さぁ、始めよう。俺たちの記者会見
彰がしたかった事がやっと出来ます
男性保護法が改正されてから、わずか三日が過ぎた。その三日間は、世界中のメディアが西園寺彰という青年の動向に釘付けになるには十分すぎる時間だった。
今日、彼が開く記者会見の会場は、国内外から集まった報道陣で熱気に満ちていた。巨大なコンベンションホールは、普段のコンサート会場さながら。最前列の記者たちは、ステージの強烈な照明と、登壇者たちの顔を映し出す巨大なスクリーンに目を細めている。
「お集まりの記者の皆様。これより西園寺 彰様と側近の方々による記者会見を始めます」
司会者の凛とした声が響き渡る。海外の記者には、事前に渡された通訳機付きのイヤホンと紙の資料が、この場の緊迫感を和らげる唯一の手段となっていた。
「最初にご挨拶からしたいと思います」
促され、彰は席から立ち上がった。光沢のあるスーツに身を包んだ彼は、まだ十代でありながら、場を支配する圧倒的な存在感を放っている。
「本日は、お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます」
深々と頭を下げた姿勢は、完璧なプロポーションを描いていた。
「私は、西園寺 彰です。改めて、本日お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。私の隣にいる彼らは、私の側近を紹介します。本人たちに自己紹介してもらいたいと思います」
彰が紹介のジェスチャーをすると、隣に座っていた側近の一人、山下 真が静かに立ち上がった。真は五人の中で最も落ち着いた雰囲気を持つ、リーダー格だ。
「皆様、初めまして。私は、山下 真と申します。彰様の側近の一人です。今日は、よろしくお願いします」
真が頭を下げると、会場のフラッシュがさらに激しく焚かれる。
続いて、久保 タクミが立ち上がった。切れ長の目元が印象的な彼は、どこか熱を帯びた声で挨拶した。
「皆様方、初めまして。私は彰様の側近の一人、久保 タクミです。本日は、よろしくお願いします」
タクミが席に戻る際、記者席の方から小さな、だがはっきりと聞き取れる声が漏れた。
「はー、いい男たちだぁ……」
その空気の中、次に立ち上がったのは、金色の髪が照明に反射するアーク・エバンスだった。
「初めまして。皆様。私は、アーク・エバンスと言います。私は、ご覧の通り日本人ではありませんが、縁があり、彰様の側近になりました。本日は、宜しくお願いします」
流暢な日本語と、日本人にはない彫りの深い顔立ちに、会場はわずかに息を飲む。
そして最後に、少し緊張した面持ちのイアン・マルポートが立ち上がった。
「初めまして。本日は、世界中から来てくださり、ありがとうございます。私の名前はイアン・マルポートです。私も日本人ではありませんが、縁があり彰様の側近になりました」
イアンが深々とお辞儀をすると、今度は女性記者たちの小さな嬌声が聞こえてくる。
「可愛い……かっこいい……」
「では、挨拶が終わりましたので、早速、彰様。お話ください」
司会者に促され、彰はマイクの前に立つ。彼の顔には、アーティストとしての煌びやかさではなく、一人の事業家としての、強い決意が宿っていた。
「皆様に報告したいことがあり、皆様がお忙しいとは思いましたが、お集まりいただきました」
彰は、隣に並ぶ五人の側近たちを一瞥し、再び報道陣に向き直った。
「私と並びにいる彼らは、私の側近たちです。彼らは、私が六歳から育てました。彼らにかかった費用は、全て西園寺グループではなく、私が払いました」
その言葉に、会場が静まり返った。
「皆様が私のDVDやCD、コンサートなどに来てくださった費用で、彼らの育成費は賄えました。皆様、ありがとうございました」
彼は、目線をわずかに上げ、ファンへの感謝を込めた。この告白は、彼の成功の裏にある莫大な私財と、その用途を公にするということだった。
「私の夢は、二つあります。一つは、西園寺グループの後を継ぐこと。もう一つは、男性の社会進出の手助けをすることでした」
彼は語る。幼かった当時、大人の手を借りずに側近を育てるのは不可能だった。しかし、彼にはアーティストとして、そして作詞作曲家としての類稀な才能があった。
「その仕事で稼いだ莫大なお金があり、彼らを育てるお金がありました」
「私が働いたお金を使い。彼らには、素晴らしい先生方や、彼らを育ててくれる人たちに、報酬を払うことができました。彼らは、本当に必死に勉強やトレーニングなどしてくれて、今では私にはなくてはならない側近に育ちました」
彰の声は、揺るぎない確信に満ちていた。
「そんな私が、今度は、私のもう一つの夢を叶えられるぐらいになりました。今度は、他の男性たちにも、社会に出るお手伝いをさせてもらう『入所型施設』を作りました。費用は、皆様方が私のCDやDVDなどを買ってくださった、そのお金全て**を使いました。女性の皆様方、ありがとうございます」
彼の言葉一つ一つに、照明のフラッシュが反応する。
「その施設でのトレーニングや勉強は、かなりハードです。ただ、私も勿論していますし、私の側近たちもしています。幼い子どもができるトレーニングや勉強です」
彼は挑発的な笑みを浮かべた。
「私は西園寺グループの御曹司です。その私より、できないなんてことは、男性の方々は、ないでしょう? 私より勿論、できるでしょう?」
その言葉は、男性たちへの最大限の鼓舞であり、挑発でもあった。
「今、ご家庭で困っている男性などいませんか?そんな男性を私は、一から育て上げるノウハウがあります。今、私の側近にも、そんな過去をもつ男がいます。今では、私の立派な側近。皆さん所の困っておられる男性や男の子。私どもでお預かりします。費用などは、これから、側近たちが話すので、私は彼らにマイクを譲りたいと思います」
彼は満足げな表情でマイクを真に手渡した。会場の視線は、次に何を語るのか、側近たちに集中していた。




