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お見舞いと新学期

今回の話では陽太と夏織さんに進展が!!!

どうぞお楽しみくださいませ!

 お見舞いと新学期 夏織side


 陽太と出会って1週間半が経ち、陽太は今日で退院になる。太陽の放つ光が朱色に変わり始め、陽が傾く。斜陽だ。夕方に陽太の入院最後のティータイムをした。二人でレモンティーを飲みながらクッキーを頬張る。

「今日で二人でこうやって机を囲んで食べるのも最後だね。よく考えればこの1週間半、本当にあっという間だったね。」

そう言うと陽太は言った。

「本当にあっという間だったな。僕は夏織にここで会えて、本当に良かった。ありがとな。いろいろと。」

私は内心陽太と出会って感謝すべきなのは私の方だとここ数日で感じていた。私も陽太に感謝の気持ちを伝える。

「私の方が感謝する方だよ。陽太が私の背中を押してくれてなければ、今頃私は苦しさで押し潰されていたと思うし。私、陽太から貰ってばかりだから、私も何か陽太にお礼をしたい。」

そう伝えると陽太は私の頭に手を乗せて言った。

「僕にとっては、夏織が正直に笑顔で過ごしてくれればそれが何よりのお礼だよ。」

私は陽太の思わぬ不意打ちに戸惑って俯く。多分顔は真っ赤になってる。顔と胸が熱くなる。私の顔を見て陽太は続ける。

「お見舞いの時に買ってきてほしいものとかあれば言ってほしい。」

慌てた私は一旦息を整えて話をする。

「じゃあレモンティーの茶葉と何か紅茶に合う洋菓子を買ってきてほしい。」

そう伝えると陽太は笑顔で私に返事をした。

「オッケー。とっておきの洋菓子買ってくるよ。」

そして私に陽太は微笑むとゆっくりと手を私の頬にかざす。私は戸惑うがそんなことを気にせずに陽太は私をそっと抱きしめる。そして耳元で陽太が囁く。

「ありがとう。」そう短く話すとちょうど麻倉先生がラウンジに現れた。

「中村くん。親御さん来たから行くよ。」

それを聞いて陽太は自分の荷物を背負って病棟を出る。病棟を出る前に陽太が不意に口にする。「じゃあ明後日面会に来るから。」そう口にして陽太は病棟を去って行った。



 病室の窓から朝陽が差す。私はカーテンを開けると顔を洗って服を着替え、朝食を待つ。朝食を待っているとお姉ちゃんが病室に入ってきた。そして姉は言った。「転校する学校決まったよ。一応名前伝えておくね。名前は『川崎市立三田中学校』だよ。ちなみに中村くんと同じ中学校だよ。姉としても安心だよ。中村くんがいれば夏織は大丈夫だろうから。じゃあ私は回診行ってくるから。」お姉ちゃんはそう言うと部屋からナースステーションにせっせと歩いて行った。私はさっきの姉の言葉に焦りしかない。なんたってあの陽太と同じ中学校に編入することになったのだから。そんなことを考えていると朝食のパンとサラダとスープが運ばれてきた。私は病室のテレビで朝のニュースを観ながらパンを口に運ぶ。今日は昼過ぎから陽太が面会に来るので早めに朝食を食べ終わり、身だしなみを整えて勉強時間をいつもより多くとって本を読んで面会の時間を待つ。

 本を読んでいると麻倉先生が病室に入ってきた。

「中村くんが面会に来たんだけど通して良い?」

私は深呼吸して麻倉先生に伝えた。

「どうぞ。じゃあラウンジで話す感じですか?」

麻倉先生は頷いて病室から出て行った。私は鏡の前で身だしなみを確認してラウンジに出る。椅子に腰掛けて待っていると陽太が入ってきた。入院中の時とは違うカジュアルな格好で茶色のシャツの下にに白のTシャツを着てジーパンを履いて、高い身長も相まってとても大人っぽい姿だ。私は陽太に思わず見惚れてしまった。

「久しぶり。と言っても3日ぶりか。元気そうで何よりだ。」

陽太が私にそう言うと私も陽太に口を開く。

「陽太の私服、似合ってるよ。凄い大人っぽい。」

そう言うと陽太は少し照れたように顔を赤らめて目線を逸らす。私は転校の件を陽太に伝える。

「あの、私お姉ちゃんと暮らすことになったから転校することになったんだけど、新しく通う学校が川崎市立三田中学校なんだけど、お姉ちゃんから聞いたんだけど、陽太もこの学校に通ってるって。」

伝えると陽太は驚いたように私を見つめていた。

「本当?なら僕としては凄い嬉しいんだけど、あと夏織は始業式から来る感じ?」

私は陽太の問いに頷いた。

「ちなみに僕は西生田の方に住んでるんだけど、もし家が近いなら一緒に始業式の日に登校しない?」

私は陽太からの誘いをまさか受けるとは思っていなかったから少し戸惑って顔が熱くなる。

「うん。私も西生田の方だから、詳しい住所とかは今度教えるね。あと私、陽太と同じ中学校になれて凄い嬉しい。校舎の案内よろしくね。」

陽太は頷いて手提げ鞄からドーナツ3つと新しい紅茶の茶葉を出した。

「お姉さんの分も茶葉作っておいたから渡してあげてほしい。あとこの茶葉はオレンジティーのやつだから。酸味があっておすすめだよ。」

二人で他愛もない会話をするこの時間が私は凄く好きだ。

「夏織は退院の日決まった?」

陽太が質問を投げかけてきて、それに対して私も返答した。

「私は4月の1日になった。ちなみに午前中。」

そう言うと陽太が私に一つ提案をしてきた。

「じゃあ、退院の日、僕も空いてるから、夏織の時間貰っていい?」

「えっ!陽太の時間貰っていいの?」

私は慌ててそう話す。すると陽太は言った。

「夏織のためなら全然いいよ。退院祝いってことで一緒にどう?」

そんな話をしてるとちょうど回診終わりのお姉ちゃんがラウンジに来た。

「二人で話してて楽しそうじゃん。私も仲間に入れてくれない?」

姉の思いがけない不意打ちに私は少しヤキモキする。すると陽太が姉に話を始めた。

「あの綾音教授、退院の日に夏織さんの時間を頂きたいのですがよろしいでしょうか?」

すると姉は陽太からの意外な質問に驚いたのか間を置いて話し始めた。

「私はいいけど、夏織本人の意向の方が私は気になるなぁ。」

そう言って姉は私に何かを企むような笑みを向ける。私は強気に返事をする。

「私は、全然いいよ。というかお姉ちゃんはなんでそんな何かを企む様な笑みを私に向けるの?」

すると姉が口を開いた。

「だって妹がこんな頼りになるの男の子と話してるのを見ると姉としても凄く嬉しいんだよ。だから気になるんだよね。麻倉先生からも二人がよく入院中も話してたって聞いてるし。」

私は姉の話を聞いて頭が沸騰しそうになる。私は恥ずかしすぎて陽太の方に顔を向けられない。外は少しずつ陽が傾いてゆき、蕾を開きかけた桜を照らしていた。それは私に陽太が光を当ててくれたように。

今回のお話はどうでしたか?

次はどんなお話になるのかな?

どうぞお楽しみに^_^

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