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喫茶店のマスターとかってイケメンだよなー…

どうも、はんぺn(ry



遅くなりました!

第17話です。

「悪いな」


店の扉をくぐり、派祓がその扉を閉める。


「いえ、わたくしにとっては何の問題もございませんので」


入った店は外との雰囲気とはまた別の雰囲気を醸し出していた。


鉄臭いイメージの外とは対照的な木造建築だ。

こげ茶色の木材内装、大きめのカウンターとテーブルが2つ、それに見合った数の椅子が置いてあり、レトロな喫茶店をイメージさせる。


カウンターの向こう側でグラスを磨いていたこの店のマスターは突然入ってきた派祓達を店の奥へ通すと、外の扉の看板を「open」から「close」へとひっくり返す。


「今日はこれで閉店でございます」


「まだ3時にすらなってないぞ?稼ぎ時だろうに」


時刻は午後2時37分28秒。

この世界でこの店が喫茶店と呼ばれるものと同じようなお店であればお昼過ぎのこの時間はもっとも客の来る時間ではないのだろうか?


「あぁ、この店は趣味ですので。さぁ、こちらへどうぞ」


銀色がかった白髪を整えた、身長180㎝程度のスーツ姿の初老の男性はにこやかに笑うと、ネクタイを直して派祓達を店の奥にある扉の先へと案内した。いまだにミラは目を回しているようだ。


「……ホントに趣味かよ」


通された部屋は店主が店として使ったいたスペースとほぼ同じ内装だった。部屋の真ん中に大きめのテーブルと4つの背もたれ付きの椅子が置いてある

ただし、その部屋の四方の壁は扉を除いてすべて戸棚で隠れていた。

その戸棚にあったのは大量のコーヒー豆。


「世界各地のコーヒー豆を集めてその日の気分でブレンドしたコーヒーをお客様にお出ししています」


ざっと見ただけで数百種類。

人の頭ほどの大きさに小分けされた、一つ一つのガラス容器の中に種類の違うコーヒー豆が保管されていた。色、形、大きさそれぞれに個性があることからこれらはすべて違うものなのだろうか。


「人生楽しそうだな」


「長い長い余生ですので」


「?」


「こちらの話です」


派祓は特に気に留めずに腕の中で目を回しているミラを座らせる。

その間にマスターが持ってきたお水をミラに飲ませる。


「高いところ怖い。高いところ怖い。高いところ怖い……


「おーい、落着けー?」


とりあえず頭をなでてやる。


「……うぅ、もう大丈夫です」


「……どうやら、怖いことがあったようですね。落ち着く飲み物でもお出ししましょう」


城下町を一望するほどの大ジャンプに心の準備なしで強制参加させられたとは誰も思わない。

マスターは派祓とミラの2人を見据えて棚の一角へと足を運び、迷いなくコーヒー豆の入ったガラス容器を複数手に取ってカウンターへと戻っていく。


「少々お待ちください」


「あ、あぁ…悪いなそこまでしてもらって」


「どうぞお構いなく。私としても、珍しいものを見せてもらいましたので」


「なんのことだ?」


「いえ、お気になさらず」


マスターはそういいながらカウンターの方へと行ってしまった。もちろん、ここの部屋の扉は閉めてある。


さっきからこのマスターはちょくちょく意味不明な物言いをする。

だがどれも気にするほどの違和感はない。


「……まぁいいか」

いや、まさかな……


僅かに自分の胴体を気にしたが、その考えを捨てる。

今はそんなことを気にしている場合ではない。


「それで、これからどうする?」


椅子に座ったミラの向かい側に派祓が座る。


「とにかく、城の様子が気になります」


「城から逃げてきたんじゃないのか?」


派祓がそう聞くと、ミラは若干俯きながらそれに答える。


「それが、脱出の際に私だけが父の魔法によって外へと放り出されたのです。突然の事で何が何だかさっぱりで……」


「放り出されたって」


「父上の地属性魔法です。急に地面から現れた土塊(つちくれ)が私を飲み込んだと思ったら次の瞬間には私ごと窓の外へ放り出されました。まぁ、父上の配慮で土塊がクッションになって目立った外傷はないのですが……」


