6.暗礁の叡智
深海の光と影の間で、美咲たちは海底遺跡の調査を続けていた。古代の人々が星々を読み解いた知識が、現代の科学にどのように役立つのか―その問いに答えを見つけるべく、彼女らは潜水艦の窓から外の世界を観察していた。海流の音は、古の暦を打ち立てた人々の営みを耳に囁きかけるようだった。
高橋博士は、潜水艦のコントロールパネルに向かい、星々の周期と海洋生物の行動パターンを照らし合わせていた。彼の目からは、研究者としての興奮と、未知への敬畏がにじみ出ていた。彼は古代の暦が指し示す星座の周期が、現代の海洋現象とどのように結びつくのか、その線を引く作業に没頭していた。
「このパターンが示すのは、単なる星々の配置ではない。これは、海洋生態系全体のバランスを保つ鍵です。」彼はチームに向かって力説した。彼らの分析によれば、古代の暦は、海流の変化や海洋生物の季節的な移動、さらには漁獲量の変動までを予言しているという。
チームが古代の暦を現代の気候変動モデルに統合することで、気候変動の影響をより正確に予測できるようになることを示し始めた。このモデルは、海の生態系に対する人間の活動がどのように影響を及ぼしているかを理解し、未来に向けた対策を講じるための基盤を作り出す。
深海の遺跡の壁画をさらに詳しく調査する中で、チームは古代の海洋生物の描写を発見し、海がかつて支えていた多様な生物たちの存在を突き止めた。壁画には、現代では絶滅してしまった可能性のある生物の姿が詳細に描かれていた。それは、彼らがかつてどのようにして気候の変化に適応し、そしてどのようにして滅んでいったのかを理解する手がかりとなった。
「私たちの前に広がる過去の海の生態系は、私たちが直面している環境問題に対する解答を秘めているかもしれません」と美咲は感じていた。古代の海洋生物が残した生態系のパターンを理解することで、チームは現代の気候変動によって脅かされている海の生態系を救うための手がかりを得ることができた。




