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プロローグand第1話

 初投稿です!読み終わったら是非評価を

お願いします!この作品は中学3年生の

中村陽太と富田夏織が織りなす愛おしさ、

しおらしさ120%の感動ありの青春恋愛劇

です!是非お楽しみください!

                                            




プロローグ


『あなたに出会った日を、僕は、私は、忘れない。あなたの言葉があったから今の私、僕がある。もしかしたら、全て既に計算し尽くされていたのかもしれない。桜の木の下で君に、あなたに言ったように、』


『僕は、私は、永遠にあなたを愛す。』

これは僕の、私の、物語である。



 涙に濡れる病棟 陽太side


 3月の中盤。もうすぐ桜が蕾を開きそうな時期、外からは小鳥の囀りが微かに聴こえる。僕はこの春が嫌いだ。和やかな空気感に僕が上手く馴染めないからいつも春に僕はそう思ってしまう。


 朝起きると、布団を畳んで朝食を準備する。本当はまだ3月の下旬まで学校があるのだが、僕は寝坊した。その理由は、今日から2週間の検査入院だからだ。コーヒーを飲みながら朝のニュースをスマホで確認する。どうやら鹿児島ではもう桜の開花宣言が出されたそうだ。そんなニュースを見ているとリビングの方から声が聞こえた。


「荷物準備できた?病院行くよ。」


母さんが声をかけてきた。僕は返事をしてすぐに用意してた荷物を持って玄関で靴を履いた。外の天気は霧雨だ。目の前には、これまで何年も、何日も開けてきた扉がある。いつもなら元気に開けるはずの扉だが、今日は自分で扉を開けることを少し躊躇った。少しボーッとしてると、後ろから父さんが言った。


「大丈夫。困ったら病院の職員の人達が相談にのってくれるから。」


そう言うと、と勢いよく扉を開けた。

 家から少し歩き、駅前のバスセンターに着いた。

と言っても、狭いロータリーの周りにバス停のポールが3本ほど立っている簡素なバス乗り場だが。そして5分程すると、「関東医科大学附属病院」と電光掲示板に表示された中型路線バスが目の前に停車した。ドアが開くと次々と利用客がICカードを片手にバスに乗り込んでゆく。僕もその流れに乗るようにICカードをタッチしてバスに乗る。通学時間帯のため、制服を着た高校生たちがどっとバスに乗り込んできた。その中には、動画配信サイトを見ながら笑いを堪える女子高生や、参考書を開いて熱心に勉強する男子高校生の姿もある。しばらくすると、バスはドアを閉めて走り出した。停留所を複数箇所飛ばしながらバスは病院に向けて走り続ける。10分程経つと車内放送で「高校入口」と案内が入った。するとそれと同時ぐらいに降車ボタンの赤ランプが光る。停留所に着くと多くの利用者がバスを降りて行った。残る乗客は僕を含めて8人程だ。

 終点の関東医科大学附属病院に着くと、病院の窓口で手続きを済ませて神経精神科の外来診療室まで歩く。

 診療室の前で一人で待っていると白衣を羽織った女性の医師が話しかけてきた。誰かと思い顔を上げると、そこには僕の憧れであり目標である富田綾音主任教授がいた。彼女は日本の医学界で史上最年少の26歳で主任教授まで上り詰めた(現在は27歳)筋金入りの実力派の女医だ。


「中村くん久しぶりー!3ヶ月ぶりくらいかな?今日は診察?」


丈が長いロングスカートを揺らして明るい声で切り込んできた。僕は彼女を見て口を開いた。


「実は今日から2週間程検査入院する予定なんです。先生は回診終わりですか?」


彼女は僕の話を聞くと的確に返事を返してくれた。「そうだよ。ていうか入院いつ決まったの?」僕も先生の問いに対して的確に答えを伝えていく。


「書類上では3週間程前に決定しました。」


「そうなんだね。なんか困ったこととか気になる事があったらいつでも聞いてね。私も定期的に会いに行くから。」


彼女はそう言うと立って救命救急センターの方へと消えていった。30分程待った後、診察室に入り、担当の吉岡准教授と主治医の深山主任教授との入院前のカウンセリングが始まった。


