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3/8

ポニー夫婦

 気づいたら私は戦場の真ん中で倒れていた。

19世紀頃のような羽の付いた帽子と赤色のジャケット型軍服に白のズボンを身に着けた男たちの悲鳴と叫び声が響いていた。

周りでは人体が潰れるような音や爆発で人が飛び散る様がありありと映し出されていた。

タイムスリップ?。

状況よくわからないけど、お腹がすいてる上に、

何も力の子供である私にはこの状況をどうすることもできないでいた。

これじゃただ死ぬのは待っているだけだ。

いや…ここがどこだろうとここも碌な世界じゃないんだろうな。

さっさと死んだほうがマシか。


 そんな風に考えている時だった。

目の前に巨人が現れた、否それは巨人ではなく。

二足歩行で限りなく人に近い形をした巨大な鉄の人形だった。

西洋の甲冑をそのまま大きくして装飾を施した巨大な人形は。

別の何か黒い化け物のようなものに倒されて。

私を踏みつぶそうとしていた。


 ああそうかもう終わりか。

私はこの巨大な人形に踏みつぶされて死ぬんだ。

その時だった。


 間一髪のとこで、大きな影が私を抱え持ち上げる。

そして、その場から横に飛びのいて難を逃れていた。


 私は助けられた。

この世界で生きることを運命づけられていたかのように。


 私を助けた人は男の人。

男の人だけど厳つくて目つきが鋭いけど綺麗な顔。

私を抱いてる男の体は大柄で筋肉質で手はゴツゴツ。

なのに不思議と安心感があった。

私を助けたときに地面を擦ったけど大きな怪我ではなかったようだ。

「こんなとこに子供?」

「まぁ今はそれどころではない、頼む」

「わかったわ、もう大丈夫だからね」

男の人は私の無事を確認した後、後ろに控えていた小太りの女性兵士に抱きかかえられ託された。


 その後、私は兵士が寝止まるするところのような簡易的なテントが建てられる場所につれてもらい。

兵士達が食事をする場所へとテントの中へ入っていき。

そこでイスとテーブルに腰掛け。

簡単な食事を出してもらった。

目の前には豆とトマトと肉みたいなものが入ったスープが置かれていた。

食べ物を粗末には出来ない、出されたものは残したらバチがあたる。

うつろな目で私はスープを匙ですくい上げ口にする。

トマトの酸味と溶け出した肉汁が絶妙にマッチしていて、そこに豆がちょうどいい甘みとなって口の中に広がっていった。

そして作って出来立てすぐであろうぐつぐつ煮え立てスープは、冷えた体を丁度良く温めていった

美味しい。

そして温かい。

死ぬほどお腹が空いていた私は人前であることもはばからず無我夢中でスープを貪る。

自分の目と心に火が灯ったような感覚だ。

でも。

美味しいのに、何故か涙が込みあげてくる。

「…ぅ…うう」

「口に合わなかった?」

女性兵士は心配そうに聞いてくる。

きっと不味くて泣いてると思われてるんだろう。

違うんです。

そうじゃないんです。

「美味しい…です、ぐす……暖かい食事なんて久しぶりだったから、ごめんなさい」

そうだ、涙の正体が分かった。

私が泣いたのは。

こんな暖かい食事が久しぶりだったからだ。


 女性兵士は目の前の小さな女の子をどういう感情で見ていいのか分からず困惑していた。

そこへ別の男性兵士がやってきた。

「しかしなぜ戦場の真ん中に徴兵年齢にも満たない子供が?」

「きっと子供の出来ない私たちに神様がくれた子なのよ、運命だわ」

二人は女の子のいない場所で相談事をし始める。

それが後に女の子の運命を左右した。


その後私は、自らを戦場の迷い込んだ両親のいない孤児だと。

身分を偽り一時的に病院で保護され(というか異世界から転移とか信じてもらえないだろうし)。

行き場のない私は、二人の壮年の男女に引き取られることとなった。

立派な髭を蓄えた小太りの男性ドルフ・ポニーさんと。

ドレスを着ているこれまた恰幅の良い貴婦人エマ・ポニー。

貴婦人の方はあの時に助けてくれた小太りの女性兵士だった。

自らを男爵身分の貴族と名乗る、二人の夫婦に拾われ救われた


 ポニー夫婦は長年子供が出来ずに悩んでいた。

その期間は十年近く不妊だった。

今までに運よく三人人子供を授かったが…。

そのどれも短い命だった。

一人目は母体に負担がかかかったことによるで難産による出産直後の死亡。

二人目の子は体が弱く病弱で持病だった。

三人目は15歳で戦争に行き「装甲精霊機」に乗り帰らぬ人となった。


 優しい人に引き取られて一か月。

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