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勇者パーティの一員ですが、転生チートがまさかのマヨビームでした。……マヨビームで世界って救えますか?  作者:


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そもそもジョブが明らかにおかしい


杖を頼りに険しい山道を登っていく。

ガラッ……と音を立てて足元のすぐそばを拳大の石が転がり落ちていった。


「き……きっつい……」


「大丈夫か、エマ?背負うか?」


「ありがと……。まだいける……でもムリそうだったらお願いします……」


ミレーヌから借りたお古の杖を、ある意味で杖として正しい活用法で突きながらよろよろと歩くエマをみんなが気づかわしそうに振り返る。

ありがたいクルトの申し出をゆるゆると首を振って断った。


正直、しんどい。


呼吸音がどっかのSF映画の暗黒面に落ちたキャラっぽいおかしな音になっているが、まだなんとか歩ける。


それに強敵ではないにしろ、先程からちょこちょこと魔物には遭遇している。

とてもじゃないが戦闘に参加する余力がない以上、剣を握るクルトの手まで塞ぎたくない。


山を一つ越え、辿り着いた山間にある小さな村で宿をとった。

部屋に入るなり、荷物をポイッと放り出してベッドへと倒れ込む。


「ごめん、ちょっと休んでいい?」


……すでに寝ころんでますが。


「ええ、もちろんですわ。ですがその前になにか飲まれます?先ほど喉が渇いたとおっしゃってましたよね」


「……そうだった」


ベッドの誘惑に負けて忘れていたが、たしかに言った。

そんなエマにクスクスと笑ったミレーヌが飲み物を入れてグラスをベッドまで運んでくれた。


「どうぞ」


「……天使っ!」


マットレスに手をつきながら緩慢に起き上がったエマは心優しき美少女天使を拝んだ。

両手を組んでからグラスを受け取る。


魔法でほんのり冷やされてるところも超絶天使仕様だった。

こくこくと喉を潤し、お礼を言ったエマは沈むように眠った。



目が冷めたのは窓の外が暗くなったころだった。

ぐっすり眠ったこともあって、体力もだいぶ回復したエマは窓に手をついて外を眺める。

山間だけあって空気が澄んでいるのか星空が見事だ。


「キレー」


王都に暮らしていた時とは比べものにならない星空に、ずいぶんと遠くまできたんだな……と感慨にふけっているとドアが開いた。


シャワーを浴びていたミレーヌが戻ってきたようだ。


「お目覚めになったんですね。少しは楽になりましたか?」


「うん、だいぶ」


「良かった。下でハリソンさんにお会いして、もうじき食事にしようかと仰ってたんですが平気そうですか?」


髪を拭きながら尋ねてくるミレーヌに時計を見れば、いつもの食事の時間を過ぎていた。


「ごめんっ。みんな待たせちゃったんだね」


着替えもせずにバタンキューしたエマは大慌てで支度をし、身支度を整えたミレーヌと隣の部屋へと向かった。


「ご迷惑をおかけして申し訳ない……」


食事をしつつもしゅんとうなだれ、眉を垂らす。


「別に迷惑とか思ってないし」


「気になさらないでください」


謝罪するエマに、みんなはなんてことなさそうに言葉を返してくれた。

その優しさが心にしみる。


最近、エマは地味に凹んでいる。

その原因は旅が過酷になってきたことにある。


まず、道のりが過酷だ。

人間の住まう領地を離れつつあることで、険しい山道や馬車で進めないなんてパターンも増えつつある。

そしてそれに比例して出会う魔物や獣の種類も変わった。


要は……足手まとい感を実感中なう。


「やっぱ普通の小娘に世界を救う旅とか無理があるんだって……」


しょんぼり半分、八つ当たり半分で拳を握って力説。


「エマが普通かは置いといて……」


「どういう意味よ?!」


もちろん、エマだって成長していないわけじゃない。

転生者特典らしいレベルアップが早いという恩恵もあって、それなりに経験だって積んでいる。


だけどレベルアップが早いのは同じく転生者であるクルトやミレーヌもそうだし、なにより職業(ジョブ)により上がり幅が違う。


例えば……レベルが1UPするのに対してだって……。


勇者であるクルトが HP10 MP5 攻撃力15 なら、


魔法使いであるミレーヌは HP5 MP15 攻撃力10、


(世界を救う)看板娘のエマは HP3 MP2 攻撃力2


といった具合だ。


エマの上がり幅がショボい。


なお、運とかはめっちゃ上がる。

あと使用頻度の高いマヨビームとかの能力値もそれなりに。


そんなこんなで体力だの、戦闘力だのに限界を感じつつあるエマだった。


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