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第1話
綾は曾祖父から何度か戦争の話しを聞いた。最後に聞いたのは小学校の5年生の頃だっただろうか。いつも夏の暑い盛りだった。きっと終戦の日だったのだろう、と綾は思う。
綾の曾祖父、篠崎宗正は終戦直前、戦艦の乗組員であったそうだ。
「あれが結果的には、最後の出撃になった。その戦艦は戦争で沈んでしまったのだよ。儂が生還したのは奇跡、いや、無二の親友のお陰なんだよ」
いつもは明るい宗正だが、その時は寂しそうな、悲しそうな声でつぶやいたのを綾は良く覚えている。
「戦友が沢山、亡くなった・・・。命をかけて皆が戦ってくれたお陰で今も日本があるんじゃなぁ。儂はそのお陰で今、生きていられる」
「ふうん」
綾は戦艦に搭乗していた曾祖父に現実感を持てずに、どこか遠い世界の物語の様に聞いていた。
曾祖父は綾が小学校を卒業する頃、亡くなった。




