表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

橿原のクリスマス事情「兎に角リア充に物申す」

作者: 橿原錬

 ある日、ネットゲームにたくさんの時間を費やしていると、寒くなってきたと感じ、窓にかかっているカーテンを開けてみると、雪が降っていた。


「雪か……」


 小さく呟いた俺―――橿原かしはら れんは、誰にも聞こえないくらいの音量で小さく呟いた。実際、ここには俺一人で住んでいて、誰にも聞こえないのは当たり前なのだが、もう一人の住人にも気づかれていないようだ。


 俺の住んでいるところはあまり雪は降らず、雪が降ることが稀であった。


 そして、雪が降ってくるということは、イベントが舞い降りてくることに等しかった。それともうひとつ、俺にとってもいやなイベントがもうひとつある。


 まず、俺にとって最大のイベント。それは、ゲームである。毎年この時期になると、中古のゲームが安値で売られている。そこへ群がるネトゲ廃人とともにここぞとばかりに買いに行く。そして年末の大感謝祭とかなんとかで、中古のゲームが沢山売られているのだ。俺は、毎年この時期を楽しみに待っている。


 そう、待っているのだが、俺にとっての嫌なイベントなのだが、ここぞとばかりに年末ということで家族と過ごす奴らが多い。その中で、俺が最も嫌うやつらがいる。俺が最も重視している奴らが―――”リア充”である。


 リア充というのは、俺らネトゲ廃人のことを「世界の塵」だとか、「キモイ」、「きたない」ものと扱われ、俺らのことを悪く言うやつらのことである。もっとも、これは俺の勝手な推測にすぎないが、俺がこの世界ネットワークに入る前は、リア充は俺達一般人のことを普通の人間だと思われていたみたいなのだが、いざこちら側の世界に足を踏み入れた途端、手のひらを返したように先ほどの言葉を無造作に扱い、俺たちの心にぐさぐさと突き刺さっていく。


 俺は、そういう考えを持つ人間が大の苦手である。もうこの際はっきり言っておこうではないか。大嫌いだ。


 俺がまだこちら側に入っていない時だが、俺の友達に彼女ができたという話を聞いた。俺は当時おめでとうと、声をかけて祝福をしてあげた。してあげたまではよかったのだが、俺がネットワークの世界に入った途端、その友達は俺のことを汚いものを見るような視線で、見つめてきたのだった。


 俺は当初、なんで?と思っていたのだが、いざ現実を見つめなおしてみたところ、ネットワークの人間は、高校を中退している奴らと、30才を超えてもいつまでたっても独身という人たちが多く、そのうえ腐っている奴らが多い。


 リア充は、そんな奴らをここぞとばかりに心身ともに傷つけていくのだ。


 何度も言うが、俺は、そういう考えを持つ人間が大の苦手である。もうこの際はっきり言っておこうではないか。大嫌いだ。大事なことなので二回言いました。


 俺が言いたいのはこれだけだ。俺は兎に角リア充に物申す。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