#1 灰色の空とシロクマ
初めての投稿です。物語を書く以前の誤字脱字、読みにくいと思います。一所懸命書こうと思います。もし、暇な時間があれば、もうやることが他に無いって暇な時間とかに、目を通して頂けると光栄です。
寒い、手足が冷えてゆく。
すぐにその手足の感覚も無くなり、意識が朦朧としてゆく。
『生き抜け』
頭の中に言葉が浮かんだ、途端に俺は「生き抜かなければ」と思った。
手足が冷たい、感覚が戻っている。冷たい…これ雪か?
感覚の戻った手を握ると冷たいものが掴めた。
ゆっくりと目を開ける。灰色の空が見えた。
自分は今、雪の上に仰向けになっている、懐かしい…あれ?何が懐かしいのだろう、思い出せない。
まるで眠りに着く直前の自分を思い出そうとしているように。あ、そうだ、テストの答案が思い出せない感覚に似ている。
テスト…
あぁ、そうだ俺は学生だ。どこの?
思い出せない。
上半身を起こして最初に見えたのは木だった。それはもう久しく見ていない位に沢山の。辺りは森だった。
何で森の中で目を覚ましたんだ?
さっきまで確か…確……か。
思い出せない。
手足がジンジンする。学生服を着ているが靴は履いていなかった。冬の森で遭難なんて笑えない。森を出よう。
立ち上がり一歩踏み出す前に後ろで小枝が折れる音がした。
振り返ると20m先位に雪のように白い熊がいた。
白い熊、俺はシロクマだとは思えなかった、百歩譲って仁王立ちしているはいいだろう(手は腰に添えられていないが)。
けど手が…いや、前足か、前足が異様に発達していた。隣の木の幹より太い腕、地面まで着いた鋭そうな爪、こんなシロクマ見たことない、実物のシロクマもテレビ以外で見たことはないのだが……
直感した。ここは異世界だと。異世界なんて言葉どこから出てきたんだ?
あぁ、そうか。
思い出した。
自分はヲタクだったと、そうだ、俺は教室の端で黙々と一人でラノベを読む陰キャヲタクだった。
色んなジャンルを読んでいたが異世界物も好きだったな、と。
「グゥォォォォォ!」
そこで思考が寸断された。咆哮後、仁王立ちから四足歩行になったシロクマがこちらに迫ってきていた。
突然の事に反応出来なかった、足も動かなかった、また死ぬのだと思った。また?
「動け! 避けろ!」
叫び声に反応して身体が動いた、そのまま後ろに倒れこんだ形に。目の前のシロクマの頭に火の弾がぶつかった、間一髪だった。何と言ったか分からなかったが、叫び声を上げてくれた人物に一言、「助かった」と言おうとした。
喉の方から熱いものが込み上げてきた。
たまらず吐き出す。
赤黒かった。
白い雪が染まる。
(あぁ、この色、どこかで見たことあるな)
「チッ、間に合わなかったか。 おい、手遅れになる前に治癒魔法掛けてやれ、まだ助かるかもしれん」
(何てしゃべってんだろか、異世界だろ……魔法とかで治してくれよ……ヒール……とか…さ)
意識が遠退く、貧血の時に意識を失うのをゆっくりにした感じだ、気持ちが良い。
_____
カンッ カンッ カンッ カンッ
金属を叩いている音が聞こえる
一定のリズムで
心地が良い。
そうだ、俺は音楽が好きだった。
吹奏楽部にも入っていたな
中学はそれなりに一所懸命練習したな
全国のコンクールだって出たことがあった
高校に入ってからも続けていたけど
サボり癖のせいで久しく吹いていなかった気がする
そうか、俺は高校生だったか
目を開ける、余り見たことが無いな壁紙が張られていない木目が剥き出しの部屋だった。自分はベッドに寝かせられていた。
顔を横に向けると窓があった。
空は雲一つ無い
きれいな水色だった。