ツナマヨの相性を思い知るがいい
かくしてエマは案内された加工食品のお店で大量のツナ缶をGETした。
保存食品というだけあってかなりの在庫があったそれを大量購入。
もちろん全部買い占めては村の人々が困るので最低限の配慮と交渉をしつつ、かなりの量を買い占めた。
どれくらいかってそれは……お店の人や居合わせた人たちがちょっと引くぐらいの量です。
「どうしたエマ?かなりご機嫌だな」
「ふっふっふっ。とてもステキ食材をGETしました!」
「ステキ食材??」
「これを見よっ!!」
時代劇で有名などこかの御隠居さんのアレのごとくに缶詰を掲げて見せる。
もちろんネタを知らないレオンたちは「ははっー」とはならずに普通に「缶詰?」「魚の……缶詰のようですね」と首を傾げた。
そんななか、クルトだけは目をかっぴらく。
「それはっ……?!」
「ツナでーす!ミケルくんが教えてくれたの」
目をキラキラさせたクルトは「でかした!」とばかりにミケルの頭をぐしゃぐしゃと撫で、まだクルトにあまり慣れてないミケルがビクリと震えた。
「クルトさん」
「あっ、悪ぃ。ごめんなミケル」
「クルトはそんなにその缶詰が好きなのか?」
「レオンさま、レオンさま。クルトは生粋のマヨラーなので」
「「それが??」」
「マヨネーズとツナの相性は抜群です!!」
胸を張ったエマにクルトも、なんならミレーヌもうんうんと大きく頷く。
言わずもがな、マヨネーズとツナのコラボ―レーションは鉄板。
サラダに入れて良し、パンにはさんで良し、おにぎりの具にだってぴったりなのです。
「ツナマヨ最高ー!!」
「私、コンビニのおにぎりでシーチキンが一番好きでした」
両手をあげてクルトが高らかに叫び、ミレーヌは両手を胸の前でパチリと合わせる。
「ねーねー、エマおねーちゃん。まよにーずって?」
「マヨネーズだぞ。マ・ヨ・ネ・ー・ズ!」
マヨを愛してやまない勇者がキリッとした顔でこどもたちへと言い聞かせる。
「「「まよねーじ」」」
「違う。マヨネーズ。はい、もう一回」
「「「まよねーず」」」
「よし、良くできたな」
周囲の視線なんてものともせず、マヨネーズを覚え込ませたクルトは非常に満足げだ。
「そのまよねーず?ってなぁに?」
「とっても美味しい調味料よ。ツナ……シーチキンにもピッタリだし、マヨネーズがあればお野菜だってすっごく美味しくなるんだから」
その言葉にミシャとカイが「え~?」と顔をしかめた。
「おやさい、おいしくないよ」
「きらい」
「すききらい、ダメなんだよ……?」
ちびっ子たちはとっても可愛らしいからまだいいとして……周囲の獣人の大人たちまで「肉だけでいいよな」「魚だけでいい」派が多いのはいかがなものか。
ミケルを見習うといい。
「なんかこの世界……やたら野菜嫌い多くないですか?」
エマは常々思っていたことをレオンたちへと向けた。
ちょっと気まずそうにレオンは顔を逸らす。
彼の妹も大の野菜ぎらいだった。
「まぁどうしても肉や魚に比べると……」
「騎士団でも苦手な者は多かったですよ」
特に若い者はそうでした……とハリソンも苦笑いを浮かべる。
「私もエマのマヨネーズやドレッシングがなければ進んで食べたいとは思わないしね」
「野菜嫌いよくない」
よしっ!とエマは腰に腕を当てた。
「じゃあ皆さんにサラダを振る舞います!マヨとツナマヨの美味しさを思い知るといいです!」
そんなこんなでヴェルニーニの皆さんに突発サラダパーティー(?)開催決定。
主婦の方達にサラダを用意してもらい、エマはツナ缶をドンドンと開けていく。
「エマ、こっち開けた」
マヨラー勇者も自主的にお手伝い。
ボウルに次々とツナをあけ、そこにマヨビームを大量投入。隠し味にしょうゆも少し加えてまぜまぜ混ぜる。
サラダにツナマヨをどーん!と乗せ、ドレッシングやらマヨビームをかけていった。
「さ、どうぞ召しあがれ」
最初は「野菜だろ?」と顔をしかめていた獣人さんたちも……いつものごとくマヨネーズの虜です。
むっしゃむっしゃと貪るようにサラダに食いつく。
「どう、お野菜おいしいでしょ?」
口の端っこについたマヨネーズを拭ってあげながら問いかければ、ちびっ子たちは「「「うんっ!!」」」と大きく頷いた。




