ファンタジーといえば大定番!
予想どおりというかなんというか……。
案の定、クルトたちは二日酔いに苦しめられていた。
特にクルトが一番ひどい。顔色がもはや病人だ。
次点がレオンで、頭痛がするのかこめかみを手で押さえている。
ハリソンは騎士団の飲み会などで慣れているのか、ややげっそりしているものの一番被害は軽そうだ。
カンカン、カンカン……ジュウッッ……カンカン、ギィンッッ!!
「うぁぁぁ~!頭が……ひびくぅ……」
朝早くから仕事に打ち込むドワーフさんたちの奏でる音に、クルトが耳を押さえながらうずくまった。
相当辛そうだ。レオンたちも眉をしかめて外を見ている。
二日酔いに大きな音は拷問だ。
その気持ちはエマも過去の経験から理解できるので、やれやれと意識を集中させた。
「……あれ?」
「結界。里にかけられてるみたいな防音の。っていってもこの部屋の中だけだけど」
素質が低いとはいえ、エマとて元の職業は聖女の端くれ。
簡単な結界ぐらいは張れるようになっているのです。
昨日ちゃっかり逃げたことでちょっぴり恨みがましい視線を向けていたクルトたちだったが、頭に響く騒音が消えたことで拝むようにエマを見る。
「それとシジミ汁作ったから。食欲なくてもなにかお腹にいれた方がいいし食べてください」
今日の朝食メニューは簡単におにぎりとシジミ汁、ほうれん草のおひたしだ。
「シジミ……この貝のことだろうか?」
「そうですよ。私たちのいた世界では二日酔いに効くって有名でした」
この世界では珍しいお味噌汁だが、カイジンさんたちには大好評でモリモリ食べて仕事に向かっていった。
なお、本来はお酒を飲んでいるとき、もしくは寝る前などに飲んだ方が効果があるそうです。
でもやっぱ摂取しやすいタイミングっていうと翌朝とかですよね。
お昼ごろまでゆっくり休み、なんとか男性陣も回復したようだ。
ちなみにエマは午前中もお台所を借りて料理にはげんでいた。
「よぉ、ようやくマシな顔色になったな」
ガッハハと笑うカイジンには二日酔いの名残もない。
「お昼ごはんつくったんで食べてください」
「おお、ありがとな!娘っ子らは料理上手だな。昨日も今日の朝のもうまかった」
「お口にあったなら良かったです」
「料理上手なのはエマさんだけですけど……。すごい手際が鮮やかでびっくりします」
「そんなことないよ。今日もお手伝いありがと」
ミレーヌと料理を並べていく。
今日のお昼はお肉がメイン。昨日クルトたちが返り討ちにしたイノシシのお肉がまだ残っていたので。
食事をしながらふとレオンがフォークを操っていた手を止めた。
「そういえば、あの大量の火酒はどう入手を?この辺りには大きな町などもないだろう?」
言われてみればその通りだ。
食べ物なんかは狩りや畑で自給自足できてもお酒はそうはいかない。
「ああ、エルフから仕入れとる」
「「「エルフ……?」」」
なんでエルフがお酒を??
「あやつらは高度な魔法が使えるからな。大きな町への移動も一瞬じゃ。馴染みの風変わりなエルフがおってな、そいつが定期的に大量に仕入れてくれる。なんでも変わった装備類を集めるのが趣味らしい」
「つまりは物々交換ってこと?」
「そうじゃ」
ドワーフの皆さんが作った製品の代金としてお酒を提供しているらしい。
エルフさんは自分好みの装備を発注でき、ドワーフさんはお酒をGETできてWIN-WINの関係。
そんな話を聞きながらエマは内心胸を高鳴らせていた。
エルフ……!
会いたい……!!
モフモフの獣人さんも素敵だが、エルフさんもぜひお目にかかりたい憧れの種族だ。
やっぱ全員美形なのかな?
耳が尖ってて、弓持ってて……脳内にファンタジー映画でみたエルフさんが思い浮かぶエマだった。




