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なろうラジオ大賞6参加作品たち

犬の散歩中、「くっ、殺せ」という20cmの女騎士と出会った。

 俺、トモがマリーナと出会ったのは、愛犬ポチの散歩をしている時だった。

 ポチが急に吠え出し、公園の草むらに突っ込んだ。


「おいポチ!」


 ポチが何か咥えて戻ってきた。

 アニメキャラかなんかのフィギュア?

 20cmくらいで青髪の女騎士だ。


「放せこの魔獣が!」


「……フィギュアが喋ってる」


 俺はしゃがみ込んで、そのフィギュアを凝視した。


「小人? 妖精?」


「まさか巨人までいるなんて。リアス王国の騎士マリーナ、貴様のような巨人に屈することなど断じて――くっ、殺せ!」


 笑ってしまった。だってマリーナ、針みたいなちんまりした剣で戦おうとしてるんだもん。


「なんでそんな小さいの? もしかして異世界転移ってやつ?」

「魔王の魔法を食らったらここにいたんだ。私が小さいのでなく貴様が大きすぎるのだ! 我が国でこれくらいが普通だ! 貴様を倒して祖国に帰る方法を探さなければならん!」


「よくわからんけど、とりあえずうち来る? 俺は君の敵じゃない。ここにいると野良猫かカラスの餌になるよ」


「む……仕方あるまい。これも情報収集のためだ」


 マリーナは考えた末に俺についてきた。ポチはこの世界で標準サイズの犬だと教えると飛び上がっていた。


 程よいサイズだから、一口まんじゅうを買って分けてやる。


「なんてうまいんだ。異世界は侮れないな」などと言う。馴染むのが早ぇ。


 1ヶ月経つ頃にはポチを「愛馬ジョゼフィーヌ」と呼び始めた。人の犬に変な名前つけんな。ポチはオスだぞ。


 マリーナに話を聞きつつ元の世界に返す方法を探してみたが、収穫ゼロに終わった。どうやらこちらの世界に魔法の源である魔素まそなるものがないから、魔法が使えないらしい。


 今日はマリーナと出会った草むら周辺の探索をしていた。ポチの背にまたがるマリーナ。ポチが何かを見つけて走り出す。


「どうしたジョゼフィーヌ!」

「ポチを変な名前で呼ぶなと言うに」


 ポチが茂みに鼻を突っ込んでフィギュアを拾い上げた。


「くそ! はなせ魔獣め!」


 デジャヴ。


「マリアン!」


 マリーナがポチから飛び降りてフィギュアに駆け寄る。

 なんと妹らしい。国に返してやるどころか二人に増えた。

 なお一年後、くっころ女騎士は総勢九人になった。野良猫の餌になると夢見が悪いから、保護する。

 そのせいで俺は近所の人から密かに『美少女騎士フィギュアコレクター』なる、不名誉な異名で呼ばれているらしい。

 異界の魔王、絶対許さん。

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― 新着の感想 ―
くっ、こいつは辛い。 何が辛いかって……フィギュアコレクターと誤解された事さ(;'∀') それにしても結局帰還方法が分からんとは。 というか魔王……まさか小型化の呪いとかもかけてはいないよね????
 面白かったです!  真剣なマリーナと冷めた感じの主人公の温度差がいいですね。  オチの力が抜ける感じが心地よいです。  しかしこんなのが9人も家にいたら、騒がしいでしょうねwww  私は   1…
全裸は見れるのに・・・という血涙案件やねw
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