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勇者パーティの一員ですが、転生チートがまさかのマヨビームでした。……マヨビームで世界って救えますか?  作者:


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相手が神だとか知ったこっちゃない

 

 沈黙が広間を覆った。


 エマは空中に浮かんだその文字を食い入るように呆然と眺める。

 神官さまや騎士さまたちもじっとそれを眺めている。ちょっと首を傾げながら。


「マヨ、ビーム?」


 疑問符をいっぱいに浮かべながら神官さまが口に出した。

 その視線が「なんのことかわかりますか?」という意味を浮かべて同僚に、騎士さまへと向けられる。互いに首を振り合い、ついにその視線がエマへと向いた。


 そのエマはといえば…………。


 拳を強く握り、ふるふると震えていた。


 謎の文字を目にした感想は「マヨビーム?」という他のみなさんと同じもの。

 だけどニュアンスがちょっと違った。


『マヨビーム』


 その言葉を目にした途端、エマは思い出したのだった。

 濁流のように流れこんでくる前世の記憶を。



 そして、エマは叫んだ。


「ふ、ふっざけんなぁぁぁ~~!!!」


 怒りのままに、神殿を震わせる勢いで声を張り上げる。


「マヨビームだと?!マヨビームでどうやって世界を救えっていうのよ?!!ふざけんな、コラッ!!責任者出てこいぃぃ!!」


 キッ!とエアリス神の石像を睨んでブチ切れたエマに周囲は慌てる。

 特に神殿関係者はまさかの神への暴挙に大慌てでエマを止めようとする。

 若い神官さまが地団太を踏むエマの肩に手をかけようとしたその時、周囲を光が包み込んだ。



「なに、ここ?」


 あたりを見渡し思わず呟く。


 そこは先程までの神殿ではなかった。

 足元はふわふわした雲のようで、光にあふれた白い世界。

 非現実的な美しい空間は、だけどどこか覚えがあった。


「急にごめんね。久しぶり」


 いつの間に現れたのか、目の前にはアイドルも真っ青の美青年がいた。


 煌めく金の髪に、完璧という言葉が相応しい美しい顔。

 黙って厳かに佇んでいれば、ひざまずきたくなる神々しさなのに……眉を垂らしたその表情と、澄んだ翠の瞳はどこか人懐っこい感じがする。


 ……やっぱり見たことある気がする。


 既視感にぶしつけながらもじっとエマは目の前の相手を眺める。


 どっかで……どっかで絶対会ったことがあるはず。


 瞳を細めて考えていると、不意に思い当った。


「あっ!!あんたあの時のっ!」


 思いっきり指をさして叫んだというのに、目の前の神・エアリスは思い出されたことが嬉しいのか「うん、そうだよ」なんて笑っている。


 エマは以前にも彼と会ったことがある。

 それはエマが生まれるもっと前、 “恵麻”として死んだ時だ。



 気付けば見知らぬ空間に居て、神様に出会う。


「すまない、君は本当は死ぬはずじゃなかったんだ」


「なら生き返らせてよ!」


「それは出来ない。代わりに君を生まれ変わらせてあげる。お詫びとして望む能力を授けてあげよう」


 そんなやりとりと転生チートを得て異世界転生……なんてパターンはいまやラノベでわりと定番。


 ここで「世界を救って!」と可愛い女神にお願いされたり、「転生チートをつけとくね」と自分でチートを選べなかったりとパターンは色々あるが、恵麻もほぼこの通りのテンプレやり取りを果たして転生した。


 ……ついさっきまで転生者の自覚はなかったが。


「ちょっと待ってよ、たしかあんた転生チートを授けるねって言ったわよね?」


「う、うん。言った」


「で?な・ん・で!!転生チートがマヨビームなのよっっ!!!」


 相手が神ということもお構いなしにエマは叫ぶ。

 ここに神官さまたちがいればムンクの叫びポーズ間違いなしのかなりの暴挙だ。


 だがいまのエマにそんなことを気にする余裕はなかった。

 マヨビームの衝撃だとか、聖女認定された衝撃だとかでいっぱいいっぱいなのだ。

 あとちっとも神様っぽくないエアリスの態度も大いに影響していた。


 美少女にムンッと腰に手を当てて睨まれて小さくなる神。親しみはあれど威厳の欠片もない。


「だ……だって、君がそう言ったから……」


「はぁ?!」


「ひっ!ご、ごめんっ!!」


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