手稲PS
「お前のせいだからな。三元豚野郎。」
加西くんが、真っ赤にした顔で言う。
「お前はもう出荷することにした。屠殺場はもうすぐだからな。」
現在、車に載せられた僕は新川通りを北上し、石狩湾新港の方へ向かている。嫌な予感しかしない。山と海。絶対に何かある組み合わせの1つだ。すると、対向車線から覆面パトカーがやってきた。助手席に制服警察官が座っている。
「チェ。サツ官かよ。おい、石黒。ぶっ飛ばせ。」
「了解。」
速度超過で捕まることを知らずして、石黒はアクセルを強く踏んだ。
死へのカウントダウンが早くなった。
「さっき横を通った車、変でしたね。」
佐々木が言う。佐々木と組んでいるのは所轄署交通課の捜査員だ。パトカーの運転は署内で一番だ。過去には、札幌一のドライブスキルとも言われていたらしい。
「追いかけるか。」
ハンドルを握る署内No1は、右にウインカーを出したと思った途端、「赤灯」と一言言って赤灯をつけさせアクセルを強く踏んだ。エンジン音が心地よい。特別に、GTRを使っているだけある加速だ。車間距離が160㍍程あったのに、一気に追いついた。「音。」また、一言、いや、一単語言って追い越し車線に入ると、停車を促させ、停車させた。一様、拳銃を出せるようにお互いしておく。まず、佐々木が行き、ビンゴならNo1に合図をだす。そうして、PSに連絡するのだ。
「こんばんは〜。スピード超過の違反切符を切るのと、職務質問です。」
まずは、優しく穏やかに。後ろに乗っていたのを確認して見えないように手で丸を作り合図を送った。
「手稲PSに、佐々木。」
―手稲PSです。佐々木どうぞ。
「現在、不審車両職質中。おそらく本件被疑者と被害者が乗ってると思われます。応援を求める。」
―手稲PS了解。最短4️分です。頑張ってください。以上。
無線で珍しく応援された。慌てて車に近づく。
「こんばんは〜。交通課の佐々木です。」
そう言って、佐々木の腕をつついた。No1に突かれて慌てて手帳を出す。
「手稲署、刑事課の佐々木です。」
「運転手さん、免許証を見せていただけますか?違反切符を切るので。」
先に、交通課のエリートが所定の手続きを済ませようとする。
「運転手さん、免許証を見せていただけますか?違反切符を切るので。」
冗談じゃない。だって無免許だもの。石黒に冷や汗が出る。サラリと手をドアサイドに置いて、一気に窓を閉めた。そうして、エンジンを掛け始めると、前方に突然、車が突っ込んできた。応援の警察官だ。前後左右をパトカーで囲まれて困った。
明らかに困ってる。これでもう終わりだ。そう思ってドアを開けて出てきた石黒だが、仲間の姿がない。被害者の姿もない。
「テメェ。どこにやったんだ、仲間はどこに言ったゴラ。言えやァ。」
刑事課の佐々木はマル暴に所属していた過去があるので脅した。
「手稲本町へ歩いていきました。サツが来たからと。」
捜査員は全員、手稲本町へ向かった。石黒は、速度超過、無免許運転、さらには無灯火運転で検挙された。
その後、別の捜査員が殺される直前に発見した。こうして事件は収束した。