11.X
カイトです。
女神に連れられて休憩とかいう名目のもと怪しい建物に連れていかれたカイトです。
目の前にはなぜか眠っている女神クロトがいる。
ベッドは大きくダブルサイズで、やたらと細部まで豪華な感じを出すためのフリルなんかがついているようなそんな部屋だった。
ベットはクロト様の様子からしてフカフカで気持ちよさそうだ。
あっ少しヨダレたれてるわ。
皆さんも疑問に思っただろうが猪突猛進に俺を追いかけて、捕まえて、連れていって力を授けたらすぐに寝てしまったというのはどういうわけか。
では説明しよう。
と言いたいところなのだが、俺にもなぜ今こいつがこんなにスヤスヤ寝ているのかわからない。
自分的には、神様が力を授ける時に、神様もまた力を使うのではないかと考えている。
普通の神様ならここで寝ることはありえないかもしれないが、この女神様は俺にあってからテンションずっとMAXで、俺を引っ張りまわしていてかなり疲れていたんだろうとこの状況に勝手に俺は納得してみていた
もちろん俺も疲れているのだが。
「んみゅーーー、私の王子様♡」
隣からなんか変な声がした気がするが多分幻聴だろう。寝言であんな変な声が出せるはずがないよな。
あーやっぱり疲労が溜まっているんだな。
現代で言うところのラブホテルみたいなところにカイトは連れてこられているわけであるが、実の所自分の貞操が危ないということは感じていたのだが、田舎から出てきたばかりであるのでここがどういう建物かはあまり良く知る由もなかった。
このラブホテル風の建物は昔来た勇者に希望されて建てられました……はい。
カイトはいつまでもここにいてはまた何があるかわからないし、力について落ち着いて教えてもらわないといけないので一刻も早くクロトを連れてここから出たかった。
「はぁ、クロト様を起こして帰りますか。」
俺からいえばこんな良く分からないところに連れられてきて、力をさずけてもらったのはいいが未だにいいことがないのでそろそろいいこと起きないかなーとか現実逃避したいわ、、、
そんなふうに悲観的で沈んでいるカイトだったがそれはさらなる悪寒を呼び寄せてしまった。
その悪寒はとっても馴染みのあるものだった。
コツッコツッ
コツッコツッ
その足音はおそらくカイトたちの部屋の前で止まった。
決してそのオーラだけで周りにブリザードが吹き荒れると言ったようなことは無かった。
だが、そんな大層なオーラはない代わりにただたカイトがその圧倒的な圧力をその身で受け止めるのであった。
それはまるでこの世の重力が反転したかのような幻想の世界に迷い込んでしまったのではとまで考えるほどの凄まじい圧だった。
「ねえカイト!いるの?♪」
その想像を絶するほどの圧とは反対に扉の外からかかってくる声はやたらと明るかった。
カイトはその声の主を誰よりも知っている。
さらにカイトは知っていた。
リリーは怒ってる時はどっちかっていうといじける方向に向かっていくということを。
そしてその上の段階でリミッターが外れると、逆に機械的に笑っているような人形レベルの不気味さを醸し出すことを。
(どうしようこれガチで切れてるやつだ。クロト様はのんきに寝ていらっしゃるしどうすれば。)
「ねえ開けてくれないの♪」
別にドアを叩いたりして圧をかけてきてるわけじゃないのにほんとに背中の汗が止まらないんだけど。
俺以外のやつだったらこれもうKOしてると思うんだけど…
「あのーリリーさんや」
「カイトの声がした♪」
「今扉を開けるからそろそろ落ち着いてくれないでしょうか」
「私落ち着いてるよ。ハヤクカイトニアイタイナ」
やばい。リリーの言葉がだんだんただの単語の羅列に成り下がりつつある。
そろそろどうにかしないと周りにも迷惑をかける勢いだ。
「わかったリリー。今開けるよ。」
「はやくーはやくー♪」
そして俺は扉を開けた。
「カイトーーーー♪」
開けた瞬間にリリーは俺に文字通りダイブしてきた。
その勢いを受け止めながら俺はリリーにここまでどうやって来たのかを聞こうとした。
が。
リリーはなんと俺の腕の中で眠ってしまっていた。
あっヤバイ。
これほんとに行動不能になっちゃったよ。
しょうがないのでリリーもベッドにつれていって寝かせる。
正直抱きついたままリリーが寝てしまったので彼女のアレが俺のことを刺激してくるからマジで理性の鬼になるしかなかったよ。
こんだけ無防備ならそろそろおそってもいいのかな。
まあ、わかってても俺には何も出来ないんだけどね。
そうしてカイトは夜まで寝ているふたりをほっといて外でブラブラして時間を潰した。
夜。
場所はクロト様の(そろそろ様いらない気もしてきた)家だ。
今日のカイト連れ去り事件についてはお店に戻ってみたらもう話し合いは完了してましたとさ。
それはもう凄い。
髪の毛ボサボサにして、服装は乱れまくって、鬼のような形相でふたりは取っ組みあってたよ。
で、なんか仲良くなってたとさ。
なんか聞いた話によると、
「「同士は助け合うべき!」」
とか言ってたよ
あれ、あそこってそうゆう場所だっけ?
