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第五十六夜   珊瑚島

 ーー吹雪の日から……2日後。


 楓の怪我の事もあり❨本人至って平然だった❩

 出発は……2日後になった。


 南にある絶海の孤島。

 珊瑚島(さんごとう)。そこにーー楓御一行は、乗り込んだのだ。


 紺碧の海に囲まれたその島は……まさに絶海の孤島。

 辺りに、島はない。その離島が浮かぶ。


 大きな火山が目につく。火山の下に広がる森、ゴツゴツとした岩山が浮き出た……不気味な島。


「火山か……。」


 葉霧は、船の甲板からその島を臨む。火山口から青空に、立ち昇る白煙。黒ずんだ岩山は、辺りの景色の美しさのなかでは異様であった。


「すげぇ……」


 葉霧の隣で、目を輝かせるのは楓だ。野生が多く住んでいそうな、大自然を前に……目をきらきらと、させていた。


 東京から早朝ーー。まだ薄暗い時間にフェリーに乗り、近海の地元の人の船に乗り継ぎ、凡そ8時間の船旅。ようやくーー珊瑚島と呼ばれる離島に、到着したのだ。





【珊瑚島】


 乗船口から、楓達は桟橋を通り島に降り立つ。


「硫黄の薫りが凄いわね」

「ああ。」


 島に降り立つと、強い硫黄の匂い。森の中に浮かぶ大きな黒ずんだ岩山は、目の前にすると迫力があった。


 灯馬と水月はーー暫し、その火山を眺めていた。


「お前ら~……行くぞ~」


 楓と葉霧は、既に紺碧の海がすぐ近くの白い砂浜を

 歩いていた。


 乗船口から直ぐ横は、白い砂浜が広がる。


 どうやらここは……人口も100人に満たない島で、大きなフェリーでは、来れない場所であった。


 その為、この島から一番近い島から、小さな船で訪れたのだ。船の降り口も、簡単な桟橋で出来ておりそこから降りると、白い砂浜。


 人の手が余り入っていない、自然の産物。

 そんな島であった。



「ようこそ。いらっしゃいました。」


 鎮音の知り合いだと言う旅館の主人ーー辰巳。五十代ぐらいの男性が、旅館の車で迎えてくれる。


 楓、葉霧、灯馬、水月。

 4人はそのワゴンで小さな温泉街に、向かっていた。


 運転しながら辰巳は、後部座席の面々に気さくに

 話しかける。


 唯一の市街。

【珊瑚町】は、昔こそはこの近海で採れた珊瑚で賑わいを見せていたそうだが……今は、珊瑚も大半が死滅し、この近海では採取する事も難しくなった。


 その為ーー過疎化が進み、今ではこの辰巳がやる旅館だけを残し、人が離れたそうだ。


【珊瑚の宿】に着くまでの間、紺碧の海を眺める市道を、走りながら……辰巳は説明したのだ。


 楓と葉霧は、車窓から覗く森と火山。

 それを見つめていた。



 ✣


 珊瑚の宿ーー、荷物を置くと4人は直ぐに森に向かった。


 ここに来たのは、観光目的ではない。【嵐蔵(らんぞう)】と言うヌシに会う為だ。


「ヌシ様は……この森の奥にいると言われてます」


 案内役を買って出てくれたのは、辰巳だった。


 ここに来る経緯は、鎮音を通して話をしてある。この島では、ヌシは崇められていて火山が噴火しないのも、ヌシがいるからだ。と、言い伝えもある。


 珊瑚島では……ヌシは絶対的存在のようだ。


 辰巳ーーは、紺の半纏を着た小柄な男性だ。奥深い森の中を案内するのも、サンダル。島民にとっては……この森は散歩道の様なものなのだろう。


 現に……ジャングルの様な森の中には道がある。

 人が通れる様に、土の歩道が続く。


 少し目の細い小顔の辰巳が、振り向く。


「鎮音さんから聞きましたが……なんでまたこの島のヌシ様に?」


 低めではあるが、優しそうなその声で話す。

 物腰のとても柔らかな人であった。


「俺達……学園で研究してるんです。土地神について。」


 葉霧だ。薄手のロングジャケットに、リュックを背負った彼は振り向いた辰巳に、微笑む。


「ああ。学生さんの研究か。それでまたこんな離島に?」


 辰巳は笑う。

 小さな顔を、満面の笑みにして。


「火山活動と島のヌシとの関係。それがとても気になったんですよ。」


(よくまー……平気でウソが飛び出す口だな。)