「じゃあ入院する上で何か心配なことはあるかな?」


正直僕はこの質問に対して嫌悪という感情しか感浮かばなかった。実を言うとこの入院も深山教授が勧めてきたことであり自分自身も賛成はしていなかった。面倒ごともごめんだったので仕方なく僕は白旗をあげて入院を決めたのだ。


「特にありません。強いて言うなら今何人程が小児病棟に入院しているんですか?」


僕の質問に対して深山教授は、「今は女子部屋に一人入院していて男子部屋は誰もいないね。」と答えた。すると後ろの吉岡教授が口を開いた。


「だから今は中村くんの貸切だよ。」


吉岡教授が笑顔で話をしてきた。

 カウンセリングが終わると深山教授は親を診察室に招いた。その間に吉岡教授に連れられて別の診察室に入りそこでウイルス検査と採血を行い、入院前検査の書類を吉岡教授が手渡してきた。


「この書類を持って行って心電図センターと画像センターで検査を受けてここに戻ってきてね。」


そう言うと吉岡教授は僕の手を掴んだ。「わかりました。」僕が短く答えると吉岡教授は頷いて深山教授たちがいる診察室に入って行った。

 吉岡教授を見送り終わるとすぐに僕は向かいの心電図センターの窓口で書類を渡してセンターの中に入り、センターの看護師に促されるままに検査を受けた。

 全ての検査が終わり、精神科窓口前の廊下で待っていると、カフェオレのペットボトルを2本抱えて富田教授がこちらに寄ってきた。


「検査お疲れ様。よかったらラウンジでカフェオレ飲まない?」


彼女はまた笑顔で話しかけてきた。


「ありがとうございます。じゃあお言葉に甘えさせて頂きます。」


僕は彼女と最上階のラウンジに向かった。


 ラウンジは昼時だからか無人で、ただ空調装置のおとが聞こえるだけだ。窓からは桜並木が見える。

 窓際の角のテーブルに富田教授と座る。


「入院、心配なこととかある?話聞くよ。」


富田教授が口を開いた。僕もそれに答える。


「今のところは特にないです。」


自分に嘘を吐いているのが分かるたびに胸が痛くなる。そんな僕の顔を見ながら彼女は切り込んだ。僕は自分を偽って演じ続ける。


「それより先生、また論文の賞を受賞されたみたいですね。本当に先生は凄いですね。僕なんてまだまだですよ。」


僕は必死に話し続ける。すると教授は息を吐くように僕の心の傷を縫うように話し始めた。


「中村くん、嘘、吐いてるよね?」


僕は込み上げてくる涙を必死に堪えようとしたが、時すでに遅く我慢できずに涙が目から滲み始める。「先生、すいません。」僕は掠れた声で泣きながら彼女に答えた。そして彼女は僕をそっと抱きしめて言った。


「大丈夫。大丈夫。辛くて苦しいのはよくわかる。だから正直になろう。」


服越しに彼女の温もりを感じる。彼女に抱きしめられて、僕も声にならない声で伝えた。


「僕、ずっと怖かったんです。それと、すいません。嘘ついて。僕、自分の病が怖くてたまらなかったんです。僕って周りの人と違うって思う度に辛くて。」


彼女は言った。


「私こそ、さっき中村くんの気持ちに気づかなくてごめん。だから、これからは私の前で自分に嘘を吐かないで。正直になってみようよ。」


彼女の言葉を聞いて、心が軽くなった気がした。それはまるで雨上がりの空のように。

読んでくださりありがとうございました。

次回の更新は1月7日の予定です。

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次回もお楽しみに!

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