新たなお仲間さん達ですね
どうも、はんぺn(ry
第10話です。早いですねーw
案内されたのは先ほどとは違う、気品ある客室だった。
そこに偉そうに腰かけるゆきちぃの服装は先ほどとは違い、黒系統を基調としたドレスを着ていた。
「で、結論は?」
「入るよ」
唐突なゆきちぃの質問に俺は即答した。
これからの衣食住とそれに伴う苦労と労働と死の危険について天秤にかけた結果だ。
「何かあった?」
「別に」
俺は平然と答えた。
なおも訝しげなゆきちぃは「まぁいいわ。着替えたのも無駄じゃなかったし」と言いながら席を立つ。そして裏のカーテンのようなものを開けて俺の腕をがっしりつかんでそこへと引っ張っていった。
「ここは……」
どこかの一昔前の、西部劇に出てきそうな酒場の風景である。
出てきたのはその広間の階段を上がった場所……よく歌姫が歌いながら出てきそうな場所である。
「みんな聞いて!彼が新しい仲間よ!!!」
ユキちぃの唐突な大声に鎧を着こんだ屈強な男たちが一斉に声のする方向へと顔を向けた。
反応は千差万別。何事もなかったかのように食事に向かうものもいれば、こんなガキかよと酔った勢いで叫ぶ者、そんな中で冷静に俺を観察するもの、スノーフィア様今日も美人だ!を合言葉に円卓の仲間と乾杯をする者、多種多様。総勢約50名程度。男女比はパッと見で3対2くらい。
「なにコレ?」
「『解放軍』のメンバー……ほぼ全員です。一人いませんが」
俺の質問にクロウ君が答える。
先ほどキレていた人間とは思えないほど紳士な対応をしている。
そもそもこの人はあまり怒らないのであろう。
「規模が予想外だな……」
少なすぎて。
「でしょー!今日から派祓もこのメンバーの仲間だから、これからよろしく!!」
今までないほどに女の子な笑顔を見せるゆきちぃ。
本当はこっちが素顔なのかもな……
「ついでにお前がリーダーなのも」
「もう一度沈みたいのかしら?」
「勘弁。切に。美人が台無しだぞ?」
「なっ!?//い、言われなくてもわかってるわよ!」
偉そうに腰に手を当て、気張ってみせるゆきちぃ。うん。扱いやすい。
確かに様になっている。パーティー会場とかいたら一番目立つ。
気が付けば、一通りのやり取りを見て、下で宴会をしているメンバーたちがゲラゲラと大笑いをした。
「おう、坊主!リーダーの扱い分かってるじゃねぇか!こっち来て一緒に飲め!!!」
それをリーダーの前で言ったおっさんA。あんたは勇者だ。
とりあえずご相伴にあずかろうと思って階段を降り、円卓の一部に座る。
待ってましたと言わんばかりにさっきの勇者おっさんAがグラスを用意し、ビールを注ぐ。
「っとっとと、どうも」
とりあえず、一気飲みしてみた。うまい。
「おう兄ちゃん!いい飲みっぷりじゃねぇか!!!」
いやいや、樽で飲み干すあんたには負けるよ、おっちゃんA。
おっさんAからおっちゃんAに昇格。これはデカい。
「さてみなさん!明日はいよいよ『決戦の日』です。ほどほどにしてくださいね?」
「あん?」
今クロウ君はなんと口走った?