「途中で『闇夜の黒猫』とやらに見つかったわけだな?」


「はい」


逃がすためとはいえ実の娘を城の外に放り出すとはとんだ父親もいたものだ。

何はともあれ、ミラ自身が城内の現状を把握できていないので、まずはそこから考えなくてはならない。


「……とりあえずホテルに戻るか」


ベッドでばたんきゅーしてるお姫様もいることだし。



「お話はまとまりましたかね?」


「あぁ」


「わぁ、すごくいい香り」


狙ったかのようなタイミングで、お盆の上にコーヒーカップを2つを持ってきたマスターが扉を開く。それと同時に何とも言えないいい香りが辺りを埋め尽くす。


「そちらのお嬢様にはハーブティーを、そちらの男性にはエスプレッソを」


「あ、どうもすいません」


……っつか、よく俺の好み分かったな


「なんとなくわかりますよ。ピンポイントとまではいきませんがね」


「っ!?……さすがだな」

心読めるのかこの人!?

いや、俺の方が声に出てたとか……?


過去にあったやり取りを思い出しながらマスターを警戒する派祓。

しかしマスターはそんな視線に首をかしげる。


「何か…?」


「いや、なんでもない。あ、そうだお金」


派祓がぽっけに手を突っ込んだところでマスターに止められた。

「そんなものはいらない」だそうだ。


「ほとぼりが冷めるまでここにいてもらって結構です……今日中は」


マスターはそういいながらお盆を持ってカウンターの方へと姿を消してしまった。

そのドアが閉まるのを見て一息つく。


「……なんだか不思議なオジサンだな」


「そうですね。私も見かけたことがありませんし……」


ミラがそういいながらハーブティーを口に含む。

それを見た派祓もコーヒーを口に含む。


「うまい。なんだコレ」


一体何だコレは。

派祓の頭の中にはその一言しか浮かばなかった。

エスプレッソコーヒーを口に含むと、淹れたての香ばしい香りと絶妙な苦みが口の中に広がる。

挽きたてのコーヒー豆で淹れたモノはやはり一味違う。


「はぅ、このハーブティーもおいしいですぅ……」


ミラに至っては顔がとろけている。


というかあのマスター人の好みを熟知しすぎではないだろうか?

……なんて疑問すら浮かんでくる。


謎だあの人。



---------閑話休題---------




「何はともあれ、安全な場所に避難する必要があるな。これ以上マスターに迷惑をかけるわけにもいかない」


共にコーヒー、ハーブティーを飲み干した2人は本題に入る。


「はい、ですが一体どこへ?」


「俺の泊まってるホテル。あの、やたら高いとこ」

何がとは言わない。


「ホテル・ラザフォードですね?あそこならきっと協力してくれます!」


目的地は決まった。

だが、問題はそこまでどうやって見つからずにたどりつくかだ。


何らかの変装をすべきか。

あるいは、ミラを荷物に紛れ込ませて派祓が運んでいくか。


あるいは……


と、そんなことを考えていると、扉の向こう……つまりはカウンターの方から扉をたたく音がした。

この部屋の扉よりも遠いところから音がする。おそらく外の扉だろうか。


(っ!?ミラ!)


(は、はひ!)


慌てて扉に張り付くミラと派祓。

扉の向こうではマスターが店に強引に入ってきた何者かと対話しているようだ。


「この店に2人組の男女が入っていったのを目撃したものがいる」


「見間違いではありませんか?今日は定休日となっております故、人が出入りするとすれば私くらいしかありえないのですが……」


マスターが穏やかに対応すると、相手の男は声を荒らげた。

ミラと派祓は奥の扉の向こう側で息を殺しながら聞き耳を立てる。


「くどい!目撃者がいるのだ!貴様が匿っているのは分かっている!!!おとなしく差し出した方が身のためだぞ!」


「し、しかし、身に覚えのないことを言われましても……」


それを聞いた男は舌打ちしながらカウンターの机を「バンっ!」と叩いた。

そして気づく。奥の扉の存在に。


「ほぅ、では貴様が嘘をついていない証拠を見せてもらおうか」


言いながら男は奥の扉へと歩を進める。

扉を一枚隔てた先にはお目当ての2人が聞き耳を立てている。


「あぁっ!そちらは……!」


マスターから足音が一歩一歩遠のいていく。

男は何かを確信したように口をゆがめた。


「そこだっ!」ドンッ!




扉は大きな音を立てて蹴破られた。

さぁ、どうなるのか……


今後も投稿頻度が下がります。


何かあれば……

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