表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/76

『ジーニアス学園』に受かるために(女子生徒)

軋む椅子の音と、シャーペンの芯が紙を走る音だけが、私の部屋に響いていた。


壁に貼られた『ジーニアス学園』のパンフレットが、蛍光灯の下で光を放っている。この世界の女子なら誰もが目指す、未来のパスポート。

『ここはお金持ちとか貧乏とか関係ない。学園はあくまでも勉強をする場所だからだ』


パンフレットの隅に書かれたフレーズを指でなぞる。実際、お金がない生徒が入学し、成績に応じて給料をもらいながら通っているという事実は、私の支えだった。逆に、高級品持ち込み禁止(予算5000円以上はNG)という徹底したルールも、貧富の差を学園から排除しようとする理念の表れだ。

学園はあくまでも勉強をする場所だからだ。各自のバーコードリーダーで個人を把握してるらしく食堂等、全て管理されていて『ジーニアス学園』では基本にお金の持ち込みが無いようになっている。窃盗トラブルが起きないように対策とHPには書いてある。


 「よし、あと1ページ」


集中力を保ったまま、難しい数式の問題を解き終えた私は、受験生としては贅沢な5分間の休憩を取ることにした。スマホを開いた瞬間、友人のチャットが溢れかえっている。


<ねえ、大ニュース!『ニューチューブ』見た!?>


<今回は普通のやつじゃないの!やばいことになってる!>


何事かと『ニューチューブ』のトレンドを開いた私は、最初に流れてきた動画のタイトルに目を疑った。それは、この『ジーニアス学園』に入学予定の男子生徒たちがアップしたものだった。


画面に映るのは、まさに理想的なイケメンたち。彼らが発したメッセージは、世界中の受験生に衝撃を与えた。


「『ジーニアス学園』の男性優遇の受験を拒否して一般女子生徒と同じ内容で受験を受けるつもりですので『ジーニアス学園』でお会いしたらよろしくお願いします」


彼らが映す勉強風景は、私が、受けている授業よりも遥かに高度で難しかった。競争相手は、学園が設けてくれたはずの優遇措置を自ら捨て、全力で向かってきている。


「噓でしょ……」


次に現れたのは、西園寺グループに入社予定の男性たちの動画。知性と品格が滲み出る爽やかなイケメンたち。彼らと同じ会社で働ける未来を想像し、私は、思わず頬を緩めた。


そして、最後に現れた有料チャンネル。毎月800円。


『西園寺彰と側近達の勉強風景』

私も頑張らないと受験に勝てない。だって、男性陣の受けてる授業高度なんだもん。


私は迷うことなく会員登録した。画面いっぱいに映し出された西園寺彰は、まさに神の造形。顔が良すぎる。側近たちもまた、一流の美男揃いだ。彼らもまた、メッセージで「男性優遇はしない」と宣言していた。


チャットが凄いことになってる「絶対に『ジーニアス学園』に受かってみせる」とみんな書いてる。「私たちは勝利者になるんだ!」と書いてあるし「私は薔薇色人生を得るために今頑張る」とか「西園寺グループ入社予定の女性たちもあんなイケメンたちと同じ会社で働けるなんて今まで勉強頑張ってきてよかった」とか「あんなイケメンたちと働ける西園寺グループの女性たち羨ましすぎる」等チャットが凄いことになってきてる。


チャット欄は瞬く間に、世界中の女子の熱狂で埋め尽くされ、そして800円がボランティア活動に繋がるという事実に、ネットは「入るのは当たり前だ」と熱狂し、世界的な大騒ぎでネットワークがパンクしました。

 

『世界トレンド一位独占』


表示を見た私は、呆然とスマホを握りしめた。


ニュースも次の休憩時間に見たら『ニューチューブ』 話題で一色だった。世界ニュースも 『ニューチューブ』 の話題で一色だった。世界トレンド一位がぶっちぎり『ニューチューブ』西園寺彰の『ニューチューブ』 の会員になるのは当たり前の行為だとニュースでも言っている。800円は物凄くリーズナブルな価格だと話していて……先ほど、西園寺彰の『ニューチューブ』 では「ここのサイトの会員費は70%傷ついた女性たちを救う費用にします」とメッセージが出て、ますます「この『ニューチューブ』はボランティア活動にもなるからはいるのは当たり前だ」とニュースももはやその話題しかしてない。

さてと……休憩時間終わり……私も頑張るよ。 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