解説しよう
「……マヨビーム?」
呆然と漏らされた呟き。
「マヨ……どうみてもあれ、マヨネーズだよな……?」
「「へ??」」
エマとクルトの呟きがハモる。
マヨネーズ、その単語を知っている彼は……。
「ちょっとイケメン眼鏡くん!!中二病っぽい君は、もしかして転生者?!」
「ちゅ、中二病ではない!!」
ビシィ!と指をさして叫べば、再び眼鏡が盛大に曇った。
どうやら中二病呼ばわりは恥ずかしい模様。
「中二病とマヨを知ってるってことはやっぱり……」
「え?転生者って勇者側じゃないんだ?」
「……やっぱり君たちも転生者なのか…………?」
どうやら転生者確定のようです。
「ハリソンさんは違ぇーけどな」
「彼もクルト殿たちと同じく……?」
「ああ”ぁ?!どういうことだ?転生者ってなんだよ?」
混乱してきた場に、改めてエマが手を差し出す。
「ちょっとほんとにタンマしましょう」
そうして戦いが再び中断され、話し合いに移行しようとしたとき扉付近が騒がしくなった。
「みんな無事か?!」
「お怪我はありませんか?」
きゅきゅーー!!
パタパタと駆けよってきたのはレオンたちだ。
その後ろには見知らぬ美形のお兄さんとお姉さんもいる。
「…………モモたん」
「おいっ、アストどうしたっ?!」
ラウムの叫びに振り返れば、アストの顔色が今日一ですごいことになっていた。
頭から湯気がでているし、眼鏡はすでに見えていない。
「モモたん……?」
謎の呟きにクルトたちが頭をひねるなか、エマはあっ!と声をあげた。
「エマ?」
「思い出したっ!最初に会ったとき、ミレーヌちゃん誰かに似てるなって思ったの。モモたんだ、モモたん!」
「いや、だからモモたんって誰だよ……?」
「え?知らない?アニメ見てなくてもCMとかちょくちょくあったし、映画にもなったから見たことありそうだけど」
そう言ってエマは恰好つけて顎に手を当てた。
『 解説しよう。
モモたんとは『プリティ!魔法少女☆プリンセス・モモカ』の主人公であるモモカのファンの一部による愛称である。
黒いとんがり帽に魔女っ娘スタイル、ツインテールがトレードマークの萌えっ子美少女。
魔法の国のプリンセスであるモモカが相棒の黒猫ミミといっしょに悪と戦ったり、仲間と友情を育んだりする物語である。
可愛らしい絵柄も相まって小中学生の女の子はもちろん、一部のおっきいお兄さんたちにも絶大なファンを誇るアニメなのだ。』
「急にどうした?……ってかなにキャラだよ。聞いたことありげな語り口だったけど」
「気分だった」
魔族さんたちが「なんだコイツ?」的な感じで引いてるのなんか気にしない。
一部仲間にも引かれてますが……。
「あ~、でもなんかチラッと覚えがあるかも。たしかにちょっと似てるっちゃ似てる?でもよく覚えてないしわかんねー」
「に、似てます……か……??」
「私は姪っ子が好きで何度か見たことあるけど、結構似てると思うよ。魔女っ娘スタイルの黒髪の大人し気な美少女だったもん。数年成長した姿、って感じでピッタリ!ツインテールしたら実写版イケそう!思い出せてすっきりしたぁ!」
「んで?アイツはそのファンなのかな?ミレーヌ見たまま石化してっけど」
グダグダと話していると、ダンッ!と地面を踏みしめる音が響いた。
「ちょっとっ!勝手に盛り上がってんじゃないわよっ!!ぜんっぜん意味がわかんないんだけど?!一体全体どういうことなのよ!!!」
ご立腹なのは美形のお兄さんだ。
美意識高そうなオシャンティー(死語)な服装をし、手入れがいきとどいてそうなウェーブした長い金髪が特徴。
「「オネエ??」」
「悪魔は両性体なのよっ!!」
失礼なエマとクルトの発言にキレられた。
「あ、あの……その方はバルバトスさんで、こちらは淫魔のソアラさん。四天王の方々らしいです」
「はじめましてぇ」
ゆったりと間延びした口調で挨拶してくれたのは、おっとりしながらボン・キュ・ボン!とスタイルがけしからん美人なお姉さん。
「……い、癒し系のおっとりお姉さんでそのスタイルっ。恐るべし……淫魔」
「うふふふ」
「ねぇ、いい加減にしてくれない?」
バルバトスの額に青筋が浮いた。
もはやラウムは展開についていけないようで、あんぐりと口を開いたまま。ソアラはおっとり構えているし、アストは湯気をあげなから石化が解けない。
とりあえず、一時休戦で。




