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酔った女性がふにゃぁってなるとすごく可愛いと思うんだが俺だけか?

どうも、はんぺn(ry



というわけで第14話です!

----------side倉敷派祓---------




「ひぃ、ふぅ、みぃ……すごいわねあの椅子。予想外の金額よ」


換金後、ほくほく顔のゆきちぃはその勢いで少し奮発した宿に泊まることを即決した。

夜日が落ちてからかなりたった今は深夜の1時13分45秒。2人して(主にゆきちぃが)部屋で椅子に座って机の上で上等なワインを飲みながらか計算中である。


「だろうな。こんなスィートルームも真っ青な部屋に泊まれるほどの金があってしかもまだこんなに残ってるんだからな。その……なんだっけ、54万スラウ?」


正確には543,752スラウである。

単純に金貨が54枚と銀貨が37枚と銅貨が52枚テーブルの上に散らばっている。

はっきり言って邪魔だ。銀行かどっかに預けなくては……


『スラウ』という通貨はこの国の……というより、この世界の標準通貨らしい。

ちなみにこの世界での100万スラウは庭付き池付き3階建ての公爵家御用達の豪邸が建てられ、なおかつ使用人を住み込みで一年間、10人程度なら働かせられる程の金額らしい。日本円では大体1億程度か……。ちなみにココの一日の宿泊料は1700スラウ。標準的なレートに直すと、1スラウは日本円で100円という換算になる。


いつしかのアメリカドルかよ……。となると、


「とんでもなく物価安いなオィ」


「そう?っていうか派祓のとこが物価高すぎんじゃないの?」


まぁ、否定はできない。っていうか知らない。

ゆきちぃの飲むペースがわずかに早くなった気がする。確かにうまいが……。


「んで、なんで部屋が1つだけなわけ?」


俺が聞くとゆきちぃはさも当然のように答えた。


「何言ってんのよ。ここ部屋は最上階全て・・なのよ?一つしか無いに決まってるじゃない!」


うん、スケールが尋常じゃなくすごい。

さすがに部屋の中にエレベーター(かなり文明レベルの落ちた)があると分かったときは普通ではないとは思っていたが、まさかこの階すべてが一部屋だなんて思いもよらなかった。


「これだけあれば、あと半年は普通の宿に居座れる~」


「宿屋の主人が涙を流すな」


俺の返答を聞いたゆきちぃはなぜだか少しだけ不機嫌になった。


「……もしかしてぇ~、まだ怒ってる?」


酔っ払い寸前のゆきちぃが頬を火照らせて机に寝そべりこっちを見る。


「当然。俺はこんなこと望んでいない」


何で俺が異世界に落とされなきゃならんのだ……。

普通は高校生とか三十路過ぎたヲタクなおっさんが相場だろ……。


「悪かったわよ……あんな無理やり」


気が付けば、ゆきちぃが申し訳なさそうに口を開いていた。

酔っ払い特有のシリアストーク。


「なんだよ、悪気はあったのな」


「うぅ…いわないでよぉ……」


「まぁ一番最初は驚いた。いろんな意味で」


「確かにね。女湯に人が降ってくるなんて夢にも思わなかったし……本当はあの時、かなり追いつめられていたのよ?……でも何故だかね……派祓、あなたがいたから私は決断出来た気がするの。あの父親・・を殺すって」


うん?今なんつったコイツ?父親?


「どうやったらアレからお前が生まれるのかが謎だ。突然変異か?」


「ホントよねぇ~!あんなのが父親だったなんて今でも考えられないもの。本っ当にお母さんに似てよかったー!!!」


酔っ払い全開。クロウ君には見せられない。


「何でゆきちぃママがあんなのと結婚したのかが大いに謎なんだが」


聞くと、彼女のテンションが一気に下がる。

そして、ゆきちぃは「そうよね」と弱々しく答えた。

昔を懐かしむような表情で、ゆきちぃは再びワインを一口。


「私のお母さんはね、じっつは、それはもーすっごい魔道士だったの。将来有望で美人で人柄もいい……でもほら、よくあるじゃない?望まぬ結婚ってやつ?」


「政略結婚ね……俺がいれば止めてたものを」


軽く冗談。


「あはははは!なーにそれぇ!…………でも、ほんとに一国潰しちゃってんのよねー。スノーフィアちゃんだって、さすがにあれじゃ派祓が死ぬと思ったわよー?んふふ♪」


もはや人格が壊れかけている。

自分のことをスノーフィアちゃんだなんて絶対に言わないであろう彼女でも酒には敵わなかったようだ。


「おぃ、勝手に殺すな」


にしても、ちょっと飲みすぎだコイツ。


「でね、ある日、無罪の平民にあの王が余興だとかなんだとか言ってその場で首を刎ねたの。それを聞いたお母さんは大激怒。私ももちろん怒ったわ。あたりまえよね。でも、あのクズの息のかかっていた兵士……今の大臣だった奴らね?で、そいつらの裏切りでお母さんは殺されたわ。でも私はお母さんのおかげで助かった」


「それで復讐か?」


「そ」ごくごく


「飲みすぎだぞゆきちぃ」


「サフィ」  「?」


突然意味不明な単語を口にした。

首をかしげる俺の顔を見て、ゆきちぃは妖艶にほほ笑む。


「私の愛称なの。呼んでくれたのはママだけ。でももういないの。だぁからぁ~……


酔いのせいか、瞳がとろんとしている。

その瞳は誰かに助けを乞う様に、派祓へ向けられる。


  ……私の事そう呼んでよ……寂しい、から」


潤んだ瞳は視線を逸らさない。

僅かな沈黙が両者の間に広がる。


ヤバいすごい可愛い。


「……いいのか俺で」


俺は背もたれに背を預け、肘置きに右肘をつき、くつろいだ姿勢になる。

わずかな沈黙、酒を飲んでいるというのに冷めた表情の俺と飲みすぎで「トロン」とした表情で上目遣いなゆきちぃは互いの瞳にしっかりと向き合っていた。


「お願い」


そんな顔でお願いされてはどうしようもない。

派祓はあきらめたように目をつむり、サフィのグラスにワインを注ぐ。


「分かった。じゃぁ、乾杯しようか。サフィ」


「フフッ……ありがと。なんだかロマンチックね」



---------コンッ



2つのグラスは蝋燭だけの付いた薄暗い部屋に乾いた音を響かせた。





「スー……ん、にゃ~…………」


あの後、5分くらいでサフィが酔いつぶれて寝てしまった。

とりあえずお姫様抱っこで抱えてベッドへ。

巨大なシングルベッドなのはなぜか?という素朴な疑問を強制的に排除し、サフィを寝かせ、毛布を掛ける。


今の彼女の寝顔は今までにないくらいに幸せそうだった。


「サフィ……よかったな。お前は誇れるほど母親に愛されてたんだ」


正直うらやましかった。

親の愛など知らないが、俺はこの時サフィの顔を見て確実にそう感じた。

お酒って怖いですよね~w



何かあれば……

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