風紋
何処までも砂、砂、砂……
風紋の美しいパターンは
移ろう風の跡。
あなたの移ろうこころに
立ちすくむわたしの影が
砂漠に伸びている。
さざ波に似た模様に潜む
蠍や毒の虫や蜥蜴たちに、
何時まで怯えていればいいのだろう。
また風が吹いてきた。
夕暮れの赤い砂を巻き上げて。
昨日見た砂山は、
今日深い谷になっている。
定型を持たぬ
砂の群れ。
どんなに握りしめても
さらさらと零れてしまう。
月は冴え、星は冷たく輝く。
あなたの胸の奥底にある湖に
この月を浮かべたい。
二人ですくって
毀れないように。
蒼く沈む夜空の下で、
言葉もなく寄り添って
感じるのは
騒めきと焦燥。
間を吹く風に
また風紋が描かれていく。
*
こんな恋もいいなと思いました。砂の景色のような乾いた中に離れがたさを失わない恋。お互いのこころの中に、風紋は描かれているのでしょう。