確かに激しい運動をして親睦を深めるところだけど…
正直言わせてもらえば俺はずっと不満だったわけだ。今日1日。
やっと力を貰えて、ステータス画面の開き方までは教えて貰った。
だけど!
なのに!
なんで詳細わからないようなままで放置するんだよー!
というわけで。
今からが本題なわけであります。
「では王じ……カイト様。今からステータスの詳細について説明しようかしら。」
「と、その前にこの家すごい大きいよねー」
リリー、ここは空気を読んでくれ!
「あ、そこについてをまだ話してませんでしたか。では最初に説明しときますね。」
クロト様の話を要約するとこうだ。
彼女は力をさずける。
この力の正式名称は力らしい。
この力をさずけられたものはその神様に決められた期間ごとにお金を払うことによりギブアンドテイクの関係を保っているらしい。
だいたいその期間は一年に一回らしい。
だが、力を与えたものが多いところほどやっぱりお金が溜まっていくため立派な建物へとなっていくらしい。
ちなみにこのクロト様はまだそんなに多くの人に力をさずけていないらしい。
「つまりそんなに人気ないってことなんだ~」
リリーの容赦のない言葉はクロトの心を傷つけた
会心の一撃、クロトHPは残りわずか。
「ま、まあそのあたりは置いといて……カイト様の力について見ていきましょう。」
逃げの姿勢に入ったな。クロト!
だが今の俺にとってはそっちの方が好都合だ。
いつも可愛いリリーだがここで話をことごとくそらされると嫌いになってしまいそうなくらいにもう待ちきれない。
「わー。カイトの力だってー!」
「では詳細を見ていこうかしら」
「そんな無理して上品な言葉使わなくてもいいよー」
クロトの心にまたしても深刻なダメージ。
クロトは倒れた。
「うぅ。私一応女神なのにこの扱い……。」
「まあまあリリーそこら辺にしておけ」
「はーい」
ではもう一度ステータスを確認してみますか。
───────────────
名前 カイトシルバー(人族)
年齢 18歳
職業 農民(暫定)、狩人
加護 運命の女神の加護
アビリティ
x
スキル・魔法スロット
▪道化師の舞台
・一定のラインを感情が超えた時、能力値極大補正
・感情の高まりによりさらに上昇
▪理想世界
・能動的行動による反射。
・1戦ごとにステータスリセット。
───────────────
おっ。説明がついてきたぞ!
「えっ?????」
俺の肩からひょっこり乗り出して俺のステイタスを見たクロト様は突然キョドり出す。
「どうしたんですか?」
「どうしてアビリティー欄がX何ですか?これ私のミス?えっどうしよう。。。」
俺にはよくわからないことだがなにかまずい事があったっぽいので自分もとても不安になってくる。
「カイトの力見せてー!」
リリーも逆の肩から俺のステータス画面をのぞき込み初めて見るその画面に小さな完成をあげている。
「凄いねー!スキル強そうだよー!さっすがカイト!」
リリーはそう言ってくれる。
が、
カイトはまだ落ち着いてスキルを見れていない。
片や呑気というか明るくカイトの力を自分のことのように喜ぶリリー。
もう片や険しい顔をしながらカイトのステータスを見ながら小さな声でブツブツとつぶやきながら首をひねっているクロト様。
そんな天国と地獄レベルのテンションの差があるふたりを両肩にのせておいて、この局面で手放しで喜ぶ気になれないカイトであった。
「クロト様俺のステータス画面がどうかしたんですか?」
この局面を打開するには結局真実を聞くしかないので俺は直球で質問する。
「え、え、えぇっと。。。」
「もう行っちゃってもらわないと自分もスッキリできないんで教えてもらえませんか?」
「そうだよーカイトが弱いはずないよー!」
今度はリリーの援護射撃もありクロト様はポツリポツリと話し出してくれた。
「えっとまずステイタス画面に表示されるものは、名前、年齢、職業、加護、アビリティ、スキル魔法スロットなのは知ってますか?」
「いや、親も何も教えてくれなくて初めて聞いたな。」
「へーそうなんだー。あれっ?カイトのアビリティーってどこいっちゃったのー?」
「リリーちゃん鋭いです!そうなんですどういう訳かカイト様にはアビリティーの欄が空欄というかXとしか現れていないんです。」
「ほんとはどんなアビリティが存在するんですか?」
「えっと、、、HPとMPと力、防御、会心、俊敏ですね。」
「つまり俺のステータス画面ではその部分が全部ひっくるめて謎のXで表現されているわけか。」
「そうなんです。こんなこと今までになかったんです。多分この世界初のレアスキルでも混ざっているんでしょうか。でももうこうなったらスキルしかブツブツ。」
またもやクロト様は自分の世界に入ってしまった。
ので、最後にクロト様の言っていたというかやっとじっくりと見れるスキル魔法スロット欄に目を向ける。
一つ目のスキル『道化師の舞台』について見てみる。
▪道化師の舞台
・一定のラインを感情が超えた時、能力値極大補正
・感情の高まりによりさらに上昇
なんかもうさっきまで悩んでたのがバカみたいに思えてくるけど、どうやらこれが俺のアビリティがxになっている理由らしいな。
というかこのXなんか響きがかっこいいと思ってたのに、まさかの謎をXとかで表すんではなくてただの変数Xかよ!
