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【第74話】作戦会議と新しい名前

連日、投稿遅れてすみません。

「とりあえず、作戦を立てようか」


 朝食後、みんなで作戦会議を行う。

 ミニ陽花を預かっている間に色々決めておかないと、常に3人一緒に行動しないといけなくなってしまう。


「陽花ちゃんにはどっちかがついていないといけないのよね」


 とは言うものの、子供なのは見た目だけだから、どうしてもってときは、留守番はできるはずだ。


「留守番はできるんだよな?」


「うん、陽花お留守番できるよ!」


 ……小学生モードで胸を張られると、本当に任せて大丈夫か不安になる。まあ、中身はAIの“お姉さん”なんだから平気だろう。たぶん。


「三千花はバイトあるの?」


「夏休み中は人も少ないから、そんなにシフト入ってないわ」


「俺は結構入ってるけど、コンビニも家庭教師も夜だから、昼間は大丈夫だよ」


 三千花のバイトは昼間だし、二人ともバイトで居ないってことはないから、俺か三千花どっちかはついていてあげられるか。


「でも、二人で出掛けると、逮捕されるんでしょ?」


「即逮捕はないと思うけど……何かあったときに、どういう間柄か説明できないのが困るな」


「お兄ちゃんは、陽花のお兄ちゃんです」


「その設定で行くしかないのか、全然似てないけど……」


「親戚の子でもいいんじゃない。いとこのお兄ちゃんの方が自然かもしれないわ」


 確かに、実の妹ってことにすると、大屋さんあたりに「妹さんいたんですか?」って聞かれて面倒なことになる。姉しかいないの知ってるし、両親健在だから急に義理の妹ができるはずもない。


「じゃあ、親戚の子で良いか」


 ……便利すぎるな、“親戚の子”設定。もう依存度MAXだ。


「さなえさんに、おっきい陽花も親戚って言っちゃった」


 あちゃー、そういえば大屋さんに名前まで言っちゃってあるのか。


「大人陽花とミニ陽花は姉妹っていう設定にしても良いけど、名前が同じなのはマズイな」


「じゃあ、ミニ陽花ちゃんを陽花ちゃんの妹っていうことにして、名前を考えましょうか」


 まあ、それが自然かな……あんまり設定を盛りすぎると覚えられないし……


「そしたら、ミニ陽花の名前を考えようか……陽花の妹だから……」


「”夕花(ゆうか)”ちゃんはどう? 姉妹っぽいでしょ?」


 おお、いいな。字面は似てるけど、言い間違えるほどでもなく、同じ親がつけそうな名前だ。


「うん、良いんじゃないかな。”夕花”なら覚えやすいかも」


「わかった。じゃあ、夕花は陽花お姉ちゃんの妹で、涼也お兄ちゃんのいとこになる」


 ……この辺はAIのなりきり能力に頼るしかないけど、すでに“ミニ陽花モード”で口調も変えてるし、このモードを夕花ってことにすればいいか。


「よろしくね、夕花ちゃん」


「うん、夕花がんばるね」


 ……小学生に嘘を吹き込んでるみたいで罪悪感はあるけど、そもそも陽花=夕花なんて説明しても誰も信じないから、最低限必要な設定だよな。


「じゃあ、夕花はいとこで、陽花の妹っていうことでいいか……で、三千花はどうしようか?」


「そこで変な設定加えるとおかしくなるから、大学の同級生のままで良いわよ」


 そこは、そのままの方が良いのか……でも、同級生だからって泊まりにくるかな?


「涼也お兄ちゃんと、三千花お姉ちゃんはつきあってるの?」


 ……ぐっ。鋭い。

 そこはそういう設定にしておいた方が無難かもしれないけど、三千花さんはそれで良いんですかね……


「そうね、普通に考えたら親戚の子が来てるときに泊まりに来るって、つきあってないとおかしいわね」


 冷静にそういう三千花。そうだな、そういう設定だって割り切れば良いんだよな。


「じゃあ、三千花と俺はつきあってるっていう設定で……」


「分かったわ、夕花ちゃんを預かってる間は、そういう設定で……」


 つきあってる振りとか、どうすれば良いのか分からないけど、そこは誰かに聞かれたらつきあってますって言うだけか……いや、そうは言ってもメンタル的に大丈夫かな?


「設定はこれだけで大丈夫だよね? これ以上は覚えられないかも……」


「いいんじゃないかしら、夕花ちゃんと私が2人で出掛けてもあり得ない話じゃないでしょうし……結婚を前提につきあってるとかなら……」


 これ以上設定を追加しないで欲しいっていう振りだったのに、なぜそういう特大の設定を入れてくるんですかね……


「それだと、俺の家族が知ってないとおかしくない? 実家に連れて行ってないのに、いとことは仲良いとか……」


「そうね、そこはグレーで良いかしら……」


「涼也お兄ちゃんが三千花お姉ちゃんにプロポーズしてた!」


「…………」


「…………」


 ……やっぱりその話出てくるんですね……この話、気まず過ぎるからもうやめない?


「まっ、まあ、その話は置いといても良いでしょ」


「そうね、面と向かって誰かに聞かれる訳じゃないし」


 ――結局、この設定でいけば、自然かなと言う結論に落ち着いた。

 どこかに行くときは、夕花と俺か、夕花と三千花、それか三人一緒に出掛けて、それが出来ないときは夕花が留守番。


 何か設定に穴がありそうな気もするけど、一応、これで大丈夫な気もする。

 こうして俺と三千花には、新たに「偽装恋人」という設定が追加されてしまったのだった。


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