73話、世界樹の杖の迷宮
よろしくおねがいします。
「やっぱお前もついてこい、タキナ」
52日目。
朝食の余韻に浸っていると、目の前に現れたゼストに開口一番にそう言われた。
世界樹の杖の迷宮の調査についてこい、とのことだ。
なぜそんな急に?と思ったんだけど、どうやらレア魔物がいた時用らしい。うん、じゃあ行こうかな。
「なにがいるかなぁー」
「ま、レアなヤツがいるだろうさ。特殊な迷宮だからな」
なんか訳知り顔だな?もしかして行ったことあんのか?
勇者イサムの飛行と瞬間移動で、ほんの一瞬で山頂へ到達。
「朝ご飯のバフで魔力消費と魔力回復がやばいんですよね……俺の魔力じゃまだこんなにポンポン瞬間移動出来ないですからね?」
イサムが頬を掻きながら言う。
前も言った通り、うちで使ってる食材には魔力が宿っていて、少しずつだがバフ効果がある。
組み合わせや食べる量によっては、そこそこ大きなバフになることもある。まぁ、胃に残ってる間だけの話なので、そんなにおおごとでもない、と思ったんだけど。
「勇者には保管庫のスキルがあるからな。ウチの飯を保管しておけば、いつでもどこでも飯バフ付け放題だぞ?」
どうやら、勇者とウチの飯は相性が良すぎるようだ。
さて、足早に世界樹の杖の迷宮についた。
さっそく侵入だ。
「どんな迷宮なんです?」
「根っこの洞窟……ですかね」
「だな」
ゼストはやっぱり入ったことがあるんだな。
根っこの洞窟。世界樹の根のイメージか。
……あれ?
「ヘッグちゃんを」
「ダメだ」
「ダメですよ」
ですよね。
サイズ的にも無理だし諦めよう。
世界樹の杖の迷宮は、確かに木の根で編まれた洞窟だった。
しかし広い。めちゃくちゃ広い。世界樹、凄いな。
「さて、さっさと進むぞ。とりあえず八層くらいまでは瞬間移動でいけるだろ」
どうやらのんびり探索、なんてことはしないようだ。
私とイサムはゼストに肩を捕まれ、連続の瞬間移動を味わう事になった。
そして、八層目とばして九層目。
この階層の奥には、ボスがいるはず、らしい。
「前回の討伐から日が経ってないけど、どうなんですかね」
「そこまでは俺も知らんからな。居たら幸運だな?」
「え、もう戦いたく無い……ああ、そっか、タキナさんか」
どうやらなにか納得されたらしいが。
戦いたくないほどやっかいなボス魔物がいるかもしれないんだな?とても楽しみだ。
道中の魔物はゼストとイサムが瞬殺し続け、奥へ奥へ進む。
イサムは本来はこんなに強くないと自分で言っていたが、どうやらゼストがバフを積んでいるようで。なんでも出来るんだね大魔王って。
そうして、ボス前の扉まで到達。
ボス戦前にありがちな、大きな扉だ。そこには絵が彫られている。
「鳥……鷹かな?」
「鷹、のようなドラゴンだな。ただし、デカいぞ」
「ほんっと厄介だったんですよ!もう二度と戦いたくないなって思いました!」
そんなにめんどくさい魔物か。よく勝てたな勇者パーティ。
扉をあける。
前方に、ボスがみえる。
「ドラゴンじゃん」
「目と羽が鷹っぽいだろ?」
そこには、白いドラゴンが、凛と佇んでいた。
「はいテイム!よし、九層クリアね」
「あ……確定テイムってそういう」
イサムがなにやら納得したようにつぶやく。
「ひどいだろ?」
「ひどいですね」
ゼストもイサムも、私のスキルは気に食わないようだな?
さて、魔物……魔物だよな?この世界の魔物の基準ってなに?いいや、魔物情報を。
ヴェズルフェルニル。
白いドラゴン。鷹のように鋭い眼光と大きな翼をもつ。
世界樹の守護者の眷属とされている。
全てのバフやデバフを無効にする技をもつ。
風を止める力もあるため、飛行時は風向きに関わらず快適に飛行できる。
※注意!貴方の支配下にあるニーズヘッグとは相性が良くありません。
うーん、やっぱりそうなんだね、ヘッグちゃんとはダメだよねそりゃあね。
しかし、バフデバフが無効のドラゴンか。普通に戦ったらキツイよなぁ。人間なんてバフデバフの量で戦ってるようなものなのに。
「さて、いきますか。この子は……どうしよ」
「ああ、俺が上に送っておく。大人しく待機するように言っておけ」
どうやら、ゼストは対象をワープさせることもできるようだ。え、ほんとになんでもできるね大魔王様?
というわけで、フェルちゃんは地上へ送られた。
「よし、いくぞ。もしかするとまだ罠があるかもしれねぇから、俺が先頭だ」
ゼストの後ろについて、階段を降りる。
最下層へ到達だ。
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