

「長く……ですか」

「うん。ごめんね……」


 いつもは数秒で終わる解除が、今日は数分かかるらしい。

 数分間、下着姿の美人お姉さんを抱きしめ続ける。


 ……正直、耐えられる自信がない。


「じゃあ……お願い」


 月城さんが魔法少女姿で俺の前に立つ。

 今日の衣装は、いつもよりさらに露出が多い気がする。

 胸元は大きく開き、スカートは短い。白い太ももがまぶしい。


「今日、なんか衣装が……」

「言わないで! 魔力が弱いと衣装も薄くなるの!」


 月城さんは真っ赤になって俯いた。


 俺は彼女の後ろに回り、抱きしめた。

 衣装の布が薄い。本当に薄い。

 彼女の体の曲線が、ほとんど直に伝わってくる。

 

 胸の膨らみ。腰のくびれ。お尻の丸み。

 全てが、俺の腕に密着している。


「じゃあ……解除」


 光が収まると——


 今日の月城さんは、いつもより下着が小さかった。


「っ……!」

「きゃっ……!」


 ピンクのブラジャーに、小さなリボンが付いている。

 ショーツは、猫のイラスト入り。

 ほとんど裸に近いのに、下着はかわいい。

 そのギャップが、余計に破壊力がある。


「み、見ないで……!」

「見てません!」


 俺は必死に目を瞑った。

 でも、体の感触は隠せない。


 彼女の胸が、俺の腕に押し付けられている。

 柔らかい。とても柔らかい。

 大きくて、弾力があって、腕に絡みつくような感触。


 彼女のお腹が、俺の体に触れている。

 すべすべで、温かくて、少しひんやりしている。


 彼女のお尻が、俺の——


「っ……!」


 俺は必死に意識を逸らした。

 円周率。3.14159……。

 だめだ、全然集中できない。


「ごめんね……もう少しだけ……」

「だ、大丈夫です……」


 大丈夫じゃない。全然大丈夫じゃない。

 俺の体は正直すぎる。


 ……バレてないよな?

 バレてたら、死ぬ。


「……ねえ」

「は、はい?」

「なんか……当たってる気がするんだけど」

「っ……!」


 俺の心臓が止まりそうになった。


「き、気のせいです! 気のせい!」

「そ、そう……?」


 月城さんは不思議そうにしていたが、それ以上追及しなかった。


 ……助かった。

 本当に助かった。

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