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こちらに来たからよってみただけ。予定調和なのだけれども…

どうも、はんぺn(ry



お久しぶりです。

第19話です。


消えた喫茶店のその後のお話です。

カラン


その扉は開かれた。

客を知らせるためのベルが鳴る。


「いらっしゃい」


とある男性によって閉じられた扉は数瞬という時間の後にとある女性によって開かれた。マスターは入ってきた人間を一瞥すると、グラス磨きを再開する。


「こんにちわ、マスター。こちらに来ているようだから顔を出したの」


「それはどうも御贔屓に。あなたが、ここに来て一番最初のお客様です」


場所を移動して一秒もたたないうちに来客されては一番もへったくれもない。

穢れのない白銀の長髪をなびかせたワンピース姿の少女は我が物顔で店に入り、カウンターではなくテーブル席の一角に腰を下ろした。


身長はせいぜい150㎝程度。

マスターに彼女の歳は分からないが、外見からすれば10代後半の印象を受ける娘である。

何より特徴的なのはその瞳だ。


「ずいぶん早かったですね。グランツ王国で何かありましたか?」


彼女は赤い瞳をしていた。

輝きを失った、真紅の瞳をマスターに向ける。


「いえ、なにも」


「本当に何もないのかしら?」


すべてを見透かされているような印象を受けるその瞳。

しかしマスターは全く気にせず言葉をつづけた。


「グランツ王国の『(おう)』に何らかのちょっかいを出した者がいるのでしょうか、いつものあの国とは違う様子でしたね」


「そんなことなの?」


どうでもいい。

心の底からつまらなそうな様子の少女。


「もっと、あるでしょう?それよりも私の興味をそそる事柄が」


心当たりがないわけではない。

むしろひとつだけ、ピンポイントであてはまる事柄が存在する。


ただし、大前提として、彼女にのみあてはまる事象であるが…。


同時に「あぁ」とマスターは直感する。

目の前にいる少女は自分よりも異質な何かだ。と。


その言葉を胸の奥にしまい、磨いたグラスを棚に戻す。


コトッ「青年に、出会いましたよ。あなたと同等に異質な、青年に」


そのままティーカップを取り出し、黒い液体を白い液体で薄めて注ぐ。

マスターは彼女の目の前にカフェラテをついだカップを差し出した。


「そう、会ったのね」


「はい」


「それで、どうだった?彼の『刻印』は」


少女は彼にそう聞いた。

まるで、最初から分かっていたかのように微笑みながら。


「刻印と呼べるのかすら、未熟なものです。まるで、布からほつれた糸を滅茶苦茶にかき集めたかのような……あなたや他の7人に比べれば足元にも及ばないでしょう」


「あら、そうなの?……でも、それは逆に言えば『無限の可能性』を持っているってことよね?決めつけるのはまだ早いわ」


その言葉をマスターは否定せざるを得なかった。


「ですが……」


「えぇ、そうね」といいながら少女は立ち上がる。

そしてそのまま扉の方へと歩き出す。


「一度刻まれた刻印はその形状を二度と変えることができない。各『刻印』はそれぞれの形や紋章によって効果や性質が決まるもの。すでに滅茶苦茶な形で刻まれた刻印には手出しができない……でもね?」


少女は扉を開き、「内」と「外」の狭間で立ち止まる。


「例外はあるものよ。どんな『ルール』においても、必ず例外は存在する」



ガチャン



開いた扉は完全に閉ざされた。

同時にこの店は亜空間に閉ざされる。

そういう性質なのではなく、マスターが勝手にそうさせているのだ。


カチャ「……相変わらず、ですね。『ユキ様』」


マスターはテーブルの上に置かれたティーカップに手をかけた。


「……最初からエスプレッソを頼めばよろしいものを」



その中には、真っ白な液体のみが残っていた。









店を出た少女はかなり上機嫌だった。

なにしろ、『彼』がこの世界に来てくれたから。


少女にはその事象だけで十分だった。



「共に存在し、再び分かつことのできないはずの者同士が分かたれる……そんな絶望が、私は好きよ?いくら別れようとも会いに来てくれる、あなたみたいな『希望』がいるから」


さきほど、残してきたミルクを思い浮かべながら、少女は『彼』の顔を思い浮かべる。

幼い日の『彼』の顔を。



「ねぇ、派祓」



少女の心はとある男性によって埋め尽くされていた。

ヤバい空気の女の子…w



何かあれば……

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