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おっと誰か来たようだ

どうも、はんぺn(ry


お待たせしました。

第18話です!

---------side倉敷派祓---------


ザッザッザッザッ


足音はすぐそこまで近づいてくる。


(ど、どうするんですか派祓さん!?)


(くっ……)


どうするべきか。


出会いがしらに相手を戦闘不能に追いやる……ダメだ。この扉は内開き。こちらから攻撃を仕掛けるのはあまりにも不利だ。


扉ごと吹き飛ばす……論外。そんなことをすれば店の外にいるであろう敵の仲間に気付かれる。


この状況での最善は『見つからないこと』。しかしこの部屋にそんなスペースはない。


いや、あるとすれば……。



ザッ!「っ!?」



「そこだっ!」


バンっ!!!


扉は勢いよく開け放たれた。



……というよりは、蹴破れらたといった方が正しいだろうか。

片足を豪快にあげたままの姿勢から元に戻ると一歩部屋の中へと踏み入り、辺りを見渡す。


目の前には机とイスと棚に並んだコーヒー豆。それだけ(・・・・)


「あぁ?」


一目で室内を一望できるほど狭い部屋の入り口で男は舌打ちを漏らす。


その部屋には男女どころか、人の姿すらなかった。


「くそっ!どこ行きやがった!?」


悪態をつく男。

しかし、どこか納得がいかない。

そんな表情の男は部屋の入り口でたちどまり、しばらく考え込んでいる。


「…………」


そしてそれを後ろから見据えるマスター。

なるべく荒事にしないように様子を見計らっている。


((……ゴクッ))


そしてもう一人。いや、二人。

極限の緊張状態の中で少女一人をお姫様抱っこしながら男の動向を気にする派祓。それと、お姫様抱っこされているミラもまた、眼をつむり手を組んで何かを祈っている。


もちろん、見つからないことを。


2人は祈っている。


男の真上で(・・・・・)


「…………チッ」


扉が開かれるあの瞬間、派祓とミラはとっさにドアの真上にある部屋の角へ、棚に足をかけて登っていた。正確には、ミラを抱えた派祓が一っ跳びで天井まで到達し、そのまま角をなす棚の一段に足をかけている状況だ。扉をけ破られた音と重なるように着地したため気付かれずに済んでいる。


……しかし、難所はこれからだ。

入ってくるときは無事に気づかれずに済んだ。


だが、出るときは?


身体を振り向かせて部屋を出ていく時が一番気づかれやすい。

相手の視界のすぐ上、ギリギリの位置に存在する派祓とミラが見つからない確率は五分五分。


完全なギャンブルだ。


ホテルへと退去するにあたり、見つかって戦闘というシチュエーションはなるべく避けたいところ。



(頼むからそのまま帰ってくれ…!)



額に一滴の汗が浮き出る。

その声が届いたかのように男はその場で振り返り部屋を出ようとする。

ほんの数秒にも満たないその動作が派祓にはとても長く感じられた。


「……」


突然、男はその場で立ち止まった。

たったそれだけで派祓の体感時間は引き伸ばされる。


そして、その男の頭は考えもなしに、なんとなくの感覚で上を向く。


(マズい…マズいマズいマズい!!!)


そして、男の瞳は視界の上端から徐々に派祓たちの姿を映し…



「早々に去れ、迷い人よ」



一言、誰かの声が男を止めた。


ガクッ!


次の瞬間、そんな効果音が出るように突然男の頭が下を向いた。


「ぅ…ぁ、ぇぐ」


そのまま男は部屋の外へ出ると、そのまま店の外へとふらふら歩いていったようだ。


「危機一髪でしたな」


それと交代するようにマスターがこの部屋に入ってくる。

男と同じ風景にもかかわらず、マスターは言葉を続ける、上を向く。


「おかげさまで」


「彼はもう帰りましたよ、もう二度と(・・・)、この店に足を踏み入れることはありません」


スタッ


ミラを抱えた派祓は地面に降り立つと、ミラを立たせて額の汗をぬぐう。


「あー、やな汗かいたわwこりゃ帰ったらシャワーだな」

なんだ今の…?魔法かなんかなのか……?


特に気にすることなく椅子に座る。


「間一髪のところをありがとうございます。どうお礼をしたらよいか…」


「いやなに、お気になさらず。私としてもあのような輩は好まないのですよ」


何はともあれ危機は去った。

問題なくこの店からホテルへと向かうことができるだろう。


問題はその方法なのだが……


「でしたら、この様なモノはいかがでしょう?」


「それだ」


「ぇ、まさか……」


マスターからあるものを受け取った派祓はにやりと口を歪ませた。


「『闇夜の黒猫』が探しているのは確か、男女2人だったな」


つまりはそういうことである。







「それでは、またいずれどこかで出会えることを願って。お気を付けください」


「あぁ、いろいろサンキューな」


言いながら店を出る。

もうしばらく会えないかのようなフレーズにわずかに気を留めながら扉を片手で押しのける。片手はとある理由でふさがっているのだ。


外に違和感を覚えるような視線は特にない。


ガチャン「……ん?」


扉が完全に閉まった後で、派祓はわずかな違和感を覚えた。


ガチャ「……マジかよ」


再び扉を開けたその店はすでに廃墟と化していた。

すでに何年も放置したかのように埃が積もり、クモの巣があちこちに見える。


あのマスターはタダ者ではない。

少なくともそれだけは分かった。いや、それだけしかわからなかったのだが……。


「……ま、いずれまた会えるだろ」


派祓は考えるのをやめ、再びそのドアを閉めた。

派祓にはまだやることがある。まずはホテルに戻らねば。



「さて、そんじゃ行きますか!」



割と大きめな声と共に、派祓はホテルへと歩を進めた。






結論から言って、派祓はあっけなくホテルへとたどり着いた。

途中、『闇夜の黒猫』のメンバーらしき人間とすれ違ったが、涼しい顔で通り過ぎることができた。


あの時マスターからもらった旅行用のフード付きマント、それと、特大の麻袋。


どのくらいの大きさかと問われれば、派祓は即答できる。


ずばり、『とある一国の姫様がちょうど入る大きさ』の麻袋だ。


「この街を逃げ回っている男女2人を探しているやつらが、堂々と大きな荷物を担いで大通りを闊歩している男一人を怪しむような人間はそうそういない。そもそも、人ごみの中でターゲットとはずれた特徴を持つ人間をわざわざ脳みそに記憶しておくほど人間の脳は律儀じゃない……すくなくとも、常人の範囲で、だが」


そう。

ミラは今、派祓が担いでいる特大の麻袋の中にいる。

クッション代わりに大量の綿と買ってきた薬を詰め、旅装の派祓がそれを担いで敵の目を欺く作戦だ。


我ながら天才的な方法だ。


……まぁ、マスターの考えた作戦だけどw



……何はともあれ、ホテルにたどり着くことはできた。

ベッドばたんきゅーしている方のお姫様も待ちくたびれたことだろう。



「なんというか、疲れた」



派祓は大きなホテルの扉を片手であけて、その中へと入っていった。

赤い服だったらサンタクロースか…しかもプレゼントは美小jy(おっと誰か来たようだ



何かあれば……

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