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勇者パーティの一員ですが、転生チートがまさかのマヨビームでした。……マヨビームで世界って救えますか?  作者:


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一応反省はちゃんとしてる


そこは大きな森だった。

見上げるほどに高い樹々が葉を揺らす。

木漏れ日が生み出す光と影のカーテンは美しくもあり、同時にひどく厄介だった。


「道、本当にこっちであってるんだよな?」


見渡す限りの木々を視界にクルトが不安そうに問いかける。


「……そのはず……ですが」


同じ不安は感じていたのだろう、方位磁石を手にしたハリソンが一度立ち止まり、針の示す方を確認しつつ頷いた。


代わり映えのしない景色。

頭上さえも樹々の葉に覆われた森からは空さえもよく見えない。つまりは、方角を確認することも困難だ。

迷いでもしたら一大事なので何度もこまめに足を止めては方位磁石を確認し、止まっては歩くの繰り返し。苦戦するような魔物が出現しないことだけは幸いだが、精神的な疲労はつもりつつあった。


どのくらい歩いただろう。

相変わらず森の出口はいまだ見えない。


森の中、エマとミレーヌはクルトたちと離れていた。


別に魔物や獣と対峙しているうちにはぐれて……だの、そういった深刻な理由は特にない。

ある程度の距離はとっているものの、迷子にならないように地面にタバスコで目印もつけてるし。

なお、白いマヨネーズの方が目立ちそうなのにそうしなかったのは動物とかに食べられて目印が消えないよう対策です。


そんでもって、なんで離れているかというと……あれです。

いわゆる“お花摘み”ってやつですよ。


覗かれる心配とかは特にしてないけど、それでも気分的に距離はとりたいので男性陣とは結構距離を置いていた。


魔法でミレーヌが出したお水でしっかり手も洗って、さぁ戻ろうかと歩き出した。


少し歩いたところでがさりと茂みが揺れた。

音のした方をバッと振り返り、臨戦態勢を整える。


獣か魔物か。


相手によっては自分たちだけで対応することも、最悪逃げながら応戦してクルトたちとすぐに合流する必要もある。


じっと茂みへと目をこらす。

茂みの影にキラリと2つの目が光った。


ゆっくりと這い出てきた()()に、エマとミレーヌの瞳は釘付けになる。

微かに震える身体、喉の奥が鳴り、やがてそれは叫びとなった。


「「き、きゃゃああぁぁぁぁぁっ!!」」


森の中に2人の絶叫が響き渡った。




「エマッ!!ミレーヌ!!」


「無事か、2人ともっ?!」


「どうなさいましたっ!!!」


叫びを聞きつけ、全力で駆けつけたクルトたち。


そしてクルトたち3人が見たものは…………。


「か、可愛いぃぃ!!」


「みゃ~」


「すごい可愛い、ふわふわですっ」


「……ふぇっ(ふるふる、ふるふる)」


撫でられて嬉しそうに頬を緩める可愛らしい猫獣人の女の子と、ちょっぴり涙目でふるふるする男の子の姿。


顔も服装も人間のこどもと変わりないが、2人の幼子にはぴょこりと猫耳としっぽが生えている。


そしてそんなこどもをデレッデレの表情で抱きしめ、撫でさするエマとミレーヌの姿だった。


………………。


無言で立ち尽くし、状況を把握しようと試みるクルトたち。


「その……これは一体?」


自力での解決は図られなかったらしく、戸惑いながら問いかけてくるハリソンにハッとエマたちも我に返る。

明らかに臨戦態勢で駆けつけた3人の様子にバツが悪くなってミレーヌと顔を見合わす。


「その……ごめんなさい。もしかしなくても、心配させたよね……?」


「申し訳ありません。あまりの可愛さに感極まってしまって……つい悲鳴を……」


しょぼーんとうなだれる2人に女の子がきょとんと首を傾げる。


「おねーちゃんたちどうしたのー?おにーさんたちにいじめられてるの?」


心配そうに覗きこんでくれるあまりの可愛さに、またも顔がデレッデレに溶けそうになった。


だがガマンだ。

ここは誠意を示す場面、とエマたちは表情をなんとかキープ。


表情筋をフル活用し、真面目に反省している姿を示すのだった。


……だけどちょっぴりにやけているのはどうあっても誤魔化せなかった。


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