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そうして、
――ドッ、ゴォーン――!!!
と、また氷漬けになったままの大きなドアをぶっ飛ばして開けるや、松本たちは奥の院とでもいうべきか、敵の中枢とでもいうべきか――? 国会議事堂内の、議場へとたどり着く。
あの、壇上を中心に半円状に椅子が並んだアレである。
そして、その中央にいたのは、ボスとでもいうべきか――?
まるで、某何でも吸ってコピーするピンク色の丸っこいヤツのゲームのラスボス、デデデ大王のような、でっかい偉そうなペンギンが鎮座していた。
その周りを、衛兵と思しき者たちが、こちらに砲口を向けながら囲う。
「ま、松もっちゃん! アレが、ボスか!」
「だろうな。私は真ん中を行くから、お前たちは他を何とかしろって」
「あ、ああ」
「はい」
と、三人は雑に打ち合わせて、攻撃態勢にかかる。
まず、西京と瑠璃光寺のふたりがデデ――、もとい偉そうなボスペンギンの周りを始末するべく動く。
衛兵たちがこちらに砲を構え、速射しようとするよりも速く――!! 西京は温水の放水銃を手に取って、
――ブ、シャァァッ――!!!
と放つ!!
それから、魔界植物たち援護をし、彼らの火力――、否、冷力というべきか、兵士ごと砲を無力化していく。
そうして、後方支援がくずれたところで、
「うらァァッ!!」
と、松本が、冷体たちのボスへとつっこみにかかる。
対する、デデデでもなく、ドン・キホーテのでもない偉そうなペンギンであるが、こちらはハンマーではなくも、でっかい対空機関砲のような重火器――、いや、重冷器とでもいうべきもの手にしていた
だが、それを銃器としてかまえるよりも先に、
「――!」
と、松本は開眼するが如く――!! すでに距離をつめており、奪った制空権からスコップを振り下ろす!!
いっぽうのペンギンだが、
「――!?」
と、砲口を向けるには間に合わず、仕方なしに対空機関砲のような“それ”を銃剣か鈍器のごとく持ちかえる!!
そうして同時!!
――キィィン――!!
と、松本のスコップとペンギンの重冷器のぶつかり合う音が響く!!
そうして、松本と冷体たちの総大将であるペンギンは、白兵戦のごとく激しくぶつかりあう!!
――キィンッ!! コンッ!! カーンッ――!!
と、金属がぶつかり合う音が響き合う!!
そうして、見た目にも関わらず、松本がスコップでの連撃で巨体のペンギンを押す!!
それを見ながら、
「い、今かッ――!?」
「今しかないでしょがいってんだよ!! 早く撃てっての!! くそおぢ!! るりカス!!」
「あ、ああッ!!」
「は、はいッ!!」
と、急かされた西京と瑠璃光寺は、
――ブ、シャァァッ――!!!
と、温水の砲を放つ!!
松本との戦闘に気を取られたデデデ・ペンギンは
「――!?」
と、反応するも遅く、
――ジョバ、ババァッ――!!!
と、それを浴びてしまう。
そうして、
――ギ、ギ、ギ……
と、鈍るペンギンの動き!!
そこへ、
「も、らったぁぁ――!!!」
と、松本は剣技のようにスコップを振るい!! 冷体たちのボスであるペンギンを撃破した!!
「やっ、やったか……!!」
松本の声に、
「あ、ああっ……!!」
と、西京が答える。
そうして、松本はドサッ……と、尻をついて、
「はぁー、はぁー……、ああぁッ~!! ちッ、かれたぁぁッー!!!」
と、溜めてたかのように、大きな声を出した。
すると、
――ボ、ワァァンッ……
と、場面は、突然に切り替わる。
氷漬けされていた議場から、何か、デジタル・スタジオのような広い部屋へ――
もちろん、そこは氷漬けなどされていなかった。
また、松本清水子と西京太郎、瑠璃光寺玉の姿であるが、戦闘服を着ているところまでは、先ほどと同様であるが、異なる点が一点あった。
ヘッドギア――とまでとはいかなくとも、作業用メガネのようなものをかけており、これはVRデバイスであった。
すなわち、先ほどまでの異常寒波の有事と、氷の兵士たちと行った戦闘であるが、これらはバーチャル空間でのことであった。