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勇者パーティの一員ですが、転生チートがまさかのマヨビームでした。……マヨビームで世界って救えますか?  作者:


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21/41

すごく満喫した

 

 旅は順調に進み、その後も困っているおじいさんを助けたり、迷子の少女を送り届けたり、魔物の討伐依頼を受けたりと……いくつかの村で大小の人助けを行いつつ西を目指した。


「崖崩れ、ですか?」


 気の毒そうに口を開いた宿の主人の言葉に一同は顔を見合わせる。


「そうなんだよ。いま大急ぎで復旧作業にあたってっからアンタらも数日連泊した方がいいぜ」


 宿帳を差し出しつつ、しっかり連泊を勧めてくるところはさすが商売人。


「他に道はないんですか?」


「あるっちゃあるよ。だけど……ちょっと待ってな。ほら、ここが崖崩れがあったとこ。こっちをこう行けば行けっけど、遠回りなうえに山を通るからかなり時間がかかるぞ」


 ガサゴソと棚から地図をひっぱり出した主人は、指でここと問題の場所をトントンと叩き、次いで回り道を教えてくれた。

 言葉のとおり、ものすごく大回りだ。

 しかも馬車が使えない山道のため、次の町まで徒歩5日。


 崖崩れの復旧は3日後の予定で、その後で馬車で移動するのと所要時間はほぼ変わらない。ならわざわざ野宿して大変な思いをするより復旧を待った方がいい、と言われればその通りだった。

 連泊を承諾すると宿の主人は実にいい笑顔で「まいどあり」と笑った。


「予定が空いてしまいましたわね」


 困り顔でミレーヌが頬に手を当てる。


「そうだな。旅の疲れも出るころだ。今日はこのまま自由時間にしようか」


 レオンの提案にエマとクルトは「やったー」と声を弾ませた。


 疲れをとるためにダラダラとするのもアリだが、折角の自由時間。

 ……となれば。


「やっぱショッピングでしょう!」


 エマとミレーヌは笑顔でお店をはしごしていた。


 男性陣?

 別れたから知らん。


 お買い物と買い食いの決意を固めたエマは「ご一緒してもいいですか?」というミレーヌの言葉に二つ返事で頷き、自由時間を満喫している。


「どっか見たいお店とかある?」


 気をつかいがちなミレーヌの意見を聞けば、周囲を見渡したあとで彼女が指さしたのは可愛らしい小物屋さん。

 とっても女子力高めなチョイス。


「じゃあ行こっ」


 小窓から覗くディスプレイの可愛らしさにテンションがあがり、無意識にミレーヌの手を握った。お店に向かう足は知らず小走りだ。

 楽しそうな2人の姿は、それだけ見れば世界の危機を救う勇者パーティなどでなく年頃の少女そのもの。


「あっ」


 小さく声を漏らしたミレーヌに、なになになんかいいモノあった?とばかりに覗きこむ。

 彼女が見ているのはレース地のヘアバンドや光沢のあるリボンや髪紐などヘアアクセサリーが並んだ一角。


 華奢な手が掴むのは、煌めく青と銀を編み込んだ紐にガラスのような青い花の飾りのついた髪紐だった。


 キレイ。

 このデザイン、好きかも。


 それがエマの最初の感想。

 そうして次に思ったのは…………。


 でもあっちの白い小花の髪飾りの方が似合いそう。


 エマの好みとしてはミレーヌの選んだモノの方が好きだが、彼女の艶やかな黒い髪には2つ隣にある白い小花のバレッタの方が映えそうな気がした。

 デザインも清楚でお嬢さまっぽくってピッタリだ。


 もご、と動きそうな口をぎゅっと抑える。

 好みは人それぞれだし、自分の気に入ったものを否定されるのはいい気がしない。

 あっちはあっちでコッソリ私が買ってプレゼントしようかな?そんなことを思っていた時だった。


 スッと横からミレーヌの手が伸びた。


「やっぱり!これ、エマさんの銀髪にすっごく似合うなって思って」


 エマの髪に花を当て、声を弾ませるミレーヌ。


 私に似合うのを見つけてくれたの?!


 控えめに言って、エマは大感激だ。

 ミレーヌが自分に見合う品を見繕ってくれたことも、それが好みにドンピシャなことも。


 ほら、と近くにあった手鏡を見せてくれるミレーヌに、エマは購入を即決した。


「あのね、私はこれがミレーヌちゃんに似合いそうだなって思ってたの」


「可愛いデザインです」


 エマが白い小花のバレッタを手に取れば、うっとりした声でミレーヌは花をなでた。どうやら好みのデザインだったようだ。


 そうして2人は互いに選んだヘアアクセサリーを買い、ついでにお揃いのストラップもGETしたのだった。


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