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親友。

作者: nano

俺の親友はとても繊細な男である。だから心が折れる度、俺の部屋にやってきては隅で丸くなって自分は駄目人間なんだ、生きる価値など無い、などと悲観的な発言をする。今回は、彼女から『手が冷たい人は心が温かいと言うけれど、貴方の手はいつも温かいから心が冷たいんじゃないの?』と言われ、深く傷付いたとのこと。

「『君の手が冷たいときに暖められるよう僕の手はいつでも暖かいんだ!』くらいの返しをしてやれば良いのに」

「そんな恥ずかしいセリフ言える訳ないだろ」

「だったらそれくらいのことで落ち込むなよ面倒臭いな」

「どうせ俺は面倒臭い冷血漢だよ」

「卑屈になるなよ」

「卑屈になりたくてなってるわけじゃない」

まずいな。つい口を滑らせて本音を言ってしまった。余計落ち込ませてどうする。

「まぁ、よく聞け。お前が冷たい人間じゃないことは親友の俺が一番良く分かってるよ。保証する。もっと自信持て」

「お前、」

突然、でかい図体を小さく折り曲げていた親友が勢いよく顔を上げて立ち上がる。しまったフォローが適当過ぎたか。キレられるっ。

「いやっ、俺が悪かっ」

「ほんっとに良いヤツだよな!」

「は?」

やっぱり持つべきものは友達だなと、急に機嫌の治った親友は俺に抱き付いて礼を言い、部屋を出て行った。取り残された俺はひとりぽかんと間抜け面をするしかない。

「まったく人騒がせなヤツ」

俺の親友はとても繊細で、単純な愛すべき男である。

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