ときめきってなんだっけ?
本日は晴天なり!
晴れ渡る青空に、エマはご機嫌の笑みを浮かべた。
昨日も昼はいい天気だった。
だが……朝方は少し天気がぐずついていたようだ。
エマはその時刻、ぐっすり寝ていたので話を聞いたにすぎないが。
クラーケンの被害がおさまり、漁は再開された。
だが天候の関係もあって昨日は近場での漁はあったものの、朝方から沖に出ての漁はしていないらしい。
つまりは本格的な漁は今日からということ。
「明日はもっとすげぇの大量に仕入れてくっから楽しみにしてろよ!」
漁師のおっちゃんらからそんな嬉しいお言葉を昨日は山ほどいただいたのだ。
るんるん気分で港に併設された市場へ向かう。
「うわぁ!すっごい!」
思わず「海の宝石箱や~!」とでも言いたくなる圧巻の品ぞろえ。
昨日あったお魚や貝だけでなく、エビ、カニ、ウニ、タコなどラインナップも充実している。
「あっ、イクラだ!タラコもある!」
「おにぎりの具材用に買おう!」
「よしきた!海苔もほしー」
イェーイ!とテンション高くクルトとハイタッチをかわし、お買い上げ。
「ミレーヌちゃんたちなに食べたい?欲しいのあったらじゃんじゃん言って」
「私、エビが好きなんです。食べたいです」
「わかる!おいしいよねエビ!」
「私はエマが言っていた“お刺身”とやらを食べてみたい」
「私もです」
そんなことを話しつつ、じゃんじゃんお買い上げ。
なにせ魔法の鞄があるし、昨日たっぷり稼いだから軍資金も豊富なんです。
…………が、「クラーケンのお礼だ」と言ってみなさんほとんどお金を受け取ってくれない。
押し問答の末、お金の代わりにおしょうゆを提供することに。
昨日、口にして虜になった人たちが大量にいたようです。普段は塩でお刺身を食べていたらしい。
「よっし!今日は海鮮づくしにしましょう!お刺身と、あとフライ食べたい!エビフライにホタテフライ……タルタルソースたっぷりで!」
「「賛成」」
転生組2人も大きく食いついた。
恐らくはミレーヌはエビフライに、クルトはタルタルソースに。
きゅきゅぅ?
タルタルソースって?とばかりに首を傾げるソルトに「マヨネーズにたまごや玉ねぎを混ぜたソースよ」と説明すれば、宝石のような瞳がキラキラと輝く。
「あともう一品はあれです」
「「「あれ?」」」
首を傾げる一同にふっふっと立ち止まったエマは腰に手を当てて笑う。
「昨日、今日、マヨビームを大量に使ったおかげでレベルアップしたんです」
使ったのは主にマヨよりおしょうゆだが。
エマのマヨビームはマヨに限定されない謎仕様。
「なにが出せるようになったんだ?」
「コンデンスミルク」
ほかに“めんつゆ”も出せるようになった。
だが自信満面なエマに対し、クルトの反応は「は?」と怪訝な表情だ。
「イチゴでも食べるのか?」
コンデンスミルクなんてどうすんだよ?と言わんばかりのクルトの反応にエマはパチパチと瞬く。
たしかにコンデンスミルクは使いどころは少ない。
だが、このタイミングでの入手にはひそかに浮かれていたというのに……。
「そっか、意外と知らないか。折角マヨ使った料理なのに……」
「マヨ?!」
マヨラー勇者が食いついた。
ふいにミレーヌがポンッと手を打った。
「もしかして……エビマヨ、ですか?」
自信がなさそうに問いかけてきたミレーヌに「そう!」と大きく頷く。
「えっ、エビマヨってコンデンスミルク入ってんの?」
「入ってるよ。最近はいれないパターンのも多いけどね。私はあの甘みと酸味とコクの一体化が好きだから入れる派。あのマヨソースの味わいおいしいよね」
「作って!!」
両手をぎゅっと握られた。
宿に向かって歩いているエマたちを遠目からチラ見していたお姉さんたちがきゃ!と頬を赤らめる。
会話が聞こえない位置の彼女たちからすれば、美男子が美少女の手を握りなにやら懇願するときめきのある絵面なのだろうが……実際は大好きなマヨ料理のおねだり。
ちっともときめかないエマだった。
エビもホタテもぷりっぷりで、フライもエビマヨもとってもおいしゅうございました。
生で食べる“お刺身”も、食べ慣れないレオンたちも気に入ってくれたようでその日の夜ご飯は豪華な海鮮づくしを堪能致しましたとさ。




