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勇者パーティの一員ですが、転生チートがまさかのマヨビームでした。……マヨビームで世界って救えますか?  作者:


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乙女の憧れは壊せない


淡く、濃く、美しいグラデーションを描くピンクの尾びれを持つ人魚・ルーシェルの提案を受けたエマたちは海の中へ。


「すごい……」


思わず呟けば、ぽわりと口から小さな泡が浮かぶ。


白いクジラの背に乗って、目の前の広がるのは青く煌めく世界。

水面から差し込んだ光がキラキラと輝き、色とりどりの小魚が挨拶でもするようにちょこんと群れをなして泳いでいく。

海底には鮮やかなサンゴと、白い砂が広がっている。


海の中へ……と誘われたときは、「いえ、私たち肺呼吸しかできないんですけど?!」とブンブン首を振ったエマたちだが、ルーシェルたちの魔法によって水中でも呼吸も問題なし。


『勇者パーティ、溺死により全滅』


そんな事態にならずになによりだ。


たどり着いた深海にあったのは白亜の遺跡のような建物だった。


「ここが私たちの住処よ」


案内され、まずはシャワーを浴びさせてもらった。

水道とか通ってんの?という素朴な疑問を感じながらも、海水によるベタつきも落としさっぱり。


「さ、おもてなしするわ!」


身支度も済ませ、通された広間では大勢の人魚たちが歓迎してくれた。

水の中なのに浮くこともなく、華やかにセッティングされたテーブルに並ぶごちそうの数々。


席についたエマはたちはそれを前にして思った。


「……これって共食いじゃない?」と。


バターの香りが食欲をそそる白身魚のムニエルに、ぷりっぷりのシュリンプカクテル、チーズの焦げ目がおいしそうなロブスターの焼き物など、新鮮な魚介類の数々がそこには並んでいた。


歓迎の気持ちが前面に現れた、とっても豪華でおいしそうなご馳走だ。


けどこう……どうしても人魚さんたちの下半身をチラ見せずにはいられないエマたちだった。


だけど当の彼女たちはそんなことを気にかける素振りもなく、美味しそうに料理に舌鼓を打っているのを見て疑問を飲み込んだエマたち。


ご馳走はとっても美味しゅうございました。


陸での生活に興味津々の人魚の皆さんにあれやこれやと質問攻めにあい、逆にエマたちからも色々と質問をしたり会話が弾んだあと、仲良くなったルーシェルが自分の部屋へと招待してくれた。


女性らしい部屋の奥にドドーンと置かれた貝殻ベッド。

窓辺につり下がった水晶やパールの煌めく飾りに、光を透かすシェルのランプなど乙女心をくすぐるお部屋にテンションがあがる女性陣とは裏腹に男性陣は乙女の部屋に居心地が悪そうだ。肩身が狭そうに勧められたソファに腰かけている。


「これなぁに?」


不思議な形をした物体を手にエマが問いかける。

だけど持ち主であるルーシェルはさぁ?と首を傾げた。


「わからないわ。エマも知らないの?人が落としていったものなんだけど……」


どうやら人魚たちは人の世界に興味深々なようだ。

沈没した船や、海を横断する船が落としていくものを拾って集めたりしているらしい。


壊れた懐中時計や宝石のついた短剣を「これとか素敵でしょう?」と見せてくれるルーシェルの視界からエマはすすっとレオンを隠した。


なんとなーく、あのおとぎ話のストーリーが頭に浮かんだので。


王子に恋をして心臓を狙われたらたまったもんじゃない。


そんなエマの危惧を悟ったのか、ミレーヌもそれとなくレオンに感心が向かないようにフォロー。


そんな密かな攻防には気づかないルーシェルが満面の笑みで大きな箱を開けた。


「なかでも一番の宝物はこれ」


布に包まれ大事にしまわれていたそれは……美しい青年の石像。

ますます人魚姫が頭に浮かんだエマだが、その像は王子というよりも…………。


「エアリス……?」


小さいながらも精巧なその像はエアリスの顔によく似ている。


ぱっとルーシェルの表情が華やいだ。

頬を色づけたままぐっとエマへと身を乗り出してくるその表情は、恋する乙女そのものだ。


「ね、ね。エマたちは神託でエアリス様に選ばれたのでしょう?手の甲にはクラルスの紋があるのよね?」


「う、うん。ほら」


「きゃあ!本物!」


手を差し出せば、大感激のルーシェルに腕を取られる。


「もしかして……直接お声を聞いたり、お姿を拝見したことも…………?」


「俺らはねーけど。エマはあるよな」


あまりにグイグイこられてエマが言葉を濁したのに、クルトの発言によりさらにググイッと詰め寄られた。


脳内補正もかかったルーシェルの脳裏に描くエアリスは“美しく、至高の神!”そのもの。


一方、エマが思い描くエアリスと普段の対応は…………。


乙女の夢を壊すわけにもいかず、あいまいな愛想笑いと無難な言葉で乗り切ったエマだった。


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