有名すぎるあの曲です
ひとしきり笑い合ったあとは、怪我もしてたしお腹空いてるかも?と緑の羽が美しい鳥さんたちにもごはん(おにぎりの米粒をいくらか)をあげ、それなぁに?なお目めをしてくるドラゴンさんにもツナマヨおにぎりの残りをあげてから再び歩き出す。
あっち、いやこっちじゃ?と迷いつつ進み、レオンたちを発見した。
「クルト、エマ!無事だったんだな」
駆け寄ってきたレオンたちの足がぴたりと止まった。
安堵を浮かべていた表情が一瞬にして緊迫に包まれる。
「なっ……ドラゴン!」
「お2人とも、早く離れてくださいっ」
その視線の先には……エマの背後をちょこちょこするドラゴンさん☆。
いまにも攻撃を開始しそうな仲間たちに慌てて手を前に出す。
「待って、違うの。この子は危険じゃないから!さっき契約した私の従魔ちゃんだから!!」
「「「は?」」」
美形のポカン顔、いただきました。
「従魔……?」
「そうなんです。居たら便利だねって話てたじゃないですか、だから……」
「ドラゴンを……?」
「うっ……確かにちょっと無謀だったかもですけど……」
意味わからん、とでも言いたがな表情にちょっと心が折れた。
従えるっていうんだから、普通は手に負える子を従魔にするんだろう。
それを考えるとちょっと……かなり無謀だったかも知れないけど……結果オーライでいいじゃないか。
「クルト……説明をしてくれるか?」
頭が痛そうに額を押さえたレオンがクルトを見た。
なぜに当事者じゃなくクルトに説明を求めるんですかね?とジトッとした目を向けるが、スルーされた。
そして説明を求められたクルトはそれに答える前に手を挙げて要求を口にした。
「説明はするけど、飯食いながらにしない?俺、いますぐてりやきバーガー食いたい」
レオンたちのジト目がクルトへも向いた。
そんなジト目のラリーを繰り広げつつ、ひとまず適当な場所を探して念願のお昼ごはん開始です。
「はいどうぞ。こーやって包みを全部とらずにぱくっとかぶりついて下さいね。そしてバーガーといったら欠かせない!フライドポテトも準備してありまーす!」
「さすがエマ!神ってる!」
「ふふ、崇めるといいわ」
ははー!!とノリよく崇めてくるクルト。
そんな2人のやり取りにレオンとハリソンは引き気味だ。
こっちはノリの良さがイマイチですね。
「なるほど、手を汚さず食べれるんですね。画期的だ」
遠征なども多いハリソンはバーガースタイルにひどく感心している。
まぁ、ポテトは手づかみなんで油ギットギトになりますけどね。
はじめての味付けだが、レオンもハリソンもお気に召したようだ。
クルトも感涙しながらほお張っているし、ミレーヌも嬉しそうにかぷりと控えめな口でかぶりついている。
「あー、コーラ欲しい」
我ながら非常に満足な出来だが、切実にコーラが飲みたい。
わかるわかると転生組が頷くが、さすがにコーラは再現できない。
「それで、だ。そのドラゴンは?」
改めてレオンが切り出した。
視線を向けられたドラゴンはといえば、ちょうだい、ちょうだいとねだったポテトにしっぽフリフリしている。
「灰狼を倒して、レオンたちと合流する手前で出くわしたんだ。最初は攻撃されたんだけど、どうやら傷ついた鳥の親子を守ろうとしてたみたいで……エマもそいつらを守ろうとしたら攻撃をやめてくれた」
「なんかこの子、人の言葉を理解できてるみたいなんだよね」
エマの言葉に、そして向けられたレオンたちの視線にこっくり頷くドラゴン。
「傷ついた親鳥の怪我を治して、戦いたくないってお願いしたら納得してくれたの」
「納得……」
「ドラゴンは知能が高いといいますが……本当なんですね」
「「「で?」」」
3人の視線が再びエマとドラゴンを見比べる。
なんでそれで従魔になったのか、ってことですよね?
ポテトをつまんだエマはそっと視線を逸らす。
「その……言葉が通じるなら、相互理解のワンチャンがあるんじゃないかと……思いまして、ですね……」
「てりやきバーガーで釣った」
しどろもどろで紡ぐエマの隣で、バーガーにかぶりつきながらクルトが簡潔にまとめる。
バッ!と見られたエマは肩をすくめた。
そんな「信じられない!」な目を向けないでください。
「だって、だってっ……イケそうな気がしたんだもん!実際イケたじゃん!!脳裏で桃太郎のテーマソングが流れたんだもん!!」




