決意
この星の未来を見せられてから約三十分が経過した。
少年はずっと悩んでいた。
まず、先ほどの少女が本当に自然を司る女神メテュスかどうか。
そして先ほど見た物が本当かどうか。
悩んだ結果少年はある頼みをする事に
そう、彼はその結果しだいで信じるかどうかを決めるつもりだった。
「なあ、頼みがあるんだが…いいか?」
「何ですか?」
「君の……本当の姿を…女神としての姿を見せて欲しいんだ。
そうすれば…信じられるだろうし。」
「そんなことで信じてもらえるなら大いに結構です。では…」
そうメテュスが言うと数歩下がり神に祈りを捧げる聖職者のように手を組んだ
するとメテュスは淡く光りだし、すぐに強い光を放った。
「くっ!」
その光は目も開けられないほどの強さになり、少年の視界は真っ白に染められた
すぐに光は止み変わりに鳥の羽ばたく音がきこえ、暖かな陽光が少年に降り注いだ。
顔を上げると其処には背から大きな純白の羽を生やし向日葵のような笑顔をした大変美しい女性がいた。
「まだ夢見てんのかな?すげぇ…」
「理解してくれましたか?」
「今のあんたを見て信じ無いって言った奴の気が知れないな」
「信じて戴けて何よりです。」
「それで俺はこれからどうすれば良いわけ?」
「取り敢えずあなたの倒れていた森『深樹海』から東に五日の『リュインベル』に向かってもらいます。」
「そこで何をすれば?」
「さぁ?自分で考えてください。」
「は?」
にっこりと微笑みながら言うメティスと予想外の返答に唖然とする少年。
「…と言うのは冗談で、これを目覚めさせてください。」
そういって手渡したのは一本の古びた短刀。
「冗談かよ…で、これは?」
「それは『神祇・白』です。あなたにはこの神祇に宿る精霊と契約していただきます。」
「契約?」
「その神祇を撫でながら自分の名前とその神祇につける名を唱えるのです。」
「名前ってどうすれば?」
「それはあなたのセンスに任せます。」
「そっか」
(名前…なら…)
少年は白の刀身を人差し指と中指ではさみ、紡ぐ。
「我が名はテトラ=リグレット、汝が名は、白狼『フェンリル』!!」
その時…少年、テトラを中心に一陣の風が吹き、
それは巨大な結晶となった…
神祇について
神祇とは遥か昔、神々の手によって作られた特別な力を持った武具の総称。
その形は様々で普通に武器の形をしているのもあれば、腕輪のように身につけられるのもある。
中には「え!これも神祇!?」なんてのもある。