「クロト様、クロト様!俺のスキル魔法スロット欄を見てください!」
「はいーー?……(スキル鑑賞中)……えっ、これって。。。」
「どうやら俺のアビリティがXなのはクロト様のせいではなくこのスキルが一番の要因かと思います。」
「そうだったの……グスン……ほんとによかったよ。私のせいじゃなかったんだねグスグス」
真実がわかったからかクロト様は落ち着きを取り戻してきてくれるよう……に信じていよう。
「ねーねースキルってだいたい補正値って上限値が決まってるんだよね?私なんか聞いたことあるよ!」
突然リリーの質問が飛んでくる。
「でもこのスキルにはそれが表記されてないよ。」
そう言えば感情の高まりによりステータスは上昇し続けるらしいなこのスキル。
確かにある意味ではこの世界で最強になれるスキルであるかもしれない。
「·ただこのスキルの極大補正というものがどれほどのものが全く分からないのが問題だな。」
信じていた結果やっと調子を取り戻してきてくれたクロト様はもう1度スキルを見ながら衝撃の発言をした。
「私、これまでに極大補正というものを聞いたことありません。異界からの勇者でさえもその補正倍率は持っていなかったと思われます。」
えっもしかしなくても俺ってこれ最強なんじゃね?
「ただこのスキルは強さとともに脆さも備えているようですね。」
「えっこのスキルに弱いところとかあるのー?」
俺の心の声を代弁してリリーが尋ねる。
「圧倒的な強さを誇るスキルですがデメリットが2点あります。まず一つ目はこのスキルが指している『一定のラインを感情が超える』とありますがそのラインが不鮮明です。この補正倍率からするとそうそう簡単に発動できないかも知れません。」
「な、なるほど」
たしかにこの世界、そんな好都合すぎるスキルを持ってたら誰でも世界最強になれてしまうな。
「それならリリーに感情を爆発させてー!」
とても魅力的な発言ではあるが今やっても仕方ないので後で試してみようそうしよう。
クロト様に続きを促す。
「二つ目のデメリットについてはこの上昇補正がかかっていない時のあなたのアビリティがどうなるのか全く予想がつきません。タダでさえXとなっており何もわからないのに、上昇値がない時は本当にどうなっているのか私でも想像出来ないんです。」
えっ。。。
「まさかそれって一般人以下まで下がる可能性も……」
「これを言うのは酷かも知れませんが0という可能性さえあります。」
これは……。
「でも私考えたんだけどそれって流石にこの世界の力の強さ的に不公平すぎるからもう一個のスキルでそこら辺を補ってないかなー。クロト様もそう思わない?」
「たしかに偏ったスキル編成などの人もいますがここまでの人を見たのは初めてでしょうね。流石にフォローが入るはずだとは思いますよ。」
「そう信じるのみかー。」
そうして運命の次のスキルに目線を動かす。
▪理想世界
・能動的行動による反射。
・1戦ごとにステータスリセット
なかなか強そうなスキルと魔法の間のようなものになっている。
「基本的には自分の意思に反応して反射シールドでも出すとか言ったそんなところかな」
俺はこのスキルの予想を口に出す。
だが俺の言ったままの効果しかなければ結局さっき言っていた俺自身のステータスの通常時弱体化という事実を認めることになってしまう。
出来れば反論してほしいという気持ちを抱きながら2人に言ってみたのだ。
「でもそれだと説明の2文目は何のためにあるんだろー。」
「私も今それを考えていました。」
リリーとクロト様はこのスキルの2文目が気になるようだ。
「1戦ごとにステータスをリセットって言うのを見ると、まるで1戦ごとにステータスをリセットしないと不都合が起きるかのようじゃないですか?」
確かに。
普通の反射スキルであったならばそんな事書く必要はない。
俺のこのスキルには何か違った使い方があるのかもしれない。
「でも今の段階で分かることはもう無さそうだねー。」
「これは使ってみないとわからないところがありそうなスキルだな。」
今日のところはスキルについての考察はここまでが限界だろう。
「あっ、今日はここに泊まっていってください」
クロト様がそう言う。
たしかに今日の泊まるところを確保しているわけでもないしお言葉に甘えるのが一番いいだろう。
ただし、
「俺の寝てる部屋に絶対入ってくるなよ。これはフリじゃないからな!」