特に気にせず俺は酒をのどに通す。
そして次の日、案の定、城へと襲撃することになった。
「…………ねぇ、俺ってまだこの世界に来て5日も経って無いんだけど?何でいきなり国家転覆的な任務に参加させられてんの?胸揉みしだくぞゆきちぃ」
次の日の夜。
正確にはその次の日付になろうとしている時間帯。
城の城下町にあったアジトらしき場所からなるべく人目につかないようにひっそりと出ていったん森に入り、城の裏側から潜入した派祓、ゆきちぃ、クロウ君の3人は難なく城の内部への潜入を果たした。
「派祓、あなた異世界人だったの?なんか納得。あと、やったら殺すわ」
「スノーフィア様の鉄拳制裁を無傷で乗り切る人間が異世界人じゃない訳無いでしょう。ちなみにスノーフィア様はEです」
「クロウ君、情報提供感謝だ」
「情報料はあとで請求します」
「出世払いで頼む」
「いいでしょう。働きに期待しますよ」
「あなたたち、ここが敵地だって忘れてないわよね?後アンタら、あとで殺す」
言い忘れていたが、ここはその自己中デブキモ王がいるという城の中だ。
はっきり言ってザルだ。もっというと底抜けバケツだ。
完全に『警備』というものをナメ腐っている。
「おやおや、今日は寝ないようにしましょう」
「遠慮するな。疲れたら眠っていいんだぞ?但し二度と起きることはないが」
「安心しなさい。どっちも痛みを感じないまま眠らせてア・ゲ・ル♪」
「ゆきちぃが何時にもなくエロいぞ」
「スノーフィア様はこれでも二十です。一応レディです」
「ラミエル王の前にまずはあなた達の方が先かしら」
「誰だそれ?」
「先ほどの話に出てきた自己中デブキモ王ですよ」
「あー、なる。意外とまともな名前してんのな」
「偽王……現国王に失礼よ。一応王様なんだから。2人ごと殺すけど」
「クロウ君、停戦協定と行こうか」
「それが最善ですね」
軽い談笑に話が弾んだ俺たち『解放軍』とやらは3つのグループに分かれて行動を開始している。
一つは「正面から敵の注意を引き付けるグループ」、一つは正面のグループに乗じて城に侵入し「城内の敵を殲滅するグループ」、そして最後に俺たち「影からひそかに潜入し王を打ち取るグループ」である。
そして、
「いいか貴様ら!余を守れ!貴様らクズの命などどうでもよい!余は偉大なる王族の直系!絶える事など許されんのだ!!!分かったな!?」
俺たちのグループは謁見の間と呼ばれる大広間の2階の柱の陰から王の姿を確認した。
大広間はこの場内で一番広く、2階まで吹き抜けとなっている。
「ゴミを目視した」
「こちらもブタを目視」
「私もよ……って、一応あれでも一国の王様なんだけど」
本当にゴミ臭い豚に見えるのだから仕方がない。
俺とクロウ君は絶好調だ。
謁見の間と呼ばれる場所にはざっと100人程度の兵士たちがいた。
そしてゴm……自己中デブキモ王はその場に兵士を残して後ろの部屋へと消えていった。おそらくあそこがあの男の私室なのだろう。
王がいなくなって、眼下には100人程度の兵士たちが謁見の間に散らばる。
外では別働隊が正面から攻撃を仕掛けているにもかかわらずここに残っているということは彼らは王の護衛とみていい。全く、王の無能さが見え透いている。
「どう思うクロウ君?プロの立場から見て」
俺はクロウ君に聞いてみた。
ゆきちぃは先ほどまで会話に入ることすらできずにいた仲間と何かを話している。
「多すぎですね。あれでは護衛と言うより防衛です」
「アイツら全員倒したらあの男引きずり出せるよな?」
軽口をたたくようにそういった。
「その前に忍び込んで片付けますが」
「少なくとも、あの100人程度が消えれば楽だろ?」
俺の言葉にわずかに反応するクロウ君。
だが少し何かを考えてから俺に向き直り、口を開いた。
「異世界人たるその実力、ぜひ見せてもらいましょう」
言わずとも俺の意図は伝わったみたいだ。
昨日の夜、ユキから教えてもらった『力』とやらのお披露目会だ。
「どうしたの?」
ここで、何も知らないゆきちぃが不気味に笑う俺らに話しかけてくる。
そこで俺は唐突にゆきちぃの左胸を鷲掴みにした。
この戦い俺が死ぬかもしれない。ならば最後にこのくらいはいいだろう。うん。
「なっ!?///」
ムニムニ「やはり本物か……」
「し……」
「?」
「死にさらせぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!!!!」
下から迫りくるアッパーを目視しながら俺は舌を引っ込める。
グシャッ
ズガン
何かがつぶれるような音と共に俺は2階から1階の謁見の間の床に突っ込んだ。
うん、急展開☆
何かあれば……