 後ろの灯馬は、葉霧のその声を聞きながら苦笑い。


 今日はみんな、アクティブな格好をしている。


 灯馬も黒のTシャツに、直ぐに羽織れる様にジャケットを腰に巻いている。ブロンドの頭には、黒のキャップ。リュックを背負いこの湿原を、ハイカットスニーカーで歩く。


「そうですか。」


 辰巳はそう言いながら先を進む。手入れの施されていない森の中を歩いて行くと……ようやく、目的地が見えてきた。


 岩壁であった。


「珍しいでしょう?これ溶岩なんですよ。」


 目の前にあるのは、巨大な岩壁だ。どこまで続いているのかはわからないが、黒ずんだ岩と、蒼っぽいゴツゴツした岩で形成された岩壁が、広がっていた。


 辰巳が、立つその前には大きな岩窟。その壁の中に進める岩穴が、口を開けて待っていたのだ。


「溶岩が集まり……まるで山の様に積み上がってこの崖の様な……岩窟が出来ました。」


 辰巳は、振り返った。

 細い目は垂れていて、終始笑顔だ。


「ここまで。で……と、言いたいが、中まで案内してもらおうか?」


 すると……さっきまで涼し気な顔をしていた葉霧が、険しい表情を浮かべたのだ。


 その眼はーー碧に煌めいていた。


「え?あ?まじ??」


 楓は、葉霧の眼と辰巳を交互に見比べている。


「どうしたの?葉霧くん……」


 心配そうに聞くのは、水月だ。

 山ガールファッションで、本日は臨んでいる。

 殆ど……白とピンクでコーデされている。


()()()()だ。」

「え!?」


 葉霧は、振り向く事なくそう言った。目の前の、辰巳を見据えている。


 声をあげたのは、水月だが隣では灯馬も驚いていた。辰巳を……じっと見ている。



「なんで??気配……全然しなかったぞ!?」


 楓は、葉霧に視線を向けた。

 辰巳を指差しながら、そう言ったのだ。


「覚えておくといいですよ。気配を消せる奴もいるんです。」


 辰巳の表情は、変わらない。

 にっこりと笑っている。

 ただ、岩窟の穴の入口脇に避けた。


「ここからは……皆さんだけで行ってください。嵐蔵様の命令です。」


 辰巳は、そう言うと右手で岩窟の中を指す様に促した。


「行こう」


 葉霧は、楓にそう言った。


「ん?あーそうだな。」


 楓は、振り返る。


「お前ら……」

「行くだろ。だからここまで来たんだよ。」

「うん。私達も行くわ」


 灯馬と水月は、既に笑顔だった。

 楓は、それを聞くと


「そっか」


 と、笑う。


「大丈夫だよ。楓。行きたくなかったらついて来ないから。この二人は。」


 葉霧は、隣でそう微笑んでいた。


 こうしてーー4人は、あやかしの辰巳に見送られながら、岩窟の中に、足を踏み入れた。


 岩窟の中は……意外にもひんやりとしていた。それに、壁には無数のたいまつが立て掛けられていて、中を照らす。


 そのたいまつの火のお陰で、足取りも軽い。

 明るいのだ。


「歩きにくいかとおもったけど……普通のアスファルトみたいね。」


 岩が浮き出た道なのだが、石床の様で段差もそんなに無い。水月は、地面を見ながらそう言った。


「そうだな。けど……なんか少し暑くなってきたよな?」


 灯馬は、水月の手を引きながらそう言った。


「そこまでむっとする暑さじゃないな。適温か?」


 葉霧も、そう言った。


 心地よい暖かさであった。

 奥に進むほどに、無風状態になる。


 穴を進むと……広い空洞に出たのだ。


「うわ……すげー」


 楓が天井を見上げながら声をあげた。


 空洞は、高い岩壁の天井に囲まれていた。周りは、岩壁が囲むが幾つか岩窟の穴がある。ほら穴の様で、先に進めるのかたいまつの灯りが奥から照らす。


 ほら穴の横には、炎が灯る。円形の台の上に紅とオレンジの炎が、灯されていた。それは、この円形の空間を照らすかの様に、いくつも置かれていて、暗闇を灯していた。


 その灯火に、浮かび上がる大きな岩窟の空洞。

 自然に出来上がった遺跡の様であった。


「何なの?ここ……日本じゃないみたい」

「すげーな……。これもあやかしがいるからなのか?」


 水月と灯馬には、まるで別世界に来た様な感覚が襲っていたのだろう。気味悪がるよりも……広がる景色に、心を奪われている様子であった。


「本当に……溶岩なのか?」


 葉霧もまた、遺跡の中に入り込んだ様な景色に、目を輝かせていた。自然が創り出した岩窟は、人間が掘り作り上げた世界ではなかった。


「どうだ?気に入ったか?」


 高らかな笑い声を、あげながら洞穴の中から出て来る、人影がいた。


 ゆっくりと出てくるその姿は……炎の灯りの中で浮かび上がる。


 大柄な男であった。


「デカい……」


 楓は、直ぐに身構える。


 大柄の男は、赤褐色の肌をしている。全身がその色で、上半身は裸。筋肉質なその体躯を見せつける。腰元には、白い布のショールの様なものを巻いており、なおかつ白い袴の様なズボンを履いている。


