3.勇者はまだ来てません(3)
おはようございます。
予告通りねれなかったカイトです。
まあそれはどうでもいい事か。
今日の予定としては俺とリリーで神様の居住区へ行こうと思っている。
そこで俺たちの力というものを与えてもらうのだ。
ということで
「おい、起きろリリー」
「ふみゃぁ?」
片目をこすりながらまだ眠そうにしている。
そこで俺からのプレゼント
ペチっ
「いったいよー」
ゆるーくリリーが悲鳴をあげる。
まあこれで流石に起きただろう。
……決してこれらは今日の夜悶々としてねれなかった俺のささやかな復讐などではない。
ましてやソファーで寝てしまっているゆるゆるの服を着た誰かさんをベッドに運んだ俺の理性がガリガリ削られたからとかいうそんな理由なわけはない。そんな訳は無い。
そうして二人で準備をして、宿で朝食を食べてから出発をした。
「今日もまず一度ギルドへ向かうか」
「どうしてー?」
「俺たちの所持金はいくらか知ってるか?」
そう、魔石はあると言ったが金はあまりないのだ。
それもそのはず田舎では硬貨を使う機会などほとんどない。せいぜい大都市から来た商人さんと作物などの売買をする時くらいしかない。
と言いながらそれ自体も結局物々交換で終わることも多かった。
そういうわけで俺たちはギルドでひとまず魔石を買い取ってもらうことにしたのだ。
そして毒キノコもといギルドへ到着し扉を開けると流石は朝のギルドだと言った感じでとても賑わっていた。
依頼の張ってある掲示板の前なんてそれはそれはすごかった。
まず俺筋肉で出来てますとか言ってそうなガチムチな男達がまず沢山いる。ムサイ。
そのうしろにはその波に入っていけないものの、自分もできる限りいい依頼をという青ネギ系男子くんたちが頑張っている。
そして後ろの壁際のところでは女性陣が壁にもたれかかってその後継をさぞ当たり前のように見ている。
―――この街の男冒険者と女冒険者の力関係が見えてしまうな。リリーはこうならないで……いやあそこには入って欲しくないな。
そんな光景を見て
「うわー冬の日だったら暖かそうだねー」
夏に入ろうとしている今日このごろなんとも言えない感想をいうリリー。
マイペースというか天然というか。。。
それだけ依頼板に人がいるということはもちろん受付嬢の前にも長蛇の列。
それはこの前担当してもらったリーフさんのところも例外ではない。
仕方なくその列に並ぶことにした。
「ねーカイトすごいひまだよー」
「ならどうするんだよ」
「何か面白いことないかな」
ゾクリ
俺の背中に悪寒が走る。
小さい頃からリリーといることで身につけたいや、身についてしまったこの感覚。
天然のフラグ建築士のリリさんには第一級建築士の称号を与えてもいいと思います。
まあつまり何が起こるということだ。
バーーーーーーーン
ギルドの扉が開く。
なんか4人組のヤクザみたいなのが入ってきた。
そいつらは一度ギルドのなかを遠慮のない視線で見回す。
そしてリリーを見つけると、とたんにこちらへと近づいてくる。
オッドアイを神聖視する皆さんとはいえリリーがあまりにも美人なせいで視線を向けてきたりはしたものの絡んでくるような不埒者はいなかった。
そして、俺は彼らの無事を祈ろう。
「ご愁傷さまです」
「よう嬢ちゃん、もしよかったらこのあと少し時間ないか?」
「時間ですかー?」
「ああ。そのさえない男と一緒にパーティー組むんじゃなくて一緒に俺らと組んでみたりなんて有益な話でもしようと思ってな。」
「えー、カイトよりも冴えないあなた達と組んでも私に得がないよー」
「………………」
「そんな自信満々で来てそんなこと言うなんてこれって所謂チョー受けるーってやつー?」
ズケズケとヤクザもどきにいうリリー。
「そろそろ俺たちも我慢の限界だ。俺たちのことをそんな舐めてもらっちゃ困るんだよ。これでもここらで有名なパーティーなんだぜ。」
「へーーーーー(棒)」
「よしお前らその男をまず抑えてろ」
そう言うと喋っていたリーダーらしき人以外の3人は武器を準備しようと動き出したその瞬間
「あのー順番もう次なんで後でにしてもらえますか?」
リリーが一言告げる。
うん分かってた。
リリーの天然は空気さえも変えられると。
「あっその自称有名なパーティーのリーダーぽいリリーと喋ってた人、社会の窓からこんにちはしてるから気をつけてねー」
ヤクザくんの動きが凍る。
チラッ
「お、覚えてろよー」
そんないかにも嚙ませ犬感満載のお約束の言葉を残してヤクザは去っていった。
彼には申し訳ないことをしたかもしれない。
リリーの無意識に絡んでくるもの絶対殺すマン的な部分が発動してしまった。
ご愁傷さまです。
そして本来の目的である受付嬢のリーフさんと向かい合う。
「今日はどういったご要件でしょうか?」
あんなことがあった後でも真顔で答えるリーフさん。
「魔石を換金したいのですがどうすればいいでしょうか?」
そうするとリーフさんが尋ねてくる。
「まだ冒険者になったばかりのふたりには魔物を倒せるはずはないと思うのですが」
「その事でしたら自分の村の近くの森で少し戦ったことがありまして」
そういうとリーフさんは納得をしてくれた。
ただこれからは順々に段階を踏みながら魔物との戦闘や、依頼をこなすようにと言われた。
「ではあちらの奥に見えるカウンターが換金所となっておりますのでそちらで換金ができます。
ですが、私にも魔石を少し見せてもらうことはできますか?強さの指標として考えさせてもらいたいもので。」
いいですよと言いリリーに魔石を取り出すように言った。
「はーいこれですー」
そう言いながら5つほど魔石を取り出す。
するとリーフさんは驚いたように言う。
「これって魔の森の魔物の魔石ですか?」
「そうですけど何かありますか?」
「いえ、あそこに生息するものは気性が荒く、他のところの魔物と比べ少し強いと聞きますので」
魔物が強いという噂だけではもちろん魔の森で取れた魔石だとは断定できない。
だが、魔の森の魔物の魔石は少しほかのものと異なりまるで炎を魔石の中に閉じ込めたかのような紅く赤く輝いてるのである。
それを見てリーフさんは魔の森の魔石だと断定したのだ。
放任主義だった村の大人達どうなってるんだーーい!
