冬の訪れは愛と共に
なろう版の投稿遅れてすみません!
楽しんで読んでもらえると嬉しいです!
冬の訪れは愛と共に
夏織side
私と陽太が談笑してるとお祖母ちゃんが部屋に入ってきた。陽太は少しもじもじしながら姿勢を整えて叔母の方を向いた。
「そんなに改まらなくれも大丈夫よ。」
私も服のしわを少し伸ばす。
「いえ、それでも人への敬意と感謝を忘れるわけにはいきませんから。」
「陽太くんは本当にしっかり者ね。」
お祖母ちゃんは笑っているが目の奥からは陽太を見極めているオーラが全開だ。「お父さんとお母さんが結婚の挨拶をした時もこんな感じだったのかな?」と不意に私の頭にそんなことがよぎる。
「あの、唐突で失礼ですがお祖母さんは茶道をやられているんですか?」
陽太は机の上の茶碗と棗を指して少し興味深そうに祖母に尋ねる。
「はい、やってるわよ。うちは見ての通り旅館を経営してると共に茶道の教室もやっているからね。」
「そうなんですか、実は私も頻繁に料理をする中で和菓子つくりに興味があるのですが、できれば今度教えてもらいたいです。」
お祖母ちゃんが言った通りうちは旅館に加えて代々茶道や武道を嗜む家系である。私自身もあまり口にはしなかったが茶道と華道を今もこうしてお祖母ちゃんの家を訪ねる度に教わっている。それにしても陽太の観察力にはいつも驚かされるばかりだ。
「じゃあここからは私から質問させてもらうわね、陽太くん。」
「はい、お願いします。」
重たいような少し冷たいような空気と静寂が一瞬部屋を支配する。
「夏織と陽太くんの馴れ初めを私はあまり詳しく聞いていないから、その部分を話してもらえるかしら?」
「はい、夏織さんとは丁度9か月ほど前に、関東医科大学病院の入院病棟で出会ったのが始まりです。」
お祖母ちゃんの質問に陽太は淡々と話を続ける。
「それから病院では頻繁に話すようになって、お互い退院した後に二人で出かけたときに、夏織さんの方から告白をされて、僕がそれを受けたというのが一連の流れです。」
陽太の話を聞いてお祖母ちゃんは少し沈黙する。
「そうだったのね、」
外の庭の鹿威しが「コツン」と岩にぶつかり音が静寂の空間に響く。
「私はもちろん陽太のことが大好きなの。いじめられて心が苦しかったあの時に、陽太は私の話を親身になって聞いてくれて優しく私のことを慰めてくれた。それに私が陽太と同じ中学校に編入したときも、陽太が私のことをサポートしてくれた。今私がこうやって胸を張って話せているのも陽太のお陰なの。」
私は静寂の空間を裂くように少し声を張り上げて言った。
「じゃあ一つ2人に聞きたいことがあるんだけど、いいかしら?」
「はい、」
陽太が返事をして私も頷く。
「2人には少し気が早すぎる話かもしれないけれど、2人はもしこのまま、高校,大学,社会人と関係が続いたとして、その時2人はどうするの?」
その質問に私は少し動揺する。正直私としては、「結婚したい。」と内心思っている。こんなに私のことを思ってくれる人に私はまだ会ったことがない。もちろん中学生の私はまだ価値観が完成されてなかったりするとも思うけど、それでも結婚というのが今の私の本心だ。
「僕としては、できるのであれば結婚したいです。正直中学三年生の僕の言葉じゃ説得力なんてあるとは思いませんが、僕は夏織と二人で幸せになりたいと思っています。夏織は自分が助けてもらったように言っていますが、僕自身も夏織の存在に何度も助けられてきました。委員会などでも僕のことをサポートしてくれて、2人でいることでお互いに全力を出せると僕は思っています。」
陽太の言葉に私は心の底から涙があふれそうになる。
「そうなのね、2人の意思はよくわかったわ。私から言えることとしては、結婚したいのであればお互い勉学に怠けることなく励むことが条件ね。あとはしっかり2人とも節度を持った付き合いを続けることよ。特に夏織はこの富田家の跡取りなのだからね。」
お祖母ちゃんは真面目な顔でそう私たちに告げた。
「ありがとうございます、正直僕は不安です。いまお祖母さんの話を聞いて、もし本当に結婚することになったときに、しっかり夏織さんに釣り合う人になっているかが怖いです。」
陽太が不安を口にする。正直私も同じだ。これで実質的に私たちは許嫁の関係になったのだから。でもきっと私たちなら良い関係を作っていけると私は思っている。
「そんなことないよ、私たちなりのやり方でよい関係を築いていけば絶対大丈夫だよ!」
「陽太くんが驚くのは私もとてもわかるわ。誰だってこの年で言われたら驚くわ。でもこれからあなたたちがすることはそれだけ大きなことなの。それをしっかり心の中に持ったうえで過ごしていきなさい。」
私の話にお祖母ちゃんは続けてそう言った。
「じゃあ私は一旦お祖父さんの所に行ってくるわ。2人ともありがとうね。」
お祖母ちゃんは部屋から出ていった。
「その、ありがとな。」
陽太は私の方を向いてそう言った。その目は恥ずかしがりつつも、覚悟をしている目だった
「こっちこそありがとう、これからもよろしくね。」
私はそう伝えて陽太の唇にそっとキスをした。
「さすがに不意打ち過ぎる。」
顔を赤くして陽太は私をゆっくりと抱きしめた。
ちょっとここから忙しくなります