 右側の腰元には、茶色の瓢箪が掛けられていた。

 かなり大きめだ。


 裾は括ってあり、金の鈴が足首から二つ。

 両足に括りつけてある。

 素足。足の爪は長い。


 180を超す灯馬と葉霧の、その倍の体長、四メートル近いであろう。目を引くのは、その毛であった。髪が、紅炎なのだ。真紅に燃える炎の髪は長く、腰元まである。


 ゆらゆらと燃えながら、靡く。

 風貌と顔立ちは人間に近い。だが、その額には角。

 黒い角が生えていた。


「鬼……なのか?」


 楓は、黒い一本の角を見るとそう言った。


「如何にも。()()と呼ばれる鬼だ。俺はその中でも炎の鬼神。」


 ジャラ……


 右手に持つのは、金の錫杖(しゃくじょう)


 杖の先端は、丸く輪形。遊環が12個通してあり揺らすと、音が鳴る。杖の下は、円形の輪止めがされており床を突くとコンッと音がする。


 それに伴い遊環が、揺れる。


「鬼神?」


 楓は、聞き返した。


「聴いた事がないか?鬼のくせに」


 紅い眼が細くなる。


 今まで見てきた、獣系のヌシとは異なり、明らかに人間に近い。その顔立ちも、整っておりなかなかの美形だ。ただ、険しい表情をしているので、どちらかと言うと強面。


 年代にして……三十代前半の様に見える。

 凛々しさと、幼さが滲む。


「ねぇよ!悪かったな!オレはフツーの鬼なんだ!フツーなの!」


 負けず嫌いなのか……とてもムキになって主張する。


 フハハハハ……。


 錫杖片手に、肩を揺らして大笑いする鬼。

 異様な姿も、その険しい表情も一瞬で、親近感を与える。


「狐の親父の言う通りだな。」

「あ?おっさんを知ってんのか?」


 紅い眼だけは、その幼さい笑みを浮かべた顔とは、異なっていた。厳しい視線が楓たちに向けられる。


 錫杖を向ける。

 その鋭い槍の様な切っ先が、輪形の尖端から覗く。


 シャラ……遊環を揺らし音が響く。


「そこの金髪。」


 と、鬼は灯馬を指した。錫杖で。


「は?俺??」


 灯馬は、目を丸くした。

 突然のご指名だ。

 鬼は、錫杖を戻すと床につけ立てた。


「ああ。お前だ。狐の親父から()()()()()()。出て来い。」

「待て。」


 その言葉に、声を上げたのは葉霧だ。

 鬼は、フッと笑う。

 口の端から牙が覗く。


「取って喰いやしねぇよ。」


 炎の髪はオールバックだ。

 眉毛が無いので、少し不気味。


「葉霧。大丈夫だ。」


 灯馬は、一歩前に出た。

 すると、鬼は腕を上げちょいちょい。と、人差し指で灯馬を呼ぶ様な、仕草をした。


 葉霧は、心配そうな顔をしていたが、灯馬は何ら気にする様子もなく……鬼の少し前に立ったのだ。


「灯馬……」


 水月の心配そうな声も、灯馬には届かない。

 鬼を見据えていた。


「いい眼だ。俺は、嵐蔵(らんぞう)。お前の名は?」

「雨宮 灯馬だ。」


 嵐蔵の紅い眼と、灯馬のグレーの眼がぶつかる。

 お互いを見据える。


「お前に俺の()を、分けてやる。親父からの頼み事だ。」

「え?」


 嵐蔵は、驚く灯馬を他所に腰に下げていた瓢箪を手にした。錫杖は、右腕に挟んでいる。


 きゅぽっ。


 瓢箪のコルクの様な蓋を開けると、


 ぐび。


 と、口につけて飲む様な仕草をしたのだ。


 誰もが……緊張の面持ちだ。


 ごくごく……。

 喉元を鳴らしながら……飲んだ。


 瓢箪を口から離す。 


「あ~……うめぇ。」

「はぁ??」


 ゲップまでした嵐蔵を前に……灯馬は素っ頓狂な声をあげた。だが、嵐蔵はにやっと笑うと、瓢箪をまた口に持っていく。


 飲み口を、含み。


 離すと、突然。


 ぶ~~~~ッーー、と、灯馬めがけて噴き出した。


「うわっ!」


 灯馬の頭から……全身にその飛沫は掛かる。


「なにしてんだ?」

「さあ?」


 楓も葉霧もア然だ。

 首を傾げた。


「うわ!酒臭せ!」


 灯馬は、ぐっしょりと濡れていた。

 どうやらお酒の様だ。

 Tシャツを引っ張り、手で叩く。


 嵐蔵は、瓢箪を持ち口を手で拭う。

 その口元は、にやっと笑った。


 ボッ!!