まあそんなこんなもありながらリーフさんに礼を言って、リリーは出した魔石を集めてそれを換金所へ持っていく。
「魔石の買取をお願いしたいんですが」
俺が頼むとさわやかそうな人族のお兄さんがやってくる。
「これをお願いします。」
さっきのリーフさんと同じように驚いたお兄さんだったが、一瞬の硬直の元にすぐにこの世界に戻ってきてくれた。
そしてしばらくして
「これらは全部で100000レイとなります。」
そう言って銀貨10枚を手渡してくれる。
俺たちはお礼をいってギルドを出た。
ちなみにこの世界の貨幣価値は
鉄貨1枚1レイ
銅貨1枚100レイ
銀貨1枚10000レイ
金貨1枚1000000(百万)レイ
白金貨1枚100000000(1億)レイ
となっている。
1円=1レイと言った感覚である。
こうして最低限の資金を得た俺とリリーは神様の居住区を目指すことにした。
この王都ナインはつくりとして中心に行くほど上流階級になっていくような風になっている訳では無い。
そもそも王城が国の真ん中ではなく端っこの方に建っているのだ。
それに加えてこの国 ―――初めて国名を言うがカトレア王国―――はこの世界で初めて貴族を廃止した国である。
この国の現王は言った。
「貴族の派閥争い、クーデター未遂、事件の隠蔽が絶えない。それは貴族制という制度があるためである。それを無くしてしまえば彼らの権力は地に落ち、2度と反抗する気力はなくなるだろう。それでも反乱を起こす元気があるものに関しては、その弱った敵に容赦なく二度と立ち上がれなくなるまで徹底的に潰せば良い。」
ただこの政策には今まで貴族が務めてきたすべてのポジションが空いてしまうということだ。
そこに関してはこの王よく考えたもので、王都のいつぶ居住区に住む神様たちを頼ることにしたのである。
結局のところ、貴族の役職のほとんどは名誉職つまり名前だけのものが大半であったため、神様たちは嫌がる顔一つせずにその役目を請け負った。
民衆は神を崇め奉る。そして彼らは不正をすることは基本まずない。貴族制度を採用している時よりも上手く国中がまとまったほどである。
ただ、この案の採用時に反乱を起こしたものがいたが、結局そのもの達を神様の協力のもと捕らえ、家宅捜索を行うと延々と水が流れで続ける泉のように不正の証拠が湧いてくる。
その後は誰も文句を言うことはなくなったとさ
そういうわけで神様はこの王都の奥地の彼ら中心の居住区で過ごしている。
地位のためか少しきらびやかな様相をなしているのでわかりやすいと言えばわかりやすい。
このメインストリートを歩いて行き小さな川を超えたところにその地区は存在した!
リリーがやたらと先行して進んで行くのをなだめながら、たしかに俺は1歩1歩自分の運命を決める場へと歩いていく。
「神様を選ぶ時はカイトと一緒に行動した方がいいのかなー?」
「それに関しては自分の直感に任せるしかないよ」
神様は数え切れないことはないが何十柱と存在する。
「俺らがこれから会う中で自分のこれだって思った人から力を受け取ればいいと思う。」
「んーそうだね。どの神から力をもらったとしても一緒とは言われているけれどやっぱり相性とかって大事だと思うしねー」
話をしているうちに橋を渡りきり神様居住区:
通称不触世界に入った。
さあこれからが本当の冒「すっごい綺麗で空気がミクロ単位まで澄んだ街だねー」……始まる。
「そうだね。」
後2、3話で勇者登場予定です。