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待合室での口論


 そうして私は汽車に揺られて国の中心都市までたどり着いた。

星形の形をした城塞都市だ。

そして町の中心にある城、城で徴兵された人の入隊式典がある。

さっそく城に向かい門番の人に手形代わりの召集手紙を見せる。

それを確認した兵士はよし通っていいそとだけ不愛想に言って親指を後ろに曲げる。

私はありがとうと告げて門をくぐっていく。

まぁこんなもんか。

やっぱ都会にいくほど人との現代でも異世界でも変わらないな。

そう思いながら城に入っていき。

式典の待合所までたどり着いた。


 待合所では豪華なドレスや礼装に身を包んだ貴族の娘や子息もいれば。

質素なドレスや安い紳士服を着てる平民出身の子もいた。

中には着物を用意する金もなく支給された軍服を礼装替わりにしてる貧困家庭の子もいる。

そのどれもが15歳~大学生程度の子供だ。


 椅子に座って休憩してるとき。

隣の女の子が声をかけてきた。

「ねぇねぇ、この式典で一番強い精霊機に乗れる子はいるのかな」

「無理でしょ、だって誰も動かせた人いないんだよ」

淡い桃色の紙をしたふわふわショートヘアの子。

雰囲気もふわふわしてて、見るからに元気で優しそうな感じだった。

服は赤色のジャケットに白のズボン、頭には羽の付いた帽子。

平たく言うと軍服。

かなり身長が小さく、149センチくらいの私より小さい149以下は確実。

軍服を着てるとこをみるに平民出身の子らしいけど。

彼女が言っているのはこの国の伝説の装甲精霊機「アルビレオ」のことだろう。

とてつもない力を持っているが未だかつて動かせたものはいないという。

きっと動かすのにとてつもない魔術の才能がいるんだろう。

ある話では動かせたはいいが一気に魔力を吸い取られ死んでしまったそうな。

それもう呪物とかそういうのの類なんじゃ。

「あ、そういえば自己紹介がまだだったね私はモコモ」

「私はフーウ、よろしくー」

「フーウちゃんかーかわいい名前だね」

…なんかもし妹が生きてきたらこんな感じだったのかな。

そんな自己紹介ついでの雑談をしてる時だった。

私たちの間に女が割り込んできた。

「どきなさい」

豪華な紫のドレスに身にまとった彼女は。

白銀の綺麗な長髪で長身でスラっと足が長くDカップくらいの程よい巨乳のスタイルの良い美人。

気品と自信に満ち溢れたいで立ちだった。

胸だけデカくてチビな私とは大違い。

「私はこの国の伯爵の身分を親に持つ、ローゼリア・ドライツェルンと知っててどかないの」

いや知らんし…。

伯爵家ってことは国の宰相とか国王の親戚・縁故者とかそのレベルだったけ。

かなりお偉いさんの貴族なんだな。

「えーそんな言い方ないじゃんかー」

「親が偉いだけじゃーん」

「なっ…平民のおちびさんの分際で口答えする気」

モコモが食ってかかる。

それがローゼリアのプライドに火を付けたのか。

口論はさらにヒートアップする。

「大体、そもそも才能が違うのよいい私は最年少で自分専用の精霊機を持ってるのよ」

「さらに言えば沢山敵兵を殺して沢山勲章を得た女が王子の婚約者になれるのよ」

確かにその話は全部事実だ。

伯爵家の令嬢や高級貴族は自分専用の高性能の機体を与えられるし。

勲章を貰えれば強い魔力を持つ子が欲しい王子の妾になることも可能。

正室になる例も過去何回あったらしい。

事実だけど事実だけに腹が立つ。

ここにいる全員まだ子供だから人の死に実感ないのだろう。

人が死ぬということはそんな簡単なことじゃない。

ましてや勲章とか王子とかゲームの景品じゃあるまいし。

「もういいよ、ほんとくだらない無駄無駄むこう行こう」

うんざりして私は制止して場所を移そうとする。

「なんですって…?」

無視しても突っかかってくるとかめんどくさすぎる。

「ああ、そうねそこのおデブさん」

「この世界では胸がデカい女性はデブやガリガリと同じ醜いとされるよ、つまりあなたはプリンセスになれないのよ」

「胸のデカい某夢の国のプリンセスなんていないでしょ、それが何よりの証拠よ」

そんな事実初めて知ったわ。

確かに、胸がデカいプリンセスはいない。

ていうかこの世界にあるんだ某夢の国。

異世界とはいえ19世紀と似たようなとこまで文明が進んでるなら漫画やアニメ映画がもう存在してても可笑しくはないか。

現代世界では巨乳だとモテやすいけど、異世界じゃ常識が違うんだなー。

しかしローゼリアという女性は親にめぐまれてんなー。

彼女にそんな感情しか抱かなかった。


 よくそんな呑気でいられるなと。

まるで自分が死ぬとも思ってないような雰囲気だ。

歴史の授業でや本で習った。

戦争は悲惨なモノだ。

私たちくらいの子供が特攻して死んでいったり。

この世界でも子供を兵器に乗せるロクでもない世界だというのに。

本当に異常な世界だ。

毎年のように学徒出陣が行われてる。

敵国である枢軸国はそこまでに強大なのか。


 でも私はちょっと心の中では。

(くそ胸のデカいお姫様がいてもいいじゃんか)

って実は気にしてたりする。


 そんな風に考えながら二人でトイレから廊下を移動してる時だった。

私の横をローブを羽織った怪しい男が通り過ぎた。

男はすれ違い様に。

「目的地は式典、指令は破壊せよ、すべてはわが君の為に」

物騒で妙なことをぶつぶつと。

「今の…何?」

「変な人だったね、何か怖かった」

城の人間でも私たち新兵の子供でもない。

妙な胸騒ぎを覚え待合室に戻った。

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