 突然だった。


 灯馬の全身が……紅炎に覆われたのだ。

 まるで突然発火の様に、炎がつき全身を纏った。


「灯馬!!」


 全身を紅炎に覆われた灯馬の姿に、水月が悲鳴に近い声をあげた。


「熱っ!!」


 灯馬は、そう叫んだが


「そりゃそーだ。炎だ。だが……焼けるほどじゃねぇだろ?そのまま、集中しろ。」

「あぁっ??」


 灯馬は、嵐蔵の声に声を荒げた。

 その顔は……少し歪む。


(何だ?熱いんだが……太陽の光に焼かれてるみたいな熱さだ……)


 灯馬には、じりじりと照りつける太陽の光を感じていた。

 その熱に似ていたのだ。


 嵐蔵は、瓢箪に蓋をすると腰元に戻した。どうやら括りつけた紐が、伸びるらしく戻すと引っ込む。ゴムの様なもので、括り付けてあるのだろう。


「いいか?その炎を身体の中に、引き込む様なイメージで集中しろ。」

「……引き込む……?」


 灯馬は紅炎に包まれながら、嵐蔵の眼を見据えた。

 嵐蔵は、しゃがむ。


「ああ。そうだ。体内に引き込むんだ。そうすればお前のモノになる。お友達を助けてーんだろ?灯馬くん。」


 にやにやと、笑う嵐蔵を前に……灯馬は、その眼を険しくさせた。


「やってやるよ」


 灯馬は、目を閉じた。

 全神経を集中させる。


(俺の周りにあるこの熱が……炎なんだな。これを……俺の中に引き込むイメージ……)


 嵐蔵は、膝の上に太い腕を乗せながら灯馬を見据えていた。

 炎に包まれるその身体を。


 楓も葉霧も……声も出さず一部始終を見つめる。

 水月は、とても不安そうな顔をしていた。


 少しずつ……灯馬の身体を纏う紅炎が、その勢いを弱めていく。まるで、灯馬の身体に吸い取られていくように、萎んでいくのだ。


「いいぞ。そのまま抑えこめ。炎をお前の中に抑えこむんだ」


 嵐蔵の、声に灯馬はぴくりともしない。


(抑えこむ……。この炎で……俺は……。葉霧と楓の手助けがしたい。)


 灯馬がそう念じた時だ。


 シュウウウウ……


 音をたてて紅炎は、鎮火したのだ。


 灯馬は……目を開けた。

 嵐蔵は、ずっと灯馬を見据えていた。


「右手を出してみろ。」


 その声に、灯馬は右手をあげた。と、言っても差し出すのではなく、肘を曲げたまま上げたのだ。


「炎をその手に出すイメージを浮かべてみろ。」

「炎を出す……」


 灯馬は、右手の掌を見つめた。


(ここに炎を……)


 ふと……視線は洞穴の横にある台の上で、燃える紅い炎に向いた。ゆらゆらと燃えるその炎を見つめた。


 ボッ!!


「わっ!!」


 灯馬の右手が、紅炎に包まれた。

 真っ赤に燃える炎が、右手を包んでいたのだ。


「よし。それで……あの壁めがけて撃ってみろ。」

「は??」


 嵐蔵は、立ち上がる。


 シャラ……錫杖を持ち灯馬の少し先にある岩壁に、向けた。


「あれだ。あの丸い壁。あれを炎でぶっ壊すイメージで放て」


 嵐蔵のその声に、灯馬は、突き出ている丸い岩壁に視線を向けた。洞穴の入口より少し遠くにある壁だ。


(……炎でぶっ壊す??)


 灯馬は右手を向ける。

 その掌を。


(炎と言えば……火炎放射??)


 灯馬がそう思ったときだ。


 ゴオォォォっ!!


「うわっ!!」


 右手から……紅炎がまさに火炎放射の様に、放たれたのだ。

 それは、壁めがけて勢いよく放たれる。


 灯馬も驚くほどの威力だった。右手から放たれた火炎放射は、岩壁に直撃すると壊したのだ。炎で、焼き焦がすかの様に。


「すげー………」


 ガラガラと……崩れ落ちる岩壁を楓は見ながら呆然。壁にめり込んでいた、岩壁が崩壊した。


 灯馬の右手は、さっき同様、炎が包むだけになった。


「それがお前の力だ。後は……イメージを練り自在に操れ。炎の力は、無限だ。お前の遣り方次第。」


 嵐蔵は、崩れ落ちる壁を見ながらそう言った。


 灯馬は、しゃがみんこんだ。


 右手の炎はいつしか消えてゆく。


「これが……俺の力……」


 灯馬は、ぽっかりと空いた壁の穴を見つめていた。




























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