本編1(兄目線)
それは、昨日に遡る。
ピンポーン、家のチャイムが鳴った。
と、同時に母親が妙に慌ただしい。
『メイクは大丈夫かしら、服も大丈夫だわ』
『宅急便だろ、どうせ』
新しい父親が来るなんて、まさかな。
思わず口から確かめるように言葉が出た。
『言ってなかったかしら、今日ご挨拶に来るのよ、そう娘さんもいるわ、可愛いわよ』
そんなの聞いてない。
『母さんそんなの初耳だよ』
思ってくれることを言ってくれるさすが俺の弟、俺は唖然として声が出なかった。
『こんにちはー』
おじさんの声がした、急いで玄関へ向かう。
其処には45の母親より一回りお歳を召した方が。。
『おじいち、、』
『こんにちは、初めまして』
あ、思わず思ったことが口に出た、と慌てふためく俺と対照的に礼儀正しい挨拶を見知らぬおじいちゃ、いやおっさんに向けている。
できた弟だ、本当に俺と血が繋がってるのか、それすらも危うい。
『雪子さん、礼儀正しい息子さんをお持ちですな』
このおっさん、どうやってうちの母親を。。
とおっさんを睨みつけていると、
少し後ろからひょこっと可愛らしい女の子が顔を出した。
まじかよ、このおっさん犯罪者かよ。
『ほら、芹那挨拶しなさい。新しいお母さんだよ』
顔をちょこっと出して、怯えてる可愛い。
犯罪者じゃない、父親か、まじか。
連れ子可愛い、俺が惚れそうだよ。
『ほら、兄貴何ニヤついてんだよきもい』
弟よ、本当に可愛いんだ。
分かってくれ。。