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君のために僕は生きる

作者: 柚姫

私さ、とっても大好きな人がいるんだ。名前は天神蓮っていうんだよ。もう名前からかっこいいよね

蓮はね、優しくて誰もが惹かれるような魅力的な人でちっさい頃から男の子たちにいじめられる私を守ってくれてたんだ。

そしてこれからも僕がゆめを守るから、だから大人になったら僕と結婚しようねっていつも言ってくれてたんだ。そんな蓮が私は大好きで大好きでたまらなかったし、蓮と過ごせる幸せな日々がずっと続くんだって思ってた

だけど私、難病にかかっちゃったんだ。しかもけっこう進行してたらしくて治す方法がないからあと少ししか生きれないってお医者さんから言われたの。

悲しかったな。だからその時はひたすら泣いてた。

その後も蓮に伝えるべきかたくさん悩んだんだ。それで結局は伝えないことにしたの、、ごめんね蓮

それで蓮には少し入院したらすぐ治るって伝えたの。そしたら蓮は

『そっか!じゃあ退院したらたくさんデートしような』って言ってスマホでいろんなところ見せてくれたんだ。蓮の努力を無駄にするみたいで悲しかったけどそれだけ私のことを好きでいてくれるんだって嬉しくもあったよ。

それからは日が経つにつれて死に向かってるっていうことが本当に実感できるくらいどんどん体の調子が悪くなってたけど、毎日病室まで来てくれて退院まで後少しだねって、退院したらいろんなことしようねって毎日笑顔でたくさん話してくれる蓮の顔を見ると少し体調が良くなる気がしたんだ。

私、余命宣告された時もしかしたら急に病気治るかもとか奇跡起こるかもとかいろんなこと考えてたけどそれも体調が悪くなるにつれて考えなくなっちゃった。

考えなくなっちゃったっていうか、もう考えられないほど現実を突きつけられてる感じがしてたんだ。だから余計なことは考えずに私はもう死ぬんだって受け入れることにしたんだ。そしたら気が軽くなったんだよね。

だけどね、やっぱり死に近づくほどに死ぬのが怖い、死にたくない、まだ生きていたい、蓮と人生を歩みたかったって思ってた。

今まで蓮にたくさん守られてきたくせに自分は何もしてあげられないまま死ぬことになってごめん

結婚しようって約束したのにできなくてごめん

デートするお店たくさん調べてくれたのにいけなくてごめん

余命宣告されてることを伝えなくてごめん

あぁまだたくさん謝らないといけないこととか伝えたいことがたくさんあるのに涙が止まらないな。

多分この手紙を蓮が読む頃には私はもう生きてないと思う。

だから、生きてるうちに伝えられなかったことをこの手紙にたくさん書いたよ。

蓮、ずっと私を守ってくれてありがとう。誰よりも優しくて誰よりも強い蓮が大大大大大好きでした

死んでもこの気持ちは変わらないと思う。私の人生で出会った人の中で1番素敵な人だったよ。

だけど蓮はこれからもいろんな人に出会うと思う。だからあまりわたしのことを引きずらずに前を向いてね

今までもこれからも愛してるよ蓮

バイバイ




「っなんで、どうして言ってくれなかったんだ。」

ゆめからの手紙を読む前まではこの言葉をひたすらゆめに言い続けてた。

...もうゆめの心臓が脈を打つことはないってわかってるはずなのに僕の頭はそれを受け入れられないんだ。

「言って欲しかった、、」

そう呟きながら悲しみに浸っている僕にゆめの妹が話しかけてきた

「蓮くんに伝えなきゃいけないことがあって、」

「...?」

返事をする余裕すらなくて視線だけ向けた。

「お姉ちゃんが『指輪は持ってくね』って言ってたよ」

「...指輪?」

「多分あれのことだと思うよ」

そう言いながら指差すその先を見ると、ゆめの左手の薬指には僕がちっさい頃に作ってプレゼントした指輪がはまっていた。

「っ、、まだ、、持ってたんだ..」

「お姉ちゃん、ずっとその指輪大切にしてたよ世界にたった一つしかない指輪なんだっていって」

「......」

「あともうひとつ、あるんだ。

それはね、『ーーーーーーーーーーーーーーーーー』」

「そんなことを言われたら死ねないじゃないか、っ....」

その言葉それを聞いてから後は、もうひたすらに泣き続けた。



「あれからもう30年か...」

今日はゆめのお墓参りに来た。どんなに忙しくても3日に1度は必ず来るようにしてる。

ゆめを失った辛さに耐えれず自殺を考えたけどゆめとの約束を果たすためにひたすら頑張った。

「ゆめ。やっと治療法を見つけたよ。」

30年前のあの日、ゆめが僕に残した最後の言葉は、『蓮、お医者さんになるのがゆめでしょ?だから、治療法を見つけて私と同じように苦しむ人がいなくなるようにして欲しいの』だった。

きっとゆめは僕が自分の後をおって自殺したりしないようにこの言葉を遺してくれた。

「だから、もうゆめと同じ病気で苦しむ人はいないよ」

そう言った瞬間風が吹いて耳元で

『ありがとう。よく頑張ったね』ってゆめの声が聞こえた気がした。